期待値
久しぶりに書きました!
「ばかっばか純一っ」
実希は自室でベッドに転がりつつ枕にぽふぽふとパンチを繰り広げていた。
『さっきはごめんね。そんなつもりはないから。』
あの後、すぐに来た純一からの携帯メールに対し返事をせずにボクササイズよろしくぽかぽかと枕に八つ当たりをしていた。
頬に手が触れた時、どきっとした。
このままキスするのかな?と思った。
でも牙が見えて・・・・・
ん?思った?きす?キスってキス?もしかしてコレは期待?
え?私、期待したの?
血吸われるのはイヤだけれどキスならいいの?
え?何で?
「・・・・・ん?・・・いいのかな?」
吸血鬼・・・・純一は吸血鬼・・・・
いつも穏やかで優しい純一。
何故かずっと側にいてくれる男の人。
私・・・・は?
彼にとっては餌?
でもそうだったらもうとっくに咬まれてる?
一緒に歩くとき、いつも実希の歩幅に合わせてくれる。
勉強だって根気強く教えてくれる・・・・勉強に飽きて放り投げた時だってもう一度やる気が出るまで待ってくれる・・・・・。
本当は知っている。
純一は実希を大事にしてくれている。
決して傷を付けようとして今まで一緒にいるわけじゃない。
「もしかして・・・・ちょっと悪いことした?」
酷く傷付いた表情の純一を思い出す。
公園に置いてきてしまった優しい人。
「・・・・今度・・・ちゃんとあやまるから・・・・」
自分の気持ちもよくわからないまま実希は「もう寝よう」考えすぎて疲れる前早々に眠りについた。