表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/93

???

ご報告


タイトルを【幼馴染みの彼女がいるのに異世界に召喚されて妹ハーレムができました〜血の繋がりはないのに実妹ってどういうこと?〜】から【異世界召喚されたら血の繋がりがない実妹にしこたま扱かれました】に変更しました。


長さが気になっていたので、これで少しはスッキリした気がします。


では、本編へどうぞ。

 セルベティア大陸奥地。

 ここには我の城があった。丘の頂きに建てたそこから望む眺めは雄大であった。

 遠くまで広がる緑の絨毯。

 日も刺さぬ森の闇から聞こえる魔物共の叫びは、命の息吹を感じられた。


 そんな優美な場所も、あの(にっく)き七代目勇者、ヒナタ・フジサダとの戦闘でお気に入りであった丘ごと崩壊してしまったが。


 我が万が一の時のために用意していたスペアの肉体さえ滅ぼしおって!


 ゴワァアアッと我の全身から闇の魔力が噴出する。

 生前に比べれば幾分も弱くなってしまった力にすぐ萎んでしまったが。

 別に三代目勇者が怖かったわけではないぞ? ただ、万一セルベティアを立った奴が戻ってこんとも限らんからな。リスクは負えんのだ。


「こんなちみっこい身体になってしもうて、我は情けないぞっ」


 あれから三年。一年前に目覚めた我は、自らの貧弱な肉体に嘆いてばかりいる。


 見よっ、この手をっ! ほっそりとした指にぷにぷにの掌!

 見よっ、この腕をっ! 力強さもなく、やわやわな二の腕!

 見よっ、この身体をっ! 胸から腹にかけて凹凸がない! ちょっぴりお腹が出ているのがショックだ!

 見よっ、この足をっ! 短くて歩き難いわ!

 見よっ、このほっぺたをっ! もちもちしていて撫でると掌に吸い付きよるわ!

 見よっ、この視界をっ! 余りにも低いっ。人混みに紛れると簡単に飲まれてしまうわ!


 我はっ! 我はっ!


「我は……魔王なのだぞーーっ!」


 余りに嘆かわしく、我は魂の叫びを上げたわっ。


 ???→ディザストルム 元魔王ちゃん①


 我の名はディザストルム。泣く子も黙り、死を覚悟する魔王である!


 そう胸を張れたのは僅か三年前の話である。

 たかだか三年の月日で人間共は自らの領土を復興させ、発展させるに至った。

 我にとっては三年など瞬きの間でしかない。なんせ千年は生きているからな!


 そう胸を張ったところで、この貧しい肉体では威厳も出ん。精々愛らしく思われる程度だろう。

 配下も居らんし、誰も見ていない。四つん這いに崩れ折れたところで誰も見咎めん。


 白状しよう。我はもう世界の支配なぞ考えておらんのだ。

 我が目を覚ましたのは一年前。人間共に虚を突かれ、魂を剥離された七代目勇者の飛び散った魂を、死んでレイスになった我自身が捕まえたのは覚えている。


 何故かこんな肉体に憑依してしまったが。

 この者の記憶によれば、親に捨てられたようだった。

 セルベティアはまさに魔境よ。並の魔族が生き抜くには、少しばかり過酷が過ぎる。


 我が子を助けるためか、囮にするためかは知らぬが、思い叶わず、この者は衰弱死してしまったが。

 そのお陰で我はこうして肉体を得たのだから、文句はないがな。


「しかし、嘆かわしい話だ。我が魔物を抑えていたというに、その力ももう使えはせん。実に人間とは愚かよのう? (けい)よ」


 魔人族の勢力は衰えたが、魔物は暴虐の限りを尽くしておる。

 我にはテイム――魔物を隷属させる魔法があるからな。無尽蔵の魔力を用いて全世界の魔物を支配下に置き、その力を活用していたのだが、今ではトレチュ一匹を使役するのが精一杯。

 厳密には魔物ではなく魔獣であるが。


 それはさて置き、指導者が居らねば、魔物なぞただの(けだもの)よ。

 欲に動き、快楽を求むおぞましき魔界の生物に過ぎん。

 人間共は我が暴走させていたと考えていたようだが、事実は逆よ。

 我が居たから魔物は纏まり、一個だの意識を持って侵攻した。それが人間共にとっては、悪であっただけの話にすぎん。


 パチパチと右目の瞼を開閉すれば、我の血のような赤い眼に魔方陣が浮かぶ。

 右目で見る世界は我の目の前に映る森ではなく、我が唯一使役できた魔獣、置いて行かれたので、こっそり同行させたトレチュが見る世界である。

 彼奴の力は弱く、三代目勇者でも敵意を向けなければ存在には気付けんだろう。


 トレチュの右目にも、我と同じ魔方陣が浮かんでいるはずだ。


 少し高い位置であった。兄と三代目勇者がじゃれあっておる。

 一方的に兄が転がされている。半月ほど見ていたが、兄はまだまだ弱い。

 そも、三代目勇者一人で兄を育てるのは無理がある。

 随分と無茶もしたようだが、あれではのう。


 兄に懐いたトレチュ、あれは我の差し金である。そも、トレチュは人に懐かんからな。

 テコ入れでもせんと、あのような態度は取らんて。


「はてさて、どうしたものか」


 兄に何時接触しようか悩む。

 我にはもう人間共をどうこうしようなどという意思はない。それは“七代目勇者”の記憶によるものが大きいのだと思う。

 まさか我の思想を根底から覆すとは……流石我を滅ぼした勇者と言える。生きるためとはいえ、奴を取り込んだのは失敗であったか?


 “こやつ”め、兄に強い恋慕を抱いておるわ。

 異世界――ニホンと言うらしい――は平和そのものであったようだからな。

 十歳で家族と離れて抱いていた淡い初恋の想いが強くなったのは当然と言えようが……我にその想いを押し付けてこようとは、想定外が過ぎるのう。


 五年――目覚めてからは六年目になるか――、それだけの想いが我の中で強まっていく。


 早く生で顔を見たい。声を聞きたい。褒められたい。撫でられたい。手を繋ぎたい。抱きしめられたい。おぶられたい。一緒に寝たい。風呂に入りたい。共闘したい。――殺したい。


 最後のは狂気の部分である。

 我ら“七代目勇者”の魂を宿す者は、“奴”の精神性を引き継いでおる。

 三代目勇者は察するに、『優しさ』であろうか。


 我は『嫉妬』であろうな。

 強くはない。抑えることもできる。ただ、三代目勇者と笑い会う兄を見ていると、ドス黒い想いがこの薄い胸の奥で渦巻きおる。

 今の兄ならば簡単に取れるだろう。

 行動に移せば、深い後悔と虚無が渡来することは目に見えておるからな。

 我の理性で抑えておるのだが……


 パチッと右目を閉じる。再度開けた時にはもう兄の姿は見えん。

 深い闇を孕んだ森が広がるだけであった。


「先ずは鍛え直しが必要か。今の我では、三代目勇者には勝てんからな。せめて、兄の傍に()れるくらいには強くならんとな」


 以前も三代目勇者が我の魔力に反応しおったし、明らかに生前よりも強くなっておる。

 錬金術も身に付けておるし、元魔王だと判明すれば、奴お得意の【ウィンド・カッター】で細切れにされかねん。

 それは御免蒙る。


 故に、強くなる必要がある。幸いにも、我には【ステータス】があるからな。これを目安に鍛えれば良いだろう。


 ―❖―


 ディザストルム(♀)


 12歳(572歳)


 LV:357


 HP:28355/28355

 MP:54010/56315

 STR:9358

 ATK:3548

 VIT:5831

 DEF:9845

 INT:15421

 RES:5698

 DEX:3784

 AGT:4514

 LUK:87


 EXP81236354598/150000000000


 《称号》


 元魔王 憑依者 二魂 嫉妬に狂う者 理性者 セルベティアの愛子


 ―❖―


 我が幼少の頃、セルベティア様に頂いたこの世界には存在せん魔法である。

 ニホンで兄のやっていた、あーるぴーじーゲームとやらで見たものと酷似したものだ。


 【鑑定】を使えん我では詳細が分からんが、強さの大まかな目安と理解しておる。

 『STR』や『ATK』が我の力具合や攻撃力を意味しておるとか、『DEF』が我の頑強さを意味しているとか、『HP』は生命力、『MP』は魔力の総量を表しているというのは経験で理解しておる。


 現に攻撃を受ければ『HP』が減るし、魔法を使えば『MP』が減る。

 トレチュと視界を【リンク】で繋いでいたからの、今も少し減っておる。


 我が検証した結果、この辺りにいる魔物から得られる『EXP』は一万程度。

 一つ『LV』を上げるのに随分狩らねばならんが、奴らは魔界より(いず)る、この世界外の異物。

 幾らでも湧いてくる故、狩り尽くしてしまう心配もない。

 害にしかならぬから、狩り尽くしたとて大した問題にもならぬしな。


 人間共は勘違いしておるが、魔物と魔獣の定義はハッキリしている。

 この世界で魔力に当てられて異形化した獣を魔獣と呼び、魔界より出る者を魔物と呼んでおる。

 ニホンではなんと言ったか……外来生物であったか?

 それが魔物ということだな。我が飼育していたクセーフスは魔獣となる。


 閑話休題(話が逸れたか)


 はてさて、兄よ。貴様はどのように生きるのであろうな? 間見えるその時まで、精々死んでくれるなよ?

補足


【ステータス】は元魔王ディザストルムだけの固有魔法で、“ほぼ”本編に絡んでくることはありません。


時折ディザストルムが確認するために開く程度なので、今後一切でなことも……“ほぼ”は保険です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ