1-78 タレミア奪還決戦④
魔剣。
その中でも天性魔術のような魔術を持つ魔剣も存在し、更に極地、天性魔術・解放できるのもたまに現れる。
そして天性魔術・解放を使用した魔剣は本来あるべき姿を呼び起こす。
「初めて見た。魔剣がそれを使うところ」
グレイバルの魔剣は大剣へと変貌する。
「ほう。お前でも初見なのか。ならば直と味わうがいい」
来る……!
奴はオレの間合いを軽々と乗り越えオレに大剣を振る。
オレは奴の剣を手刀で防――――いや、ここはかわすか。
オレは横に前転してかわし起きた瞬間に光の剣術“【斬撃】三日月”を飛ばす。
奴はそれを大剣で受け止める。
その大剣で機敏な動きができるなんてな。
重量はそのままなのか。
そして奴は横に大きく大剣を振る。
オレはそれを見て後ろに身を引く。
「……!!」
だが、奴の大剣からさらに漆黒の魔力により剣先を伸ばした。
くそっ……。
かわせるか……!!
オレは上体を反らして何とか奴の剣を躱した。
そして、その上体を反らした状態から手をついてバク転して体勢を整える。
「やっぱり。その大剣の天性魔術は使用者の魔力が触れた瞬間、即死する感じだな。今までなら剣を振るときオレがかわしてもすぐに次の一手を打ってくる。でもさっきは早く終わらせたいのか剣先を伸ばしてきた。大剣だからと思ったがお前が機敏に動けている時点でそれは無い」
「それはどうかな。お前の勘違いだろう」
「お前の思惑はわかる。オレを殺したら儲けもんらしいからな。お前はオレに傷一つ与えられねえよ」
オレとグレイバルは互いに睨みあう。
次の一手。オレから仕掛けるのは余りにも危険すぎる。
奴は必ずカウンターを狙ってくる。
すると奴から魔術を放たれる。
「魔界術《天帝の黒紋》」
ここで奴は無数の漆黒の魔力をぶつけてきた。
魔界術とやらは魔術が効かないオレにも有効。
おそらくこれ一つ受けた時点でオレの負けは確定する……!!
地の格闘術“【見切】大地の舞踊”。
オレはその魔術を最低限の力でかわしていく。
と、ここでお前はそうするだろうな……!!
「摩天剣術“断刃輪”」
奴はオレが無数の黒点をかわすか否や、オレの背後から縦に剣を振り下ろした。
だがそこにオレは居ない。
「地の格闘術“【剛拳】貫き”……!!」
逆にオレが背後から奴の腹部へ強烈な一撃をお見舞いする。
やはりオレの仮説は正しかったようだ。
奴に触れてもオレは死なない。
奴は吹っ飛ばされ建造物二、三棟ごと貫いた。
「それで、次はどうするんだよ。オレは既にお前の魔剣を攻略したぞ」
「ははっ。面白い冗談だ。お前はこのぐらいで私を倒せると思ってんのか? とんだ思い上がりだ。私の魔術はまだ健在だぞ」
「……!!」
しまった……!!
奴の魔剣が宙より魔力を放つ。
「魔界術《暗黒の纏》」
※※※※※
「ここどこだ」
何も見えない空間。
なるほど。
これがエミリーの受けた魔術か。
魔界術だからな。
オレも当然受ける訳か。
ここで何かがこっちに来るような音も聞こえるな。
ここで少女の声がした。
「ねえ」
「なんだよ」
「何こんな魔術に引っかかったの?」
「あれはさすがに避けれねえよ」
「嘘つき。君なら避けれたはずだよ」
「それはいつの時代のオレを話しているんだ?」
「それもそうね。でも大丈夫。私は君の味方だから」
「……頼りにしてる」
そして、オレの視界はすぐに晴れ、はっきりと少女の姿が見えた。
奥にフレイもいた。
「絶対、アメリアさんを救ってね」
「ああ。任せろ」
そしてオレは走り出す。
※※※※※
「これでお前は何もできない。死ね」
奴は大剣を持ち、魔界術にかかったオレの首を狙い、剣を振った。
グレイバルは少し油断を見せた。
でもオレを倒せない。
「なあ。これでオレを倒せると思ったか」
「なに……!!」
奴の剣先をオレは摘まむように掴んで奴の剣を凌いだ。
「なぜ精神干渉の魔術を受けてすぐ治った……!?」
「さあな。オレには効かないようだ」
「いいや、お前は確かに食らった。それになぜ、この剣に触れても死なない!! 魔王様が作りし魔力を纏っているんだぞ!!」
やはりこの剣を触れれば死ぬのか。
でもオレはそれでも死なない。
光の剣術“【秘剣】魔術返し”の応用で、一時的だがお前の魔力は取り除いてやった。
オレは剣を振り払い、そして、手刀で奴に攻撃を仕掛ける。
奴はそれを後ろに引いて避けようとする。
だが、ここで《天空の聖剣》がオレの手刀に顕現する。
「光の剣術“【屑刀】一閃”……!!」
奴が避けた矢先から《天空の聖剣》の剣先が届き、奴を縦に両断した。
これで奴を仕留めたか。
だが、未だ奴は健在。
すぐに再生する。
仕方ない。
オレはここで本気を出そう。
奴の魔剣の天性魔術、仮説が正しければこのやりにくい戦い方を突破できる。
見せてやる。
これが本当のオレの剣術。
最大出力の光の剣術“【斬撃】三日月”をな……!!
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