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第四十三話 クワンド⑪

クワンド編も終わりなんで、本日三話目

 丸太一本に跨り、手頃に真っ直ぐで幅のある枝をオールに見立てて、海をゆく。


 辺り一面、幹やら枝やらが浮かんで随分汚くなっている。

 大型の木造船でも難破したみたいだ。きっちり加工された板なんてないけども。


 波は穏やかなもので、これなら直ぐに浜へ戻れるだろう。


 にしても時間が掛かった。小屋を出て二日目だけど、もう一週間以上はここに居る気がする。

 実質、俺の体感? 精神感? これはなんか違う気がするが、まぁ、言いたいのは、俺視点ではそれぐらい長かったってことだ。


 さてさて、(おか)まではまだまだ距離がある。

 少しばかり、クワンド人型との戦いを振り返ってみよう。


 ◇


 ほんの十数分前、コアを見付けて三度目。俺は難なくクワンド人型と対峙するに相成った。


 最初の刺突を防がれ、跳び上がってからの大上段も効かず。

 後は防戦一方となった。そう持っていった。


 狙い道理、俺は耳朶を裂かれ、胴を掴まれた。

 ここからが勝負だ。


 身体が引っ張られる前に、左手で壁の枝を掴んだ。手頃な先端の尖っているやつだ。


 数分ほど、力は拮抗したが、壁の枝が耐え切れずに、メキメキとしなって軈てポッキリと折れた。


 引き寄せられた先で、三十センチ強の長さのそいつをクワンド人型の鳩胸にブスリと刺した。


 腹を狙った腕は弾くことに成功した。

 かるーく脇腹を抉って行ったが、それも許容範囲だ。


 ただ、枝の入りが浅く、クワンド人型はよろめいて俺を離しはしたが、討伐できる傷ではなかった。と思う。


 そう思った俺は念を入れて、ヤツの肩を支えにして、枝に膝を叩き込んだ。数ミリ入ったのが分かった。まだ浅い。

 何度も繰り返した。膝の皿が割れるんじゃないかと思えるほど、何度も。

 抵抗を受ける前に高速の膝打ちだ。


 その甲斐あって、致命的なパリンって音が聞こえた。俺の皿じゃないぞ?


 多分コアだ。赤紫に発光するクワンド人型の胸部がそれを裏付ける。


 胸部がコアと一緒に弾けて数十秒、驚いて尻餅をついた俺を巻き込んでクワンドは崩壊した。


 ◇


「ゴーレム・タイプは、濃縮な魔力の結晶が自分を守るために生み出される魔物」


 回想も終わった。

 丁度浜に着いたので、丸太をざっくり切り揃えて、担ぎやすいように森に生えている丈夫なツタを使って縛り、輪っかを作る。

 詳しくは説明できんので、自由に想像して欲しい。


 まぁ、それは良いとして、今はクワンドに付いて考えている。


「クワンド人型は囲う球体よりも脆かった。だから倒せたんだな」


 同じように倒せと言われたら、できるように口に出して整理しているとこだ。


「理由はなんだろうな、っと」


 五十センチ程に切り揃えた丸太を四本束ねた。二二で四角になる形だ。

 太さは俺の太腿くらいだから、そう嵩張るものでもない。


 跨って来たものとは別に、浜に打ち上げられた丁度よさそうなのを見繕い、切って長さを揃えた。


「うーん? 周囲に斑点がなかったのはコアを万が一にも傷つけないため。根っ子が襲ってこなかったのも、同じ理由だろうな」


 丸太を縛り終えたら今度は荷物だな。今日の昼飯と晩飯。明日の朝飯の三食分が入ってるから、捨てておけない。


「じゃあなんでクワンド人型は囲いよりも脆いのか。……あった。あれだ」


 遠目に見えた袋に寄って、中身を確認する。

 …………問題ないな。全部ある。


「囲いを壊さないため。獲物を逃がさないようにするためだろう。コアまで近付けるなら結構な手練だろうからな。クワンドが食い意地を張った結果かもしれない」


 来た道を戻り、縛った丸太に座る。

 太陽は天頂よりやや東寄り、かな。丁度昼飯時だ。


「案外力を加えると折れ易いってのは、難点だよなぁっと」


 折った時はそんな感触だった。

 今度戦う機会があったら、覚えておこう。

 弾力のある干し果物を齧り、物思いに耽った。

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