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1-56 侵入


 新星歴二九九八年六月七日午前十時頃


 オレ、アリア、エミリー、ルークは城の真裏までに到着した。


 タレミシア城は至ってシンプルな構造をしている。

 王都を囲む壁、その隣接しているこの城は一見、外からの攻撃に弱いと思われるが、これは最大の抜け道のための配慮である。

 仮に敵襲が来ようとも逃げれるよう設計されており、かつて「タレミシア革命」でもその逃げ道は使われたのだろう。


「それでノア君、ここまで来たけど作戦とかあるのか?」

「んいや? 正面衝突するだけだけど」

「は……?」


 そんなもん考える必要あるのか?


「ノア、なんでこういう時は脳筋なんだよ。さすが、お兄ちゃんだね」

「おい、それどういう意味で言ってんだ」

「ほら、アリアちゃんが怯えてるでしょうが」

「……アリア、無理しなくてもいいんだぞ」

「……大丈夫」


 そんな怖がってる顔で言われても困るんだけどな。


 今、現状オレたちは城の裏の茂みに隠れている。ここから見えるに裏道に通じる門らしきに魔術師が二人いる。避難ルートにわざわざ扉を構えないのは定石として、早速侵入者の警戒をしてるって感じだな。


 さて、どう攻略するか。


「ノア、アリア、ルーク、ここは私に任せて」


 エミリーは親指で魔術師に照準を合わせ一指し指でその魔術師の方向へ向ける。


「私がこの二人を気絶(おと)すから」


 エミリーの天性魔術《閃光》。

 それは光系の魔術で代々ライトマン家に受け継がれし天性魔術。


 エミリーが細い光線を放つ。

 その軌道は魔術師の頭に直撃し、魔術師は倒れた。


 天性魔術《閃光》は他の光家の魔術とは違い、自由に屈折させることができる。

 よって頭に直撃した魔術師をそのままにもう一人の魔術師の頭にも直撃した。


 一気に二人が倒れ、しばらく様子を見る。

 もし他に魔術師が居れば厄介だからな。


 ……他に魔術師は居ないようだ。


「すごいな。多分、この魔術師たち、上位魔術師だろ」

「えへへ、そうかな」

「もう起きてるけど」

「え!!」


 確かにエミリーの攻撃は頭に直撃した。

 けれど、相手は上位魔術師だ。その辺も対策はしてるのだろう。


「なんだ、お前らは!!」

「侵入者か!!」


 あぁあ、ばれちまったよ。


「どうする?」

「どうするも何も、倒すしかないだろ。と、言うことでエミリーよろしく!!」

「はあ……!? 丸投げ!!」

「そりゃ、そうだろ。オレたち、裏道の扉を探さないけないし、それにお前が失敗したんだろ? 自分で自分のけつは拭けよ」

「そ、そんなあぁぁぁ」

「大丈夫。あの魔術師二人、お前一人で大丈夫だから」


 さてと、あの二人の魔術師はエミリーに任せて、オレとアリアとルークで探すか……。といっても城の裏間近まで出てきたのは良いけど肝心の扉が見つからないな。


「ルーク、お前に 探索系の魔術は使えるのか?」

「僕は多少解析できるだけで探索はできないよ」

「そうか」


 くそ。こんなところで時間食ってる場合じゃないのに。

 恐らくここで時間を潰せばまた新しく魔術師がこっちに来る。

 それまでには――――


「見つけた」


 そう言ってアリアは土を掻き分け扉を見つける。

 もちろん、どう見てもただの土にしか見えない。

 城の裏から入れるような仕組みじゃないからな。


 そこで、アリアは魔力を込める。

 すると、土は解け階段が出現した。


「アリア、お前探索系の魔術使えるのか」

「……違う。でも声が聞こえただけ」

「……まあいい。ありがとう、アリア」

「……うん」


 照れ隠しにアリアは返事する。やはり可愛い。

 オレはついついアリアの頭を撫でてしまった。


「ふぅうう」

「お疲れ」


 ここでエミリーが登場。無傷であの二人の魔術師を倒したようだ。


「ほら、言っただろ?」

「って、私魔力大分減ったんだけど!!」

「あー、ま。大丈夫だろ!!」

「何が!!」


 ま、なんにしてもお手柄だ、アリア。

 オレたちは城の侵入に成功した。


 待ってろよ。リーナ。

 必ず救ってやるからな!!


 ここでオレは気づく。

 城の避難ルートに無数に刻まれた魔術陣を。


 ※※※※※


 新星歴二九九八年六月六日 午後十一時頃


 タレミシア魔術大国王都のとある巨大な地下室にて、ある会合が開かれた。


「姫様が攫われた!」

「くそ! ゼルベルンは一体何をしているのだ!!」

「一刻も早く姫様をお助けにならなければ!!」


 騒然となる会場。そこで一人の魔術師が机を叩く。


「静かにしろ!! 今は責任の押し付け合いしている場合じゃない! 俺たちは姫様を救うべく集まった同志。作戦会議と行こうか」


 そう言って魔術師は士気を高める。


 その魔術師の名は元タレミア魔術師団団長そして、タレミア復国団団長。

 アミール・タルタロス。


「それで団長、作戦は?」

「今、城に乗り込むにしろ多くの魔術師が滞在している。かといってジークたちが使った避難ルートからの通路から侵入は不可能だ。あの裏ルートは外部からの侵入を防ぐために何重もの探索阻害と防護の結界魔術が仕込まれている。よって、俺たちは真っ向からうつしかない」


 アミールは告げる。


「そこでだ! まず第一部隊が俺の合図に迎撃。完璧な詠唱で城の結界魔術でヒビでも良い。傷をつける。ここで奴らの魔術師が現れるだろう。そこで第二部隊が抗戦する。その際、俺はグレイバルに接近する。奴を倒せれば我らの勝利だ!」


 ここで一人の魔術師がアミールに質問する。


「しかし、団長一人でグレイバルを倒せるのですか?」

「俺一人でいい。もし複数の魔術師が侵入すると奴に探知されかねない」

「ですが!!」

「安心しろ。俺は必ず勝つ」


 そしてこの作戦に誰一人、異論は唱える者は居なくなった。


「行くぞ!! わが祖国を取り戻しに!!」


 こうして内戦は勃発する。


星★★★★★、レビュー、感想、ブックマークのほど、よろしくお願いします!!


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