そら飛ぶドーナッツ
俺の名前は蒼井 照!
今日から晴れて高校生!
わくわくがとまんねぇ!
よし、必要なものはそろった!
玄関を出る!
「行ってきま~す!」
道に出るとそこには……
いや空には……
ポン・デ・リングが浮いていた。
え?………
しかもでかい。
目測直径10km
いやでかすぎだろ……
いやなんで浮いてるんだよ……
俺がびっくりして固まっていると、老人が話しかけてきた。
「おぬし……あれが見えるのかい。」
はい……できれば、見えたくはなかったかな…。
「そうか、おぬしは選ばれし人間ぞ。」
え、えぇ、、。
「これを、おぬしに授けよう。」
と、言って渡してきたのは、エンゼルフレンチ。
いや、ポン・デ・リングじゃないのかよ。
「これを腕にはめるのじゃ。」
え、えぇ、、。
微妙にベタベタしてる……。
「やぁ。」
………
俺はほんとに嫌だった。
ほんとに嫌だったけど、声のする方に目をやった。
はるか上空に浮かぶ、ポン・デ・リングに。
「やぁ。」
そろそろ驚かなくなってきた自分に、驚く。
しかもまだ貰ったエンゼルフレンチはめてないしね。
普通はめたら聞こえるとか、そうゆうのじゃん。
「僕の声が聞こえるのかい?」
あー、聞こえる……。
そう答えようとしたとき、横から急激な打撃を食らう。
ぐはっ!
俺は吹っ飛ばされる。
2mは飛んだ。
俺に当たってきた正体の方へ、目をやる。
そこには、等身大サイズのクリオネが倒れている。
ク、クリオネ……。
すると、クリオネがスッと立つ。
「いっけな~いちこくちこく~」
………。
クリオネが結構なスピードで、走っていく。
しかも俺と同じ制服着てた。
後ろを向くと、あの老人が倒れている。
いや、絶命している。
俺の同級生は全課1犯のクリオネかよ……。
「おい、無視するな。」
あ、ポン・デ・リング。
ごめん。
いや何がごめん、だよ。
「ぼくちゃんと契約して、魔法少年になってよ。」
もうぼくちゃん呼びはいい。
せめて魔法少年にならなければいけない理由をのべてくれ。
「ポン・デ・リング星で、大戦争が起こったんだ。
このままだと、ぼくちゃんの母ちゃんが死んじゃうよ!」
あー。
多分俺に勝ち目ないね。
ポン・デ・リングって無性生殖なのかな……。
「さもなければ、この星攻撃しちゃうぞ。」
なんでだよ。
「さあ、そのエンゼルフレンチを腕にはめるんだ。
そしたら魔法少年の契約完了だよ。」
いやこれなのかよ。
あぶな。
はめるとこだったわ。
いや、あの老人も頼まれてんな!魔法少年。
「君、バナナは好きかい?」
……。
まあ、好きだけど。
「さあ、そのリングを腕にはめるんだ。」
やだよ。
「じゃあこの星を攻撃しちゃうぞ。」
その時、はす向かいから男の子が出てきた。
今日から中学生なのか、なんの汚れもない学ランを着ている。
上を見て、めっちゃ驚いてる。
俺はその男の子に近寄る。
「君、このエンゼルフレンチを腕にはめるんだ。」
あなた、疲れてるのよ。