第二話 地獄のかっこう姫
高速うちこみを練習するため、一時間十分でしあげたものです。
一時間三千文字。ここがおいらの限界か・・・・・・
もっと・・・・・を増やさねば(笑)
チェックもろくにしてません。ゆえに内容のひどさは折り紙つき!!
手の動くままに話つくってます。
ちなみにこんな前書き後書きなのに、十五分くらい別時間とってます。
本文の手抜きっぷりがうかがえますねー
エルモア領のお姫様のリリアンは、最低最悪の13歳だった。
高慢、意地悪、嫉妬深い、残酷、あらゆる悪徳の言葉が彼女にはよく似合った。
似合わないのは怠惰だけだ。
召使いをいじめたり、他人をおとしいれる策略を練るときだけは、彼女は勤勉になったのだから。
そんな彼女は当然のごとく恥知らずであり自分の等身大の姿がわかっていなかった。
鏡を見る目はあったが、うつった自分の姿は都合よく脳内変換され、絶世の美少女としてうつっていたのだった。
現実はカバがドレスを着て歩いているのに等しかったのだが。
両親とも美形の家系なのに、こうまで酷いことになったのは、まさに類まれなる彼女のすさんだ生活と、にじみでる心の醜さの成せる技だった。げんに彼女の兄弟と姉は、中身はともかく見た目だけは、どこに出しても恥ずかしくない出来栄えなのだから。
口がさない領民たちは、リリアンのことを「地獄のかっこう姫」と呼んでため息をつくのだった。
領主夫妻は善人であり、リリアンの兄弟達も、まあ多少の問題はあれ、まあ想定の範囲内だ。
なのに、どこがどうして、あんなモンスターがまぎれこんだのか。
血縁だとは信じられない。信じたくない。
リリアンは醜いだけでなく、思いつきで無理な命令をくだすことで、領民達に蛇蝎のごとく嫌われていた。今日の領民達の受難は、リリアンの似顔絵貼りと、リリアンをたたえる歌を領内じゅうで唄うことであった。
ことの発端は、王国の王子達の嫁さがしであった。
国中の年頃の娘が色めき立ち、その噂はリリアンの耳にも飛び込んできた。
おのれというものを知らない愚かなリリアンは興奮した。
王子の花嫁の座をいとめれば、もっと贅沢とわがままな生活ができる!!
どっちかというと、しとめられるべきモンスターに近いリリアンだが、さっそく自分の似顔絵を大量に刷り、領内じゅうに貼り付けることにした。もちろん王子達の手の者の目に触れやすいようにだ。
似顔絵を描いた最初の絵師は、城で消息を絶った。
なぜなら、彼は絵師としてのプライドを捨て切れず、おのれに嘘がつけなかったのだ。
その後、彼の姿を見た者はいない。
次に強制連行されてきた絵師は、身重の妻と子供二人をかかえていた。
彼はなるべく眼前で気取ったポーズをとるリリアンを見ないようにして、架空の姫をかきあげた。
「・・・・・なに、これ。私の美しさの半分も表現出来てないじゃないの。まあ、いいわ。宮廷絵師でもないと私の完璧な美しさは描ききれないでしょうから。そのかわり、代金は半分しか払わないわ」
げっげへっと笑いながら、げっぷを吐きかけ、リリアンは絵師に代金を投げつけた。
絵師は命からがら城を逃げ出し、妻子をつれて他領に引っ越した。
またいつ難癖をつけられるかわからなかったし、もう一度似顔絵をかくはめになった場合、正気を保つ自信がなかったからだ。
・・・・・できあがったリリアンの自画像は、それはすばらしいものだった。
宝石のような緑のぱっちりした目、さらさらのブロンド。雪のような肌。
唇はさくらんぼを思わせ、ほっそりした体は均整がとれており・・・・・
町ですれ違ったら十人中十人が振り向くような美少女像であった。
本物のリリアンと似ているのは、目が二つと鼻がひとつ、口がひとつと耳が二つのところだけだった。
ああ、緑の瞳は同じでした。アオミドロの沼とエメラルドくらいの違いはあったけど。
どっさりとその似顔絵を渡された領民達は心の中で叫んだ。
〝これ、誰!!? 〟
そして詐欺行為に手を貸さねばならない不運を嘆きながら、どうか王子様の嫁探しをしている人達がこの似顔絵を目にしませんようにと願った。
詐欺行為の片棒をかついだと後で罪に問われるのはまっぴらごめんだった。
領民達の不幸はまだ続いた。
リリアンは次に自分をたたえる歌の制作に取り掛かったのだ。
最初に招かれた吟遊詩人は、リリアンの顔をじっと見ながら歌を思いつこうと苦心し、美徳がおどろくほどないのに驚愕し、醜い物を長時間見続けた反動で嘔吐した。
そして、やはり城から戻らなかった。
次に招かれた吟遊詩人はしこたま酒を飲むことで、詩人の感覚を鈍らせ、対応しようとした。
出来たのはあたりさわりのない無難な歌だった。
「褒美にお酒をたっぷり飲ませてあげるわ」
リリアンは機嫌をそこね、漏斗を吟遊詩人の口に突っ込み、樽いっぱいの酒を注ぎこんだ。
その詩人も、またまた城から帰ってこなかった。
最後の詩人は賢明だった。リリアンなんかの面と向かえば、詩の神のインスピレーションがことごとく破壊されると直感していた。
だから彼はあらかじめ事前に頭のなかで詩をつくり、城ではリリアンの顔をなるべく見ないようにし、無念無想でそれを書き出した。
「ひっどい詩ねえ。私の美しさの輪郭さえも伝わらないじゃない。まあ、こんな田舎ではこれが限界ね。そのかわり代金は半分よ。私が王子様の花嫁になったあかつきには、宮廷詩人に命じてふさわしい歌をつくらせなきゃ・・・・・・」
地獄のがま公爵を思い起こさせる姿でつぶやき、リリアンはでかい屁を一発こいた。
吟遊詩人はほうほうの体で城から逃げ出し、見聞を広めるといって海外に旅立った。
醜いものに触れすぎておかしくなった感性を、美しい景色に触れることでよみがえらせる必要があった。
かくしてリリアンの本物とは似ても似つかない美少女風似顔絵と、経歴詐称などというレベルではない大嘘ソングが出来上がり、大人は似顔絵貼りに、子供達は合唱に奔走することになった。
かわいそうである。
だが、それでも領民達はまだましだったのだ。
領主夫妻が公用で出かけている城で、リリアンはにやにやしながら、家来達にこう告げた。
「・・・・・王子達を狙っているメス狐達はたくさんいるわ。容姿では決してひけをとらないけれど、きらびやかな格好をされていると、それに王子達も目がくらみ、だまされるかもしれない」
四段腹をゆすると、リリアンはにやにやしながら、家来達を見渡した。
「私はあのブスどもに負けないお洒落をしなければいけない。さいわいなことに、今この領では何度もドラゴンが目撃されている。それも極上のピンク色のドラゴンよ。そいつを狩ってあの鱗でアクセサリーをつくったら、さぞ美しいでしょうね」
舌なめずりをするリリアン姫に、家来達は蒼白になった。
この世界においてドラゴンの戦闘力はとびぬけている。
ドラゴンハンターでなければ手に負えないが、その雇い賃は現代日本でいえば億単位になる。
熟練のドラゴンハンターでも命をおとす危険性と装備の高価さゆえこれは仕方ないのだが、そんな高額報酬をケチなリリアン姫が払うはずがない。となると残された答えは・・・・・・・
「・・・・・ドラゴンを狩るわよ。お父さまのしまっておいたドラゴン呼びの香は、事前に借りているから安心なさい」
手元のカードでなんとかする、だ。
ドラゴンを引き寄せる香をふりかざし、リリアンは高らかに宣言した。
借りるどころか、たった今、金庫の鍵を破壊して、勝手に持ち出したものだった。
領主の父親がいたら泣いてとめただろう。
それはドラゴンハンターの知りあいから、かって父親が譲り受けたものだった。
〝本物だから、絶対に面白半分に使うな。使うなら家ひとつない荒野でやれ。ドラゴンをもてなす供物もないなら特にだ。なだめるものがないと呼び寄せられたドラゴンは怒り狂う。もし街中などで使えば、街が地上から消え失せることになるぞ。ドラゴンは天災そのものだからな〟
との注意事項ととともにだ。
「・・・・・あのリリアン姫さま、ドラゴンへのお供物は・・・・・」
ドラゴンの香の存在を知っていた古い家来がおそるおそる問いかけた。
家来達の半分はすでに蒼白だった。リリアン姫の返事は想定できた。だが、最悪の答えはさらにその先にあった。
「・・・・・・供物なんか必要ないわ。すぐ殺してしまえばいいのだから」
家臣達はふるえあがった。
リリアンは手元のカードさえ出し渋る気なのだ。
「・・・・・で、では出立の準備を!!いそげ!!ぐずぐずするな!!」
だが、賢い家来達は最悪の未来を避けようとあわただしく準備にかかろうとした。つまりはなるべく人の少ない場所に移動し、巻き添えを最小限にすることだ。その決死の努力をリリアンはあっさり踏みにじった。しかもどうでもいい理由で。
「必要ないわ。なんで私がわざわざ外に行かなきゃならないの。服が汚れるしめんどくさいわ。ドラゴンはこの城におびきよせ、ここで迎えうてばいいじゃないの」
グラスの割れる音が広間に響いた。
話を盗み聞きしていた女官達が、絶望のあまり気絶し、その場に倒れ伏したのだった。
落城の危機に騒然となる広間で、リリアン姫はひとり大あくびをし、鼻くそをほじっていた。
まず読まれる奇特な方はいないと思います。
いらっしゃったら、ひたすら感謝!!
一日PVが50超えるようなら、また続きつくるかもです。