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1-70 結界魔術


 なんだ?

 何が起こった……?


 オレは今、自分の状態がわからない。

 ただわかるのは奴が上下逆さまに見えることだ。


「どうした、ノア・ライトマン? さっきの威勢はどうした?」

「くっ……!!」


 これは恐らく重力を操る天性魔術。

 オレは魔術が効かない体質。本来ならこの魔術も効かないはずだ。

 だが、オレの体質もオレを対象にする魔術が効かないだけでオレの周りに及ぼすものなら効いてしまう。


 右往左往に重力を自由に動かしオレの体の自由を奪う。

 やばいな、コレ。


「まず一人だ」


 奴はオレを地面に突っ込ませ、激突させる。


 粉塵が煉獄を舞う。


「これで奴は死んだだろう。それでは次だ」


 奴がオレを殺したと錯覚し背後を見せる。

 その程度で死ぬのならとっくの昔に死んでるっつーの!


 光の剣術“【斬撃】三日月・無限”。

 動きながら無作為に量産する斬撃は煙幕を撒き散らしながら確実に奴を切り刻む。

 魔術のみで攻撃を仕掛けるお前に探知できないオレを捉えて魔術を放てるのか?


「姑息な手だな」


 オレが散らした煙幕は一瞬で上空へ引き寄せられ奴はオレを捉えた。


「そんな死にたいのなら死なせてやろう」


 くそっ……!


 また奴の魔術に翻弄される。

 オレは次から次へと引っ張られる。


 さて、どうしようか。


「随分余裕そうだな。もう生きるのを諦めたのか?」

「いや、今この魔術の攻略法を考えてる」

「ほう。ならばこれでも受けてみろ」


 だから二度も同じ手は踏まないって。


 整理しよう。

 おそらく奴の魔術は特定の対象に重力を歪ませる魔術なのは間違いないようだ。

 でも何か引っかかる。

 なぜオレ達を殺すためにわざわざ結界魔術を発動したのか。

 侵入者を始末するのなら会った瞬間殺すのが一番手っ取り早いはず。

 でもそれを奴はしなかった。


 それはなぜか?

 ……そういうことか。


「さあ、死ね!! ノア・ライトマン!!」

「死ぬのはお前だ、カーミュラス」


 お前のその天性魔術の《死点》、それは――――


「光の剣術“【斬撃】三日月・結界破り”」


 最大出力の光の剣術“【斬撃】三日月”で奴の結界魔術《煉獄》ごと切った。

 そして、奴の天性魔術は急に止まり、オレは自分の身を飛ばされることはなく、状態を起こして着地する。

 やはりな。


「まさか、私の天性魔術の弱点を見破るとはな」

「お前はオレの存在を知っていた。なら当然オレのこと知っているだろう。ただ逃がさないだけで結界魔術を張るのは少々早とちりだと思ってな」

「なるほど。貴様は頭も回るのか。私の知っている奴とは違うようだな」

「あんま思いっきり戦いたくないんだよ。リーナを救うまではな」


 ここで結界が解け、傍にいたアリアに聞く。


「アリア、エミリーは大丈夫か?」

「うん。今のところは問題無いよ。落ち着いてる。でもまだ回復の見込みは……」

「ありがとう、アリア。もう少し辛抱だ。それまで――――」


 高位魔術《深層の鉄槌(アイアンメイデン)》。

 その方向はアリアへ一直線に放たれた。


 オレはすかさず剣で奴の魔術を弾く。


「誰に狙ってんだよ、戦う相手はオレだろうが……!」

「私には関係無い。貴様らを殺す為なら手段は選ばない」


 不味い……!

 最も厄介な魔術が来る……!!


「《無重力空間(グラウンド・ゼロ)》」


 結界魔術。

 その中でも天性魔術による結界魔術は知られた結界魔術とは異次元に強く、そして結界魔術による上書きすら不可能。

 対策しようが無く、それ故オレの剣術でさえ破ることができない。


 オレとアリア、エミリーは何も無い空間で宙に浮いたかのように体が軽くなる。


「ちっ……!!」

「これで貴様らは何もできなくなった。もう勝ち目など無いぞ」


 この感じ、いくら走ろうとしても奴に届くことはなくむしろ前進しない。

 ただでさえ奴は魔術のみで圧倒する魔術師。

 遠距離から仕掛ける奴に対しオレはオレの間合いに入らないと奴に剣すら届かない。


 奴の弱点がわからない以上、もう奴を倒す手段すら無い。

 終わったな。


 ――――とでも思ったか。


「《無限・(インフィニティブ) 葬迷(ラッシュ)》」


 奴がまたオレを自由自在にぶん回す魔術を使ってきた。

 オレの平衡感覚を狂わせ気を狂わせとどめを刺す、と言ったところか。


 確かに酔ってきた。目眩もする。


 でもオレは結界魔術の本質を知っている。


「なあ。これでオレを倒せるとでも思ってんのか?」

「……なに?」

「結界魔術は相手が不利になるほど結界内の魔力密度は増す」

「何が言いたい?」


 奴の魔術発動中、オレは一瞬で奴の間合いに辿り着いた。


「なっ……!!」

「光の剣術“【宝刀】煌めき”……!!」


 心臓部を狙い、オレは奴に一撃を与えた。

 そして奴の心臓部の骨が捲れ、微かに光る物が見えた。


 これだな、奴の弱点は……!!


「クソっ、一体なぜ!!」

「さあな。でも、これでお前を倒せる……!! さて、第二ラウンドだ……!!」


 これにて双方、互いに一歩も引かず戦闘は激しくなる。

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