第三話 ふたりのリリアンの邂逅。一瞬だけど・・・・・
おおっ!?こんなの読んでくださってる皆様がいらっしゃるとは!?
ブクマや評価まで・・・・・
ありがとうございます!!ひたすら感謝感謝です。
今回は本編制作に一時間二十五分かかってます。
ちっとも早くならない・・・・・
内容!?粗製乱造ですよ!!
まあ、ゆっくりやっても、あんまクオリティーはあがらないんですけど(涙)
ちなみに前書き後書きに、十分以上、別時間をとっているという・・・・・
「・・・・・今、グラスを割った侍女たち、あとで鞭打ち100回の刑ね。ああ、気絶から覚めてからでいいわ。こわがる顔が見えないとつまらないから。そうそう刑の執行は私がやるわ。まず鞭で顔を叩いて、その裂けた顔を鏡でじっくり眺めさせ、そのあとこの城のみんなのさらし者にしてやるわ」
残酷な命令に人々はふるえあがった。
リリアン姫はたとえ欠伸をしていても、人を罰する機会は決して見逃さないのだった。
城代と執事はこそこそ話し合った。
「そんな可哀そうなことができるわけがない。顔に瑕が残るどころか、死んでしまうぞ」
「どのみちドラゴンがやってきたら、この城はむちゃくちゃになる。その隙に逃がそう」
善人の二人は堪え切れず、侍女を助ける内緒話をした。
だが、声をおさえたつもりだったのに、リリアン姫の地獄耳は、はっきりと話を一言一句逃さずに聞きとっていた。
〝・・・・・・城代は釜ゆで。執事は車裂きね〟
リリアン姫はぜひ「犯行現場」をとらえ、ことあるごとに自分を諌めようとする二人を処刑しようと決意し、紫の舌で舌なめずりをした。そうだ。ドラゴンの鱗はとても鋭いそうだから、それで人間がどこまで擂りおろせるか試してみよう。と思い直し、それは不気味な顔で笑う。
ぞっとする家来達をよそに、いたって上機嫌でリリアン姫は命じる。
「さあ、ドラゴンを呼ぶわよ。全員武装して40秒で集合なさい。遅れた人間は、先陣を命じるわ」
さあ大変だ。お城はとても広いのに。
城じゅう蜂の巣を突いたような騒ぎになった。
家来達が血相を変え、取るものもとりあえず、おっとり刀でかけつけたのは言うまでもない。
鎧など皆まとう余裕などなかった。
刀や弓など武具を持ってこれたものは、まだ幸せだった。
人間パニックになると、自分でも思わぬ行動をとる。
矢しか持っていないもの、パンを抱えたもの、バケツをぶらさげたもの、悲喜こもごもであった。
自分達の命運がつきたことを悟り、呆然としている家来達を見て、元凶のリリアン姫は笑い転げた。
その声は豚のキーキー声にそっくりだった。
「さあ、いくわよ。全員配置につきなさい」
武装をやり直す機会さえ与えず、リリアン姫はそう命じた。
家来達にとっては死刑宣告に等しかった。
彼らは一様に、リリアン姫がドラゴンに食われて死ねばいいのに、と強く願った。
まさか、そのとんでもない願いが間もなく叶うことになるとも知らずに・・・・・
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
そのころ、この物語の主人公、ピンクのドラゴンのリリアンは、エルモア領の上空を飛翔していた。
全力で空を飛ぶのは快感だった。興奮に二本の尾をくねらせ、リリアンは疾風と化していた。
気のいいドラゴンのリリアンにただひとつ欠点があるとすると、それはスピード狂ということだった。
エルモア領の向こうの山脈では、前を飛んでいる亜竜のワイバーンの群れを見て辛抱たまらず、追っかけこをしかけたあげく、ワイバーン数匹を空気圧ではねとばしている。
ただ、今リリアンが高速で羽ばたいているのは、スピードに酔っているからだけではない。
それが証拠にリリアンの顔はにまにましている。
エルモア領に入ってすぐに、リリアンは地上から聞こえてくる歌にひきつけられた。
リリアンの耳は特別製で、意識を集中すれば、はるか遠方の音を聞き分けることができる。
リリアンの目が驚きに見開かれた。それは、エルモア領のリリアン姫をたたえる歌だった。
自分と同名の人間の姫は、おおよそ人間としての欠点の見当たらぬ、誰からも愛される美少女らしい。
リリアンはすっかり嬉しくなった。
子供達はよほど熱をいれて唄っていたのか、感極まって涙までこぼしているようだった。
ほんとうは意にそぐわぬことを強要されての涙なのだが。
さらに、リリアンの竜眼は、街じゅう至るところに貼られている、リリアン姫の似顔絵を見つけた。
今までリリアンが見たことがないほどの美少女であり、リリアンは我がことのように鼻高々……いや、ドラゴンなので尻尾を高々と自慢げにさしあげた。
〝そうねっ!!やっぱりリリアンって名前の子はこうでなくっちゃ!!〟
しかも自分の大好きな、歌や絵で褒められている。
飛翔しながらリリアンはすっかり舞い上がってしまった。
・・・・・とんでもない勘違いである。リリアンが「地獄のかっこう姫」ことリリアン姫をまじまじと見たら、ショックのあまり墜落するのは間違いがなかった。
いうまでもなく、童子達が泣きながら歌わされていた歌と、街を埋め尽くさんばかりに貼られていた似顔絵は、嘘八百のリリアン姫をたたえるものだった。
五割増しなどのかわいいものではなく、五十倍でもまだ足りないくらいだった。
プリクラのおめめパッチリ機能どころか、被写体が目玉おやじになるほどの代物だった。
だが、ドラゴンのリリアンがそんなことを知るはずがない。
彼女はすっかりニセのリリアン姫像を本物と思いこんでしまった。
そのことが後にとんでもない事態を招くことになるのだが・・・・・・・
待ち受ける未来も知らず、うきうき気分でリリアンは飛び続けた。
心をうきうきさせる素敵な匂いがどこからか漂ってくるのだ。
鼻をぴくつかせ、リリアンはその匂いに夢中になっていた。
言うまでもなく、匂いは、化物姫リリアンのたいたドラゴンの香だ。
いつのまにか目立たぬように雲の合間を飛ぶのを忘れ、人の目に目撃されるほどの低空飛行にうつっていたのだが、まったく気づいていなかった。
丘が眼下で走る。目まぐるしく田畑が流れる。大風で家の屋根が鳴る。
この日、エルモア領の人達は、空を覆う巨大なドラゴンの影を目撃した。
悲鳴をあげて気絶するもの。あわてふためいて川にとびこむもの。棒立ちになる馬。きゃんきゃん鳴いて尻尾を丸める犬。ニワトリは叫び、子供は泣き出し、風圧で人はなぎ倒された。
ドラゴンハンターが言い残したとおり、たしかにドラゴンは天災そのものだった。
人々は地面に必死にしがみつき、どうかドラゴンが一刻も早く、ここから飛び去ってくれるよう神に祈った。
そして、ドラゴンのリリアンを目撃したのは、エルモア領の領民達だけではなかった。
「・・・・・なんと美しいピンクのドラゴンだろう」
おしのびで花嫁探しをしていた王子が、うっとりと目を細める。
「・・・・・見つけたぞ、真竜。悪いが「彼女」のためにその命もらい受ける」
ドラゴンハンター最強の男が、きんっと剣の鍔を鳴らす。
だが、彼らが関わってくるのは、もう少し未来の話。
今リリアンが関わることになるのは、かわいそうなエルモア城の人達だ。
ぶんぶん流れる景色の先に、そのエルモア城が見えてきた。
匂いはたしかにそこから漂ってくる。
リリアンはたくさんの人達が、城の城壁や、塔の上にいるのを見た。
城の中で一番大きな四角い天守の屋上には、きらびやかなドレスを着たなにかがいて、大声でなにか叫んでいるようだった。いい匂いはその女に似たなにかの足元から立ち昇っていた。
「・・・・・あはぁ、みんな私を歓迎してくれろろ・・・・」
とろんとした目でリリアンは笑った。
ドラゴンの香は酒に酔ったような効き目をドラゴンにもたらす。
正常な判断力を奪うのだ。
なかにはからみ酒になるドラゴンや怒り酒ドラゴンもいて、結構危険なアイテムなのだった。
とろんとした目でリリアンは手をふった。
「おおい!!歓迎ありあろお!!今、そっちに行くね!!」
本人は元気よく挨拶したつもりだったが、至近距離で放たれたその咆哮は、衝撃波になってエルモア城を直撃した。
城全体が飛びあがるほどに鳴動し、突然のドラゴンの急接近に、成す術もなく右往左往していた家来達がおが屑のようにふっとんだ。幸い収穫が終わったばかりで、中庭には藁が敷き詰められていたため、命に別条はなかった。城の外に落ちた人間も、水飛沫をあげて堀につっこみ無事だった。
だが、エルモア城は一瞬にして戦闘継続能力を失った。
驚くべきドラゴンのパワーだった。
ただ一人しつこく石にかじりついて耐えた人間がいた。
偉大な体重と海よりも深い欲をもつ、元凶リリアン姫であった。
両手を広げ、リリアン姫は叫んだ。
「・・・・・だらしない家臣達ね!!あとで全員、死刑にしてやる!!こい!!ドラゴン、逃がすかあっ!!私が捕まえてやる!!ピンクのドラゴンアクセサリーは私のもんだあっ!!」
身の程しらずに両手を広げ、ドラゴンのリリアンに挑む。
それを止める良識ある家来達は全員気絶していた。
「・・・・・それってハグ!?ハグらのね!!いいわ、抱きあいましょう!!」
いっぽうドラゴンのリリアンも、すっかりドラゴン呼びの香でできあがっていた。
嬉しそうに身をくねらせると、まったく減速せずに、リリアン姫がいる天守に突っ込んだ。
リリアン姫が急速に目の前に巨大化する影を見て、はじめて恐怖に目を見開いたときはもう遅かった。
千の雷がおちたような轟音とともに、立派な天守の上半分が吹っ飛び、瓦礫と粉塵があたりを覆い尽くしたのだった・・・・・!
容姿だめ、能力だめ、性格だめだめの本家リリアン姫は、これでめでたく退場です。
頭でなく手で物語をつくっているので、展開はマッハです。
矛盾、誤字脱字あってあたりまえ!!