エロゲの少女は自分に自信が無いようです
「にしても、ほんとにこんなことあるんだなあ」
「ちょっと!よそ見しないでよ!ちゃんと見てなさいよ。」
「ヘイヘイ。てか、これ勝手に沸くから、見るもクソも無えと思うんだが」
「うっさい!誠司は黙ってればいいの!」
なぜ俺がこんなことになっているかはほんの10分前に遡る。
〜10分前〜
ハルネが現実世界にやってきて1時間ほどたった頃、俺たちは今後のことについて話し合っていた。
「で、お前はゲームのプロフィールに書いてるように料理はできるのか。」
「うん、ってもただのシステムだしあんまり気にしないほうがいいかもよ。」
ハルネはゲームのプロフィールに書いてあることは一通りできるらしい。
ちなみに、こんな感じ。
『金髪ギャルのツンデレちゃん!なのに超家庭的!家事はもちろん料理だって作れちゃう!将来のお嫁さんにい
かが?』
俺は初めて見た時「ハルネたんルートでもいいかな?」と思ったが、なんせ難し過ぎる!上手く自分の気持ちを
表現できないハルネは一つでも選択肢をまちがうと大変なことになってしまう。それほどのやつなのだ。
「別に期待はしてないさ。」
「はっ⁉︎今何てーー」
「俺のために作ってくれるのなら、なんだって嬉しいよ。」
俺は少しからかうような口調で言ってみたのだが、言われた方はめちゃめちゃ照れてた。顔を赤くし、下を向いている。
「は、初めからそう言えって」
「え?なんて?」
「うるさい‼︎お、お前は一旦黙れぇ!」
そういうと、ハルネは子供のようにそっぽ向いた。
(なんだ、結構可愛いとこあるんだ。)
俺はキッチンに向かいながらそう思った。
「よし!じゃあ、今日は俺が作るな。なんか食べたいものあるか?」
「あんたが食べたいやつでいいよ。」
俺が食べたいやつって……いや待てよ。これはエロゲで言う分岐ルートか?ならば答えは簡単だ。
「んー、俺もなんでもいいんだよなぁ。てか、ほんとにないのかよ。」
「無いかな。食べれればなんでもいい。って言うか私はどうせシステムだし」
どうやら、ハルネは自分がシステムの一部であることを理解しており、そのことになにやら嫌悪感のようなものを抱いているらしい。
「なあ、おま……ハルネ。」
「なに?てか何名前で読んでんの?キモいんだけど」
こいつは自分がシステムの一部であることが嫌なんだ。だからここで俺がすべき選択は、
1.「お前はシステムだ」と言い張る
2.「お前はシステムなんかじゃない。ハルネだ」と肯定する
これしか無いだろ。