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1ー73 連携


「……で? 今更貴様如き出てきたところで戦況は変わらないぞ」


 カーミュラスの言動にオレは少し笑ってしまった。


「何がおかしい?」

「いや、お前はわかってないんだなって」

「……なに?」


 お前は本当にわかっていない。


「オレの妹だぞ? 弱いわけがないだろ」

「だが、我々のレベルに到達などしていない」

「何言ってんだ? ドラゴンをよく見てみろ」

「……!!」


 ドラゴンは先の一筋の光で完全に動きが止まったことで自分を維持できずいつの間にか消滅していた。


「これでも同じこと言えるか?」

「……面白い」


 最高位魔術の付与を受けたドラゴンを一撃、カーミュラスはエミリーに訊く。


「貴様、天性魔術はなんだ?」

「……《閃光》」


 するとカーミュラスは笑い出す。


「そうかそうか、貴様もまたクインテットだったか! 素晴らしい! なんて良い日なんだ! 奴らを同時に二匹倒せるなんてっ……!!」

「倒せる……? 倒されるの間違いだろ、骸骨。さあ、最終ラウンドだ」


 ここでエミリーが問いかける。


「ノア、私はどうすればいい?」

「そんなもん正面突破だろ」

「何か無いの?」

「一つ計画を立てたところで奴はそれをすぐに気づく。なら本能のままに突っ走った方がいい」

「でも……」

「安心しろ。お前なら大丈夫だ。今はオレについてこい!」

「うん……!!」


 オレは奴の間合いに一気に詰める。


「光の剣術“【宝刀】煌めき”……!!」


 オレたちが勝つ条件、それは奴の弱点の心臓部を一撃を入れること。

 一撃さえ入れれば奴は消滅する。

 オレはそれを狙う。


 ……っとそう上手くいかないわな。

 オレの手刀を奴は手で受け止めた。


「はははっ……!! 貴様の狙いなどお見通しだ、ノア・ライトマン!! 貴様らはここで死ぬ……!! 私が全てを奪ってやるぞ!!」

「それはどうかな!」


 エミリーは奴の背後をとって心臓部を狙いすまし、放つ。


「《栄光の道標(ゼウスライン)》」


 指先に込めた閃光は目にも収まらない速さで奴へと向かう。


 奴は一旦、オレから離れてその光から逃げるように移動した。


「光は直線上にしか放てない。でも、エミリーの魔術は一味違うぞ」


 エミリーの放った光は屈折し、奴に向かう。

 天性魔術《閃光》でエミリーは光が如く瞬間移動できる。そしてその光の速さのまま屈折させることも可能。


 故に奴の結界魔術《無重力空間(グラビティ・ゼロ)》を自由に動ける。


「止むを得んな」


 奴は《消滅眼》でエミリーの魔術を打ち消した。

 でも残念だな。


 その隙にオレが奴の弱点を狙う。


「光の剣術“【帯刀】閃光斬”……!」


 両手を使い、奴の間合いを詰めて放った剣術は奴の全身に切り刻む。が、重心を避けられたことで肝心の弱点が当たらない。


「魔界術《悪魔の――――(デーモン――――)》」

「させるかっ……!!」


 オレに向けて放とうとする奴の手をエミリーが蹴って方向をずらす。


「ちっ――――!!」

「今だよ、ノア……!」


 エミリーが作ってくれた隙でオレは奴に一撃を入れ――――るとでも思ったか。

 知ってんだよ。

 お前が既に高位魔術《蜃気楼(シャドウ)》で逃げたぐらいな……!!


「光の剣術“【宝刀】煌めき”……!!」


 オレは体を半回転で奴の弱点を狙った。


 だが奴もオレの動きを読んで事前に高位魔術《千差万別の防壁(オールオブ・バリア)》を展開。

 これでまた振り出しに戻る。


 とでも言うと思ったか、カーミュラス・アーケイン!

 オレ達の勝ちだ……!!


「……!!」


 精霊魔術《幻影操作(オペレートマトリクス)》。

 ここでアリアの魔術で奴の高位魔術が崩れる。


 終わりだ。


 オレは崩れた防護魔術ごとカーミュラスの心臓部を完全破壊。

 結界魔術は解かれ、無重力空間が消えた。


「くっそ……」


 奴の悍ましい骸骨姿は徐々に消えてゆく。


「もうお前は自身すら維持できず《超速再生》ですら治せない。本当の意味でお前は終わりだ。じゃあな、クソ魔族」


 奴は完全に消滅した。


 勝者 ノア・ライトマン アリア・マグナード エミリー・ライトマン。


 オレはすぐアリアとエミリーのもとに向かう。


「あれ? おかしいな……。もう立てない」


 やはりな。

 あれだけの魔力を使ったんだ。それに無重力空間からの急激な環境変化。


 アリアもまた立てない様子だった。


「……お前らはここで休んでろ。オレ一人でリーナのところに行く」

「……!! 私はまだ……!!」

「その足でか? 無理はすんな」

「でも、ノアだって――――!!」


 オレも無重力空間にいたんだ。例外なくオレも足が震えている。

 でも戦えないほどでもない。


「大丈夫だ。少なくともお前よりタフだからな。ここはお兄ちゃんに任せとけ」

「それでも――――!」


 ここでアリアが横槍を入れる。


「ここはノア君の言うとおりだよ、エミちゃん。今私たちがノア君と行っても足手纏いになるだけ。……ここは素直に休も」

「……!!」


 エミリーは何も言えなくなった。


「さすが、オレの幼馴染だな。ありがとう。じゃあ、オレ行ってくるよ。……あと、アリア。エミリーのことは頼む。まだ精神干渉の後遺症があるかもだから」

「……わかった」

「安心しろ。オレも死なないし、リーナも救う。グレイバルをぶっ飛ばしてハッピーエンドになるから」


 そう言って二人を置いてオレは先に進む。


 待ってろ、リーナ。

 オレが全てを救ってやる。


 今宵、オレは王国奪還する。

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