1ー75 タレミア奪還決戦①
オレとグレイバルは互いに牽制する。
「魔天剣術“断刃輪”」
「光の剣術“【宝刀】煌めき”……!!」
両者の剣術がぶつかる。
ほぼ互角。
されど、手刀で迎え撃ったグレイバルの剣術が弾かれた。
「……!!」
恥かれた瞬間、奴の姿は一瞬に消え、そして背後に侵入。
「魔天拳術“砕破”」
確かに背後は取られた。
一般の魔術師ならそれだけで反応が遅れ、魔術の射出速度が鈍る。
でもオレは既に魔力の流れで奴の動きが読める。
「グッ……!!」
オレは半身で奴の拳を避ける。
そして、避けると同時に奴の腹部へ剣を突き刺した。
「舐めてんのか。オレを手刀で倒せると思いやがって」
「確かに。やはり、アミール・タルタロスと違ってお前のほうが剣術の質は高い。だが、これで貴様を捉えた」
「!!」
奴は右手人差し指をオレに向ける。
オレはすぐに奴を蹴り、距離を測った。
だが、奴の魔術速度は一瞬だった。
「魔界術《悪魔の極地》」
オレの知るその魔術は全体を覆い、漆黒の魔力で巻き込むような至って展開の遅い魔術。
だが、奴はその魔術を一点に搾り取り高速を打ち出すようにした。
「くっそ……!」
なぜオレが体質で効かない魔術までも避けるようにしていたのか。
それは万が一オレに効く魔術が存在したときに不意を突かれてしまうからだ。
そして、オレは奴の魔術で頬をかすった。
おそらく『魔界術』とやらの魔術は全てオレに効くらしい。
「どうした……!? そんなもんか、ノア・ライトマン!!」
こいつ、またオレの背後を……!
でもそんな同じ手を二度も通じると思うなよ。
光の剣術“【速刀】瞬き”。
振り返り様にオレは奴の腹部を両断する。
これでお前は戦闘不能に……とは簡単にいかないよな。
高位魔術《蜃気楼》。
さすが、国を乗っ取っただけはある。
でもそれでオレの虚を突いたと思っているのか?
なあ、そこにいるんだろ?
「魔界術《悪魔の極致》」
「光の剣術“【秘剣】魔術返し”……!」
頭上より振り下ろされた魔術はオレの剣術によって跳ね返され奴に当たった。
「なあ、もうそろそろ本気出したらどうだ?」
「何言っている、ノア・ライトマン。この程度で私が死ぬとでも。こんなもの傷にもならない」
降り立ったグレイバルは無傷でオレの前に現れる。
最高位魔術《超速再生》。
「それにしてもその意志を持った剣。それはなんだ? その剣からはあり得ないほどの魔力が流れている」
「さあな。お前に教える義理がねえよ」
「そうか……。じゃあその秘密、暴いてやろうか……!!」
奴は正面から殴りかかってくる。
奴の右ストレート。
オレはそれを回転で躱して横の一撃を入れる。
だが奴はオレの剣を右ストレートで体制を保ったまま右腕でガード。
奴はオレに足を引っ掛けようと足元で少しの蹴りを入れるが、オレはそれを足を引きその勢いで奴の腹部を思いっきり蹴った。
だが奴はびくとも動かず余裕な表情でこちらを見る。
そしてオレの足は捕まれ、ぶん投げられた。
こいつ、オレより身体能力があるのか……!
ひとまず、体制を変えよう。
ぶん投げられ空中で奴を正面に体制を変え――――
オレの目の前に奴のかかとが見えた。
そのかかとがオレの顔面を直撃。
そして、そのまま地面に叩きつけられ引きずられる。
奴に胸倉を捕まれ、投げられる。
「がはっ……!!」
吐血。鼻血もやばい。
オレは王城の壁に叩きつけられ亀裂が走る。
「魔界術《悪魔の極地》」
またあの魔術が来る。
高速の魔術。
叩きつけられたオレは良い的になるだろ。
でも俺には届かない。
「……!!」
「光の剣術“【秘剣】魔術返し”」
オレを甚振った位で動けないとでも思ったか。
奴の魔術がとぶ前にオレは奴の間合いに接近し、魔術発動後に奴の魔術を跳ね返す。
奴は着弾する。
そしてこのままオレはさらに奴を追い込む。
「光の剣術“【帯刀】閃光斬”」
オレの網目状に切り裂く剣術に奴は細切れになる。
これでお前は何もできない。
だが、オレは知っている。
その状態でも元通りになる奴がいたことを。
「これで倒せたら苦労が無いな」
「ははっ。凄いな。普通なら油断しているところを私は不意を突いて致命傷を負わせるのだが。やはりお前はその歳で既に歴戦の猛者だとはな。そうなる前に殺しておきたかったが、過ぎたことは仕方ない。少し本気を出そうか」
奴は黒い渦に巻き込まれ本来の姿を現す。
至ってその見た目は人間と変わらない。だが奴の眼が結膜が黒く全体的に鍛え抜かれた肉体をしている。さらに奴の腹に見たことない紋様が浮かんでいた。
「やっぱりお前も魔族だったか、グレイバル・サタン」
奴は答えた。
「我が名は――――」
魔王軍幹部ザリア・ウレイミナスの右腕。
上位魔族 グレイバル・サタン。
「さあ続けよう、ノア・ライトマン」
オレは世界最強の魔術師フレイ・ハズラークの弟子ノア・ライトマン。
「ああ。第二ラウンドだ」
攻防は未だに終わらない。
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