1ー64 蹂躙
ゼルベルンが一方的に蹂躙する。
「魔界術《悪魔の極地》……!!」
ドニーが漆黒の魔術がゼルベルンに襲う。
ゼルベルンはすぐさま高位魔術《千差万別の防壁》を展開する。
「……!!」
ゼルベルンに放たれた魔術が防壁を貫通した。
なるほど。
魔界術とかいう魔術は厄介だな。
――――だからどうした?
ゼルベルンは防壁はそのままに姿を消した。
「くっ……。どこだ……!!」
「ここだ」
既にゼルベルンはドニーの頭上をとっていた。
「高位魔術《豪炎の咆哮》」
ドニーはゼルベルンの渾身の一撃をまともに食らった。
最高位魔術にも匹敵するゼルベルンの魔術。
だが、そうも上手くいかないようだ。
セントミラルよりもどうやらドニーは頑丈らしい。
「最高位魔術《超速再生》、果たして君はわたしの攻撃にいつまで耐えれるかな?」
「ほざけ。お前ごとき、グレイバル様が居なくとも勝てる」
「そうか。ならこれはどうだ」
高位魔術《断崖の業火》がドニーを襲う。それをドニーはすぐさま躱し、反撃する。
「魔界術《悪魔の極地》……!」
その魔術はゼルベルンに向かうが、それを敢えてゼルベルンは利用する。
「高位魔術《焦点》」
ドニーの魔術がゼルベルンが立てた人差し指に向かって方向を変えていく。
ここでドニーはゼルベルンの思惑を知る。
「がはっ……!!」
吐血。
先の高位魔術《断崖の業火》が高位魔術《焦点》に引き寄せられドニーの背後に的中した。
ドニーは高位魔術《断崖の業火》を受け、爆発するもその威力は計り知れない。
さらにゼルベルンは追い討ちをかける。
「光の剣樹“【秘剣】魔術返し”」
ゼルベルンは高位魔術《焦点》で吸い寄せられたドニーの魔術を跳ね返し当ててみせた。
「見よう見まねでこの剣術を試したが、かなり良いな。魔術をそのまま敵に跳ね返す。彼女には劣るが、これはかなり使える」
ここでドニーは最高位魔術《超速再生》で完治する。
「それで、いつわたしを倒すんだ?」
「お前、俺をわざと殺してないだろ」
「さあ。でもこの程度でくたばる種族なのはわかったかな」
「そうか。だが、そんな流暢な事をしていいのか? この間にも多くの死人が出るぞ」
「そこは問題ない。この結界魔術は特別でね。結界内の時間の流れは結界外よりも遅いんだよ。だから、君はじっくり殺してあげる」
ドニーはそれに苛立つ。
「そうか……。俺を実験動物にする気だな!! なら、お前にはこれで死んでもらおうか!! 来い!! 魔剣《紫狼の転剣》……!!」
ドニーの右手に顕現されし魔剣は莫大な魔力を放出し、圧倒的な雰囲気を醸し出す。
だが、ゼルベルンはそれに動じない。
「それで、どう殺すんだ?」
「決まっている。この一瞬で確信した。俺は基礎的な魔術でお前には勝てない。だからこれで仕留めてやる」
「……やれるものならやってみろ」
すると、ドニーは一瞬でゼルベルンとの距離を詰めた。
「魔天剣術“断刃輪・転回”」
ドニーは首を狙い、横から一太刀入れる。
ゼルベルンはそれをガードして身構え、受け止めた。が、ドニーの剣術はこれで終わらない。
「“回転”」
ドニーがそう言うと、ゼルベルンの身体は寝転がったかのように横になった。
そのままドニーは押し込み、結界魔術《虚無の平原》の地面が割れた。
この衝撃で地煙が発生し、ドニーはやったかどうか確認する。
「……!!」
「後ろだ」
「がはっ……!!」
ゼルベルンは既に背後をとっていた。そしてドニーの顔面を回し蹴りで状態を崩させた。
ドニーは状態を崩してもなおバク転し、ゼルベルンの顔面を狙って蹴ろうとする。
ゼルベルンはそれを半歩引いて、避けた。
そしてドニーがバク転したと同時に距離を詰めて殴る。
「地の格闘術“【剛拳】貫き”……!!」
ドニーは腹部をやられ、飛ばされる。
それでもゼルベルンは容赦しない。
飛んでいる状態でゼルベルンはドニーに追いつく。
「高位魔術《深層のて――――》」
ドニーは近づいたゼルベルンを狙って魔術を繰り出そうとするも、ゼルベルンはドニーの顔面を踏み潰してそれをさせなかった。
ゼルベルンはすぐ下がってドニーとの距離を置いた。
「あの魔剣には少し驚いたが、所詮は魔剣。使用者が間抜けではどうしようもない。それで、君もわかっただろ。わたしを体術でも倒せないのだと」
「……舐めるなよ。俺はあのグレイバル様に認められた誇り高き中位魔族だ! ……良いだろう。俺の天性魔術を見せてやる」
「そうこなくてはな!!」
ドニーは発動する。
「天性魔術・解放《刹那の冥境》……!!」
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