第9話 プチ観光。
私も上野さんも緊張がなくなったのか、いつの間にか周りを気にせず、二人で会話していた。まあ、周りから見たら腕時計を見ながら独り言を言ってる人がいるという感じだろう。
「俺さ、新潟来るの初めてなんだよね~せっかくだから、どこか観光したい♪」
「どこ行きたい?①アニメ漫画コース ②海コース どっちがいい?」
ちょっといたずらっぽく私は言ってみた。
「アニメ漫画コース?そりゃ、声優として、アニメ漫画好きとして①のアニメ漫画コースでお願いします。って新潟でアニメ漫画コースって何?」
「あれ~知らないの?新潟って意外と漫画家さん多いんだよ~有名な野球漫画〇カベンとか、うる★やつらやイニシャル〇とか、るろ剣とかとか…まだまだ沢山いるんだよ~でも、残念なことに新潟ってアニメが沢山流れるテレT地上波で流れないのよ~」っと色々地元話をしてみた。
で、二人でN市の『マンガアニメ情報館』を訪れながら、信濃川や日本海を眺めたりした。
「お昼どうする? 新潟名物でいい?」
っと張り切って観光案内している私。
「今日は、お任せします♪ 初デートだもんね(笑)」
と、いたずらっぽく彼が言う。
お昼は、へぎそばと半身揚げを食べて上野さんも大満足してくれたようで
「鶏肉大好きなんだよね~いろんな所のから揚げ食べてきたけどカレー味でなかなか美味しかった。布乃利のへぎそばも、のど越し良かった~」
という言葉をもらえて私も大満足。
「あのさ~今更なんだけど、なんて呼べばいい?っていうか、色んな出来事ありすぎてフルネーム聞いてないかも…」
上野さんが聞いてきた。
「改めまして、小林真奈美です。う~ん。何て呼べば…」
「じゃあ、まなちゃんでどう?」
「うん♪」
(なんか嬉しくなっちゃった)
現実を逃避したいのか、この奇跡を楽しみたいのか、私は今だけを感じていたかった。