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いつか来るその日まで  作者: 皐月 時雨
1章 運命
6/8

英雄譚

そしてわたしはいまも夢見るのだ


牧羊神のおぼろ影が、


わたしの歓びの歌につらぬかれ、


露に濡れた草の上を歩んでゆくのを。

 初めて魔術を使った時から数年が経った。

 あれからいくつか魔術書を読んだ。それぞれの属性の初級編、応用編。ほかにもそれぞれの分野に特化した、たとえばウォール系統の魔術を専門に扱う本なんかだ。


 これらの本なんかには、日本であったように一部同じ内容が書かれているものもあった。水の魔術書の中にも、ウォール系魔術書の中にもウォーターウォールという魔術は載っているのだ。


 それがただ単にお金儲けのためなのか、複数の本のほうが焚書になったりだとかの万が一の時にも融通がきくからなのか、はたまたひとつの本に少しでも多くの魔術を載せようということなのかは私には皆目見当もつかないが。


 ちなみにこの世界では特に本や紙が貴重ということはない。ただ、子供に文字を教える以外に本が用いられることは少ない。あまり本を読むという文化が根付いていない。だからこそ、幼いころから本ばかり読んでいる私はほかの子供たちからは異質に見えたのだろう。


 一度おばあさんになぜこんなにも本を持っているのか聞いたことがあるのだが、


「ただの趣味だよ。」


 と言われただけだった。コレクションとして持っているということだろうか。それとも年よりの道楽か。


 話は変わるが、私は今日も今日とておばあさんの家に来ている。だが、今日は医学書でも魔術書でもないものを手に持っている。それは一般的に英雄譚と呼ばれる童話だ。子供だと笑われるだろうか。


 私でもなぜこの本を選んだのかは分からない。いつものように医学書でも読もうと本棚を見ていたら、ふと目についたのがこの英雄譚だったのだ。


 本の内容としてはありきたりな、主人公が、魔王にさらわれた姫を助けに行くというものだ。


 この本で興味深いところが、作中でドラゴンが出てくるのだが、彼らは敵としてではなく主人公に力を授ける役として出てくるのだ。


 あまり英雄譚などは読まないのだが、私の中ではドラゴンは敵や魔王として出てくるイメージがあったので驚いた。


 この英雄譚が稀有なものでなければ、ドラゴンが力を授ける役として出でくるということは、この世界ではドラゴンが神様みたいな扱いを受けているということだろうか。ほかの英雄譚も読んで確かめてみたかったのだが、どういうわけかいくら探してもほかの英雄譚などはみつからなかったのだ。おばあさんの好きな本だったから英雄譚の中でこれだけコレクションしていたということだろうか?まぁわざわざ確認はしないが。


 さて、先ほどは本の内容をざっくり要約しすぎてしまったが、物語の流れとしては


 姫が魔王に攫われる

     ↓

 王が勇者(主人公)を城に召喚し、姫の救出を命じる

     ↓

 勇者、魔王城へ向かう

     ↓

 途中で魔王に敗れ、命からがら逃げだす

     ↓

 逃げた先で一頭のドラゴンと出会い、力を授けてもらう

     ↓

 勇者、再び魔王城へ向かう

     ↓

 見事魔王に勝利し、姫を救出する


 といった王道の内容だ。


 この世界に魔物らしきものがいるのは確認済みだが、ドラゴンは実在するのだろうか。実在するのならぜひとも会いまみえたいものだ。こちらの人生での夢が思わぬところでみつかったものだ。


 さて、それではまた医学書、魔術書をよみはじめるとしようか。

久しぶりの投稿です。ので、少し短いのはお許しください。


誤字、脱字、矛盾点等あればお教えください。

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