1-77 タレミア奪還決戦③
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グレイバルはアメリアから離れた瞬間、王城のもとに新たなアヴァロンに似た魔物が出現した。
タレミシア魔術師団の魔術師総勢三百名と戦場で犠牲となった貴族、魔術師及び一般人の死体が王城に集結し、それを媒体とした王城の高さと同等の生物は立ちはだかった。
「ここに来て化け物を作りやがって……余程わたしが怖いのか、グレイバル・サタン」
ゼルベルンはその生物をすぐに感知する。
そして、その化け物はすぐに口から王都中を見渡すように効果範囲全域に光線を放つ。
「高位魔術《焦点》」
その光線が向かう先は王都ではなく、ゼルベルンのもとへ。
そして破壊する。
「ここに来て魔族どもより、グレイバルレベルの魔物の登場。そしてアヴァロンの途切れることの無い増加。この場で奴を対処できるのはわたしだけ。だが、そうなるとアヴァロンが増え続け抑えていた被害が飛躍してしまう……」
ここでゼルベルンの背後からアヴァロンが襲い掛かる。
「邪魔だ」
ゼルベルンはすぐにアヴァロン内にいる人間を解放させた。だが、宙に上がってはこない。
「およそ九割の国民の避難が完了。あなたは今すぐあの魔物の討伐に向かってください」
ゼルベルンが見下ろす先に居たのは解放された人を抱えたタレミア復国団の魔術師であった。
なるほど。
ゼルベルンの魔術を見て覚えたわけか。
「……わかった。ならそうさせてもらう。引き続き援護を頼むぞ」
ゼルベルンはすぐに突然現れた魔物のもとへすぐに駆け付けた。
「君の相手はわたしだ」
王都の魔物の前にゼルベルンは現れる。
「高位魔術《豪炎の咆哮》」
ゼルベルンは奴に向けて魔術を放つ。
だがその魔術は奴にあたる直前で消滅した。
「……!!」
これは魔術師にとっては致命的。
「まさか消滅魔術を使うとは……!!」
消滅魔術は基本魔術で唯一の未開の魔術。
これを使える魔術師は未だにおらず、どの魔導書にも存在はあれど使用方法はどこにも記されていない。
ゼルベルンはすぐに奴の顔面まで距離を詰めて、回し蹴りする。
やはり頑丈。
こいつは通常のアヴァロンと違い、物理耐性もある。
奴はすぐに高位魔術《豪炎の咆哮》を放つ。
ゼルベルンはすぐに離れ、奴と間合いを取る。
「なるほど。これは厄介な敵を生み出したな、グレイバル・サタン……!! ならばおれも本気を出してやろうか!!」
ゼルベルンと魔物は交戦する。
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「この瓦礫、邪魔だな」
破壊され、朽ちていく建造物に奴は剣で一帯を振り払おうとする。
が、未だ避難できていない状況でさせると思うか?
地の格闘術“【剛拳】貫き”。
奴を腹部に強烈な一撃を与え、吹っ飛ばす。
地の格闘術“【踏襲】天地の洞穴”。
そして、オレは吹き飛ばされた奴をそのままに地面に叩きつける。
だが、奴は既にそこにいなかった。
上か……!!
「魔界術《天帝の黒紋》」
頭上より放たれた漆黒の魔術がオレに襲い掛かる。
地の格闘術“【見切】大地の舞踊”。
オレはその魔術を軽々と最小限の動きでかわしていく。
「さすがクインテット。やはりしぶといな」
「なあ、さっきからオレのことを『クインテット』って言ってよ。オレは五大魔術師じゃないぞ」
「そうだな。今のお前は五大魔術師ではないかもしれないな。本当のクインテットなら私なぞ一撃で仕留めるだろう。だからこそこのタイミングでお前を始末する」
「そうか……。なら、やってみろよ!!」
「……!!」
オレは奴の間合いに入る。
そして、オレは手刀で奴を斬る。
「光の剣術“【宝刀】煌めき”……!!」
腹部を両断し、爆発する。
これでやれるか。
爆発して立った煙から奴の手がオレの胸倉を掴む。
そしてオレはそのまま奴に持たれ、頭から地面に叩きつけられた。
地面に亀裂が入るほどの衝撃。
それでもオレは諦めることはしない。
奴のにやけた表情。
だが、奴の首から一本の切り口が生じ、その切り口が一周回った瞬間、奴の首は吹き飛んだ。
「そこから離れろ」
地の格闘術“【踏襲】天地の洞穴”。
奴の身体を蹴り飛ばし上空へ吹き飛ばす。
「光の剣術“【斬撃】三日月”……!!」
オレは斬撃を飛ばして奴を狙う。
だが奴の首はすぐに最高位魔術《超速再生》で再生され、奴の剣によりオレの斬撃は両断された。
「お前はどこまでタフなんだ。いい加減、死ね」
「お前こそ、なに再生しまくってるんだ。それはオレの台詞なんだよ」
奴は地上に降り立つ。
「仕方ない。ここで私の天性魔術をお見せしよう」
天性魔術。
奴は確か上位魔族と言っていたな。
さっき戦ったカーミュラスと違い、確実にやばいのが来る。
「来いよ」
オレは身構える。
そして、奴は発動する。
「天性魔術・解放 《死屍の領域》」
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