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1-54 『タレミシア革命』後


 タレミア王国で起こった内戦、王国が滅亡し新たな王を迎え建国したことにより、この内戦の名を『タレミシア革命』と呼ばれるようになった。

 これにより、全ての国の民は魔力促進剤により大幅な魔力を上昇。国のもとで運営されていた国立タレミア魔術学園は「私立タレミア魔術学園」となり、学園長ゼルベルン・アルファが独自に運営することになった。


 そしてタレミア王国は「タレミシア魔術大国」と名前を解明し、その名は瞬く間に全世界へと広がった。 


 ※※※※※


 新星歴二九八八年五月十三日


「それで何の用だ、フレイ・ハズラーク?」


 ここはザノア帝国帝城アルカナディアの玉座。

 皇帝グローリアル・ザノア・アルカナディアは五大魔術師(クインテット)フレイ・ハズラークの急な訪問を受け、すぐに応じた。


「一昨日、タレミア王国が陥落したのは知ってるよね?」

「もちろんだ」

「そのタレミア王国の王族の人を今預かってるんだけど、城で保護してくれない?」


 その言葉を聞いて皇帝は呆れて頭を抱える。


「……なぜ他国の問題をわざわざ持ち込んだんだ?」

「そんなの、ほっとけないからでしょ」

「貴殿は仮にもザノア帝国、それも侯爵なんだぞ」

「それが? 困っている人を助けるなんて当たり前でしょ? 国が絡むからって見殺しなんて私にはできないね」


 まったく、とんだお嬢様だ。

 フレイが世界最強でなければこの話も却下できるものなのだが――――


「我に預けるより貴殿が保護するほうが安全だと思うが」

「だったら、今後仕事を振らないでね。じゃないと保護しようにもしきれない」


 ハズラーク家の屋敷は多少結界魔術は施してあるものの、フレイが出かけている間は完全に保護できる保証は無い。

 だとしたら――――やはり、帝城に住まわすほうが懸命か。


「わか――――」

「待て、ザノアの皇帝よ」


 その時、一人の魔術師が突然と姿を現した。

 その魔術師は精霊族特有の長耳と年を取ることを知らないほどの美貌を携えた世界最強の魔術師。

 五大魔術師(クインテット)第二位 ゼルベルン・アルファ。


「この前は助かった。礼を言う、フレイ」

「いえ。学園長の頼みなら断れないでしょあなたに育てられて今の私がいるんですから」

「……立派になったな」


 フレイもまたタレミア魔術学園の卒業生。生徒が巣立ち立派になったフレイを見てゼルベルンは笑みを浮かべる。


「それで、わざわざなぜあなたのような魔術師がここに来られたのですか?」


 皇帝もまた敬語せずにはいられなかった。それほどに偉大な魔術師は答える。


「タレミア王国王族アメリア・ランドロード・タレミアは私が身元を引き受けよう。彼女はまだ公然の前に立っていない。それにここでずっと暮らさせるのも酷な話だ」


 アメリアはまだ五歳。ずっと城に引きこもらせるのは将来、外に出られたとき困ることになる。それを懸念してゼルベルンは身元を引き受けることにした。


「それは了承しました。しかし、その他に言いたいことがあるのではないでしょうか?」


 すると、ゼルベルンは膝を崩し正座になる。


「だから、他のことはよろしく頼む。……この通りだ」


 皇帝、その側近、そしてフレイまでもが驚く。

 ゼルベルンは懇願するように土下座をした。


「そんな、頭をお上げになってください……! わかりました。後のことはこちらが引き継ぐので」

「ありがとう」


 ゼルベルンは立ち上がり、礼を言ってこの場を去った。

 そして、フレイはアメリアと話し合いをする。


 ※※※※※


「待たせちゃったね、アメリア」

「……うん」


 城で一番見渡せる場所、そこでアメリアはずっと夕空を眺めていた。


「……君の世話してくれる人が決まったよ。これからはその人と暮らすんだよ。あ、大丈夫。私の恩師だから心配しないで……!!」

「おんし……?」

「えっと、いっぱいいろんなことを教えてくれた人。かな?」


 アメリアはフレイの《未来眼》で見た通りの場所で一人蹲っている姿で保護された。

 最初は、フレイを警戒していたけれど徐々に慣れていき、アメリアが自身の名前を言ったことでフレイが帝城へと足を運んだわけだ。


 アメリアは話す。


「……あたし、どうしたらいいの? パパもママも居なくなって……こわいよ……パパ……ママ……」


 五歳には余りにも残酷な話だ。今まで育ててもらった両親が居なくなり天涯孤独となってアメリアは今、将来を暗く案じている。


 フレイはその様子を見て答える。


「アメリアちゃん、君のやりたいことって何?」

「やりたいこと?」

「そう、やりたいこと。なりたいものでもいいよ」

「なりたいもの……」


 フレイの問いにアメリアは思い出す。

 それはジークとアミールが魔術がぶつかり合うところ。

 アメリアはそれをかっこいいと思った。だから――――


「魔術師になりたい」


 これがアメリアの答え。

 すると、フレイは大声で言った。


「そうだよ!! 君はそれで良いんだよ!! 確かに過去は変わらないよ。でも、君には夢がある!!

 なりたいものになりなさい。君にはその資格がある」

「でも――――」

「大丈夫。そのうち君はパパもママもにも会える。その時、君は魔術師になったんだよって言えばいいんだよ!」


 アメリアはこの時思った。

 魔術師になりたい、と。

 いつか、ジークやアミ―みたいに強い魔術師になれば絶対にパパとママに会える、と。


 そして、このフレイの言葉は原動力となった。




 アメリア・ランドロード・タレミアはゼルベルンの提案で「リーナ・ラカゼット」と名乗るようになり、私立タレミア魔術学園に入学した。

 その後は知っての通り、常に首席として学年最強に君臨し、ノア・ライトマンと出会うことになる。


 ※※※※※


 そして、リーナは今タレミシア城(旧タレミア城)で囚われている。


「おはよう、アメリア」


 リーナが起きると、奴がいた。


 国を陥落し、国ごと奪った元凶。

 奴の名はグレイバル・サタン。


 グレイバルはまたアメリアにまた牙を剝いた。

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