混乱のち冷静、困惑。
遅筆ですみません。
今回はすこーしだけ進展?します。
どんよりとした空模様、じめじめとした空気。それらのマイナス要素満載の季節、梅雨。ちなみに今年は例年より遅い梅雨入りらしい。
湿気なんぞ滅びればいいのにと心の底から思うも対処の方法は除湿器くらいしかないし、そんなものが教室に設備されているハズもなく、やる気も気力もごっそりと抜け落ちている。
まぁ普段からやる気は微塵も湧いていないが、いつにも増してやる気はない。
あーぁ、帰りたい。
机に向かい早40分。そろそろ授業が終わる頃だろうが、元々やる気がないため本日のノートは全て白紙である。
そもそも今さら足し算引き算とかヌルゲーすぎてつまらない。せめて微分積分がやりたい。∫がみたい。この際関数とか行列でもいい。それかなんかの証明問題。
とにかく数式が複雑なのやりたい。
xとyが恋しい。
グラフ作成したい。
なんて愚痴っているが別段数学が好きだったわけではない。あまりにも簡単すぎる問題を1時限使って解くとか拷問でしかないだけだ。
なんてったって数学ではなく算数。
国語だって平仮名ばっかの教科書だし、更に漢字は覚えるまでもなく、もちろん他の授業もしかり。ある意味地獄である。
そんな訳で普段は数独や問題集(主に英語と化学)を持参し有意義な時間潰しをしている。たまにナンプレもする。
数独は放課用、問題集は授業用の暇潰しである。意味もなく落書きするときもある。
我ながら可愛げのない子供だと思う。悪いね先生、直す気はないけど。
ちなみに授業中は教科書に問題集を隠して解いてる。小学校の教科書が大きくて問題集が小さいから出来ることだ。
しかしながら今日は本当にやる気が出ない。
え?理由?それはだな・・・
観察対象が休みなんだよ!
今日一日のやることがなくなったんだよ。まじ暇なんだけど。
知ってるか?昨日は普通に登校してたんだぜ。若干違和感ってか機嫌悪かったくらいで。
体調が悪いと不機嫌とはこれ如何に。
ちなみに風邪らしい。
何はともあれ、暇だ。
帰りたい。
ぐでー、とだらけながら授業を聞き流し、授業終了。ありがとうございましたーっと。
用具類を全てランドセルにしまい、先程と同じ体勢で先生を待つ。
帰りの会という名の連絡事項云々をまぁ一応聞きつつ、早く終われと念じる。配られたプリントは結構な枚数で、どうやら夏休みの注意事項やら提出期限のある諸々の書類らしい。
げ。夏休み中に自宅訪問とかあんの。まじか。
あー、この書類は誰にサインもらおうかね。
普通は両親に書いてもらうんだろうけど、多分意味ないし。
まぁいいか。おじぃかおばぁが書いてくれるでしょ、うん。
などと考えていたら先生から爆弾が投下された。
「あと、誰か葛城くんに今配ったプリントを届けてくれないかな?先生これから用事があるから行けなくて・・・・・あ、橘さん、確か葛城くんとお家近かったよね?お願いしていいかしら?」
「え」
「橘さんしっかりしてるし、それに仲の良い子がお見舞いに来てくれたらきっと葛城くんも嬉しいと思うの。よろしくね」
「・・・・・はい 」
まじか。
てか先生、断らせてはくれないのね。結構なゴリ押しにビビったんだけど。
それからさ、言っていい?
私と葛城翔は仲が良い訳じゃないんだけど。
なんやかんやでペア組むのが多いだけなんだけど。
あー、うん。
もういいや、断るのも面倒臭い。
そんな訳で、葛城家に着きました。
「さて、と」
封筒に入れられた書類を抱えつつ、観察。
パッと見は西洋風な一軒家。周りの家と比べてちょっと大きくて豪華な雰囲気。
郵便受けの横には黒地に白で流暢に彫られた表札があり、KATURAGIの文字がある。
うん、合ってる。
合ってるんだけどさ、ねぇ、ちょっと。
「やっべ届くかな」
郵便受けの場所、高いんだけど。
てか雨降りそうだし帰りたいんだけど。
んー・・・とりあえず、頑張ってみるか。
爪先で立てばなんとかいける、かな。
あー、あと、少し。
ふんぬっ。せいっ。とうっ。うりゃっ。
あ、少し入った!
よし、このままとうかー
「お嬢ちゃん、何か用かしら?」
「んっ!?」
「あら?」
突然の声に驚くままガコンと勢いよく突っ込んでしまった。なんてこったい。多分曲がったぞ。
とりあえず振り返ってみる。と、なんとまぁ美人な赤髪のお姉さんがいらっしゃいました。
なんというか、気まずいです。
「・・・えーと、今日葛城くんがお休みだったので、配布されたプリントを届けに来ました」
「そうなの、わざわざありがとね。あなた、翔のお友達?ふふ、あの子もすみには置けないわねぇ」
口元に手を当てニコニコと微笑むお姉さん、多分葛城母。
説明というか言い訳というか弁解してみたんだけど、なんか変な勘違いしてらっしゃいません?
え?気のせい?気のせいだよね?
「あぁ、そうだわ。折角だもの、少し上がっていかない?口に合うか分からないけどお茶とお菓子くらいご馳走するわ」
「え・・あ、いえ、そんなお構いな・・」
ポツポツ・・・ザーザー・・・
言葉の途中で降ってきた、突然の雨。
しかも、結構な勢い。
え、なにこの漫画的タイミング。
なんなの、ギャグなの。
あ、乙ゲー世界だから・・・?
混乱してか思考回路が妙竹林な答えをだすも現実が何か変わるわけもなく、無駄に強い雨で体が濡れるだけである。
「ふふ、濡れちゃったわね。風邪ひくと困ちゃっうでしょ?遠慮しないで寄っていって。ね?」
「え、と・・・」
「ね?」
「はい、ありがとうございます」
もう、どうにでもなれ・・・
互いに濡れ鼠なこの状況で朗らかに微笑むその人に促され、お邪魔することになった。
人間諦めは大事だって、誰か言ってた・・・
決して微笑みの裏に何か潜んでそうだとか、断ったら面倒臭そうだとか、嫌な予感がしたとかじゃ、ない。
ハズ。
背筋が冷えてるのはきっと雨にうたれたからだ。そうに違いない。
先を進む葛城母について行き、玄関に通されたのだが一言いいだろうか。
マジ混沌。
なんでこんな西洋風の家の玄関に金屏風があるんですかね?しかも中華風な壺の隣に木彫りの熊が三体あるんですがなんで?花が描かれた油絵と鯉の描かれた水墨画は並べても違和感しかないんだけど私の感性が可笑しいのかな??
あとこけしっ!マトリョーシカの後ろにあるこけし!!照明のシャンデリアと物凄くミスマッチなんだけど?!つかクルミ割り人形怖い!市松人形も怖い!!こっち見んな!!あ、日捲りカレンダーが松○修造だ。考えるな考えろってか?もう意味がわかりませんね・・・
違和感しか仕事してない・・・休んでいいよむしろ休んでくれよ違和感・・・
ツッコミに脳ミソがフル回転したのだがまだツッコミきれてないこの凄さをお分かり頂けるだろうか・・・?(遠い目)
なんてーか、頭痛くなってきた。
「ふふふ、驚いたでしょ?」
「・・・個性のある趣ですね」
「素直に言っていいのよ?趣味が悪いって」
「・・・えーと」
なんて反応しようかね、これ。
言ってることは自虐の言葉だけど、卑下してるわけではない感じがする。
まぁなんてゆーかさ、あれだ。
オブラートに包んでも意味がないって辛いね。
でも、どうやら葛城母はこの違和感しかない空間についてオブラート抜きのコメントが欲しいようだ。
だったら、と仕方なくそれに答える。
「一つ一つは素敵なんですが、色彩とか形や物の種類を統一せずに一緒に飾ることで台無しにさせているように感じます」
特に人形が。
市松人形とか結構な値段だと思うのに、それを感じさせない。
こけしは分からないけど、クルミ割り人形もマトリョーシカも個々で見ると決して安物ではないと分かるのに、だ。
むしろ狙ってやってないとここまで物の価値が分からなくなる空間にならない。
なぜなら普通は物を飾るとき、それの良さが引き立てれるようにするから。
それを打ち消しあうように、埋もれさせるのは可笑しいでしょ・・・?
「あらあら、ふふふ・・・」
「・・・あの?」
「ふふ。気にしないで、ね?そうだわ、名前まだ聞いてなかったわ。教えてくれるかしら?私は葛城香織。翔の母よ」
「あ、橘穂澄です」
「そう、穂澄ちゃんって言うのね。よろしくね」
「・・・はい」
微笑みを一層深めて笑う葛城母・・・もとい香織さんには悪いけれど、その差し出された手を握るの怖いんですが。
・・・いやちゃんと握手しますから笑顔で迫らないで下さいお願いしますっ。
てか、なに。
もしかして私の答えはお気に召されたんですか?
ということはやっぱ作為的な空間なのね。
てかなんかさっきより機嫌が良さそうに見えるんだけど・・・気のせい?
ふんふーんと鼻歌まじりにリビングに案内され(リビングは普通だった)、そうそうにタオルと着替えを渡され風呂に詰め込まれてふと、考える。
・・・・・あ、ミスったかも。
違和感がありすぎる空間のせいで混乱していたが、冷静に思い返して、もしかしてやっちゃった?と頬がひきつる。
もしかして、おそらく、かもしれない、と不確定要素は大いにあるが、不安は拭えない。
ザーザーと雨音とは違う水の音に隠れ、唸る。
「頼むから面倒事にはなるなよ・・・!」
頭に浮かぶ攻略イベントの一つ。もちろんそれは葛城翔エンドに関わる重要な物で・・・
・・・葛城翔の家族の誰かに気に入られると"イジメられる"、というものだ。
"嫌われ"ともいうらしい。
もちろんその"嫌われ"展開には種類があって、気に入られたのが姉ならクラスの女子に、父親なら学年の女子、そして母親なら学校全体(全生徒)から、というものだ。
規模が違う母親ェ・・・
ちなみに"イジメ"の内容も姉、父親、母親とグレードアップする。
ゲームにR15の規制が入ったのはコレが原因だとか言われるくらいには、酷い。
・・・え?お前は中2でやってたんだろって?
親に全ルートの進度を逐一報告しなくちゃならなかったあの時はそれどころじゃなかったんだよイロイロと!
ってそれはおいといて。
不安なのは、そのイベントが私に対して起きるかどうか、だ。
起きない可能性のが勿論高い。
ゲームのシナリオはまだ始まってすらないこと、自分はヒロインではないことなど、最大の理由はまだ葛城翔にそこまで人気がないことだ。
けど、もし、万が一、イベントが発生したとして、だ。
まさか、小学生でそんなこと起きないよ、ね・・・?
暖まったハズなのに寒く感じるのはこの不安が拭いきれないからか、それとも本格的に風邪をひいたからなのか。
素早く着替え(葛城姉のお古)、顔色が悪いと心配してくれる香織さんに礼を言ってから、借りた傘をさして逃げるようにして帰った私を小心者と笑うかい?
ーーーーーーーーーーーーーーー
7月△日、曇りのち雨
葛城翔は風邪で休み。
以上。
内装考えるの楽しかったです。
リアルにあんな空間があったら見てみたいですね。
あと"白い四足歩行生物"について問われましたのでここで・・・
えーと、確かあやつらに名前はないハズです。
詳しく説明すると・・・なんですかね?(笑)
"ホモォ"という鳴き声が聞こえたら一匹ではなく数匹いて、その鳴き声の"ホモォ"がいると素早く現れる、白いけれどまるでゴキ○リのような・・・すみません。
ちなみにこんなです。
┌(┌^o^)┐
見つけたら「ふかいにお帰りください」といいましょう。
・・・心がきれいな人って、いるんですね←