特訓?
レミアの靴を買った俺はレミアに魔法符が見たいと言って店に連れてきてもらっていた。この魔法符の店簡単に説明すると店の前にカードが規則正しく置かれているだけという店だ。このカード1つずつ見ていくと大雑把に書かれたものや、とても細部までキチンと書かれているものがある。魔法符はどうやら中心に効果のある文字、『ルーン』を置き、周りに記号を並べたりして書かれている。よくある六芒星とか、そういうのは見当たらない、てっきりそういうのが書かれたりするのかと思っていたんだが。
ともかく確認はできたので次は特訓だな
「レミアーこの辺に魔法の練習に適した場所とかある?」
「そうですね、ギルドに練習場があった気がしますがどうでしょう?」
「よし、そうしよう!」
ギルドに向かって歩き始める、知識共有でこの国の地図は頭に入っているからな、ギルドの道もわかる。さっきからそうなんだが、なぜか周囲の視線を集めてる気がする、なんでだろう――あ、レミアか!まあ可愛いもんな、今の俺とはレベルが違うもんな。まあ気にしても仕方がない、早く行こう!
♢♢♢
ギルドに到着した俺とレミアは早速練習場にきていた、練習場というのはギルドの地下にありドーム状になっていて周りは魔力でのコーティングがされており、多少の魔法でのダメージなら防ぐそうだ。受付の人に笑顔で気を付けてくださいって言われた時にはちょっと鳥肌立ったけどな
今日練習しようと思ったのは昨日の《灯火》だ。魔力量の調節とかもしやすそうだし、なにしろ見たものだからイメージも容易だ、今度は詠唱なしでいくか
「レミア、早速初めていいかな?」
「はい、わからないことがあれば仰って下さい」
レミアは俺と2mほど離れた位置に立っていた。よし、じゃあ
「《灯火》」
高さは近いほうが確認しやすいので、頭上50cmほどのところに発動したがどうやら成功したらしい。昨日の火の玉とは違う光の玉が出来上がっていた、少しばかり光が強い気がするが気のせいだろう。これでやっと魔法が使えるようになった。次の魔法といきたいがまだ何も知らない、どうしたものか
「レミア成功したよ!」
「おめでとうございます!」
「えっと、次の魔法してみたいんだけどレミア何か教えてくれない?」
「はい、では見ていて下さいね」
レミアが俺から離れた位置へ移動し、手を前に出す。今練習場には誰もいないため、とても広く感じる。さて、次はどんな魔法だろう
「《狐火》」
レミアが魔法を発動した瞬間前方に火?が表れた。形は丸というよりは墓地に出てきそうなアレだ、名前が思い出せないが。色は青、高さは丁度身長と同じくらい。レミアがどうやら操っているらしい、火が前後左右と動き回ってる
「レミア、それは?」
「これは『狐火』と言って、昨日の『灯火』と違い戦闘魔法です。本当は魔力さえあれば、何個でも出せますが練習ということで1つだけ出しました。よく観察してイメージを頭に入れてください」
レミアが俺との間に先ほどの火を移動させる。ふむふむ、火の動きは下から上へ、中心を通るように渦巻いているのか
「ねえ、これって昨日の魔法の魔力量の何倍くらい?」
「そうですね、1つなら2倍程度で十分でしょう。そういえばまだユウキ様の魔力量を測っていませんでしたね、後で測ってみては?」
「うん、そうするよ。じゃあいくね、《狐火》!」
魔法は成功したと思ったんだが、レミアのより火が強い。昨日と同じ様に威力が上がっている、また調節が間違ったのか、でも2倍って言うとおりにしたしな。うーん、なんでだろう
「レミア、なんか火が強いんだけど、なんでかな?」
「魔力量ではないのですか?」
「いや、ちゃんと調節したんだけど……」
「うーん、なんででしょう?一旦やめて、魔力量を測ってみませんか?少し思いついたことがあります」
「よし、じゃあ行こっか」
レミアと一緒に練習場を後にする。レミアはさっきから何やら考えているが、多分今の俺に関することだろう。魔力量の調節ができないとなると、威力とかがわからなくて被害が出る危険があるな。あれ、でもどこで測るんだろう、レミアについてけばいっか
♢♢♢
「では、こちらに手を置いてください」
レミアに付いて行ったら、受付の人の所だった。この前のお姉さんである。お姉さんに魔力量は測りたいと申し出ると、これで三回目となる水晶が前に置かれた。この水晶、なかなか優れものなんだな、奴隷商館でも似たようなの使ってたし。とりあえず、手を置いてみる
「魔力を流してみて下さい」
魔力を流す、魔法を出すときは調整して出さなければいけないないが今は流すだけなので大丈夫だろう。水晶が魔力の流すたびに光が強くなっている。さすがにマズイと思ったので、止めると水晶に数字が表示されている。数字はえーと、10万。多いのか少ないのか……ぶっちゃけ多そうだけどな。
「「っ!?」」
受付のお姉さん、それとレミアまでがいつの間にか覗き込んで驚いてる。それほどまでか?お姉さんは少しお待ち下さいと言って、扉の奥へと行ってしまった。レミアは――また考え込んでる。顎に手を置き悩んでいる。
しばらくすると、お姉さんが戻ってきた――お髭の立派なおじいさんをつれて……。こいつ誰だ!?と思っているとおじいさんは驚いたのかわからないが髭を上から下に撫でながらフムフムと言っている。なにがフムフムなんだろう
「リム、こちらの御嬢さんが言っていた人かね。儂としては驚きなんじゃが」
「はい、私も目で確認しましたし、光の量からいって間違いないかと」
「そうか、御嬢さんすまんが、ちと一緒に来てくれんかね?」
「はっはひ!」
「なに、緊張しなくてもよい。場所を変えるだけじゃ。ではリムお連れしてあげなさい」
噛んでしまった……ただのおじいさんかと思ったが話しかけられた途端ゾクっときた。まず目が違う、話し方は穏やかなんだが、目が危険なものを見るかのように鋭かった、あれはこえーよ。お姉さんもといリムさんが扉の方へと案内してくれる。さっきのおじいさんは少し先を歩いている。場所を変えると言っていたが、そんなにやばいのか?仮にでも魔力量が多いとしよう、でも今の俺は女であるわけだし、危険視されないとは思うんだが、でもおじいさんのあの目は本気だな、ちょっと覚悟しておこう
案内されたのは、机を挟んで2人掛けのソファーが2つあるという質素というかそれ以外なんもない部屋だった。リムさんはお茶を入れてきますと言い、違う場所に行ってしまった。今は正面におじいさん、隣にレミアという状況。レミアは状況を把握しているのか、ただおじいさんを見ている。おじいさんは俺を見ている、俺は宙を見ていると――なに、ただの現実逃避さ、こんな重い空気嫌だし、うん
「リムが来る前に少し話をしようかの、御嬢さんお名前はユウキさんじゃったか。隣の方のお名前は?」
「レミアと申します」
「ふむ、レミアさんか。ではレミアさんは分かってるじゃろうが、ユウキさんの魔力量についてじゃ。リムに聞いた話では、10万ということじゃが……ユウキさんこれについてどう思うかの?」
「えっと、少しばかり多いかなーと……」
「ユウキさんはやはり理解してないの、ではレミアさんの魔力量はどれくらいじゃ?」
「私は随分前に測っただけですが、800程かと」
「ふむ、多いほうじゃな。儂は7000、今、国で最強と謳われる聖騎士ですら1万弱じゃ。ユウキさんここまで聞けば理解できるじゃろ?」
予想外だった。現在国で最強の聖騎士の1桁上の魔力を俺は持っている。つまり俺がこの魔力量を持ち、魔法を習得していけばばおそらく最強ということか、おぅなんてチートだこりゃ。
「えっと、強いということですよね?」
「強いという言葉では収まらんじゃろう。おそらくユウキさんがこのまま力を付け、それを使いこなせるようになったら国を変える程じゃろうな。まあ、ユウキさんは可愛い御嬢さんじゃし、そんなことはないじゃろうがな。一般に魔力量が1000あれば国に仕える魔法使いとして誇ることができるじゃろう。儂は7000という豊富な魔力量でギルドマスターと呼ばれておるが、ユウキさん――貴女はもはや別格、千の歴史を持つこの国で歴代のなかで最も優れてると思われている聖騎士ですら敵わない魔力量じゃ」
うっ、なんか脅されてるみたいだ。重力を操作してんじゃないかと思われる程の圧迫感、それとギルドマスターの細い目から見える突き刺すような眼差し。誰かに救いを求めたいが無理だろう、これは俺に対して向けられてる言葉だろうからな
「魔力が多いことは分かりました。私は国を襲うつもりなんてありませんし、まだ駆け出しの冒険者、それに魔法も今日特訓を始めたばかりです。魔法だって自分を守るためですので……」
「なに、そんなことはわかっておる。ちょっと聞きたかっただけじゃ」
ふぉっふぉとか言いながら、髭を触るマスター。レミアはほっとしているのか息を吐きながら上を向いている。その時リムさんがお茶を持ってきてくれた。惜しい、なんでもう少し早く来てくれなかったんだ……
お茶を飲み少し落ち着く、リムさんはマスターの隣に座る、丁度斜め前にいる形になる。
「では、本題なんじゃが。ユウキさんはこの国にいる間できるだけ力を全面に出すようなことは控えてもらいたい。まだ出す力を秘めている状態じゃ、まだ名が知られてない今は大人しくしてほしいんじゃ。もしこちらからなにか頼るようなことがあったら別じゃが、例えば大型の魔物による襲撃とかじゃの」
「えぇ、こちらとしても厄介ごとには巻き込まれたくありませんし。ここだけの秘密ということですね?」
「そうじゃ、リムは信用できる故大丈夫じゃ、儂が保障しよう」
リムさんがマスターが話しているときと同時に微笑みかけてくる。大丈夫そうだな、今優先すべきは身の安全、ますます自分のチートぶりが明らかになったが危険はいつ降りかかるか分からない、早く魔法を習得すべきだろう
「あの、マスター。少し質問が……」
レミアが手を挙げながらマスターに問いかける。此方としてはもう用件は終わってると思ってるので早く帰りたいところなんだが
「なんじゃ?」
「昔読んだ本に、魔力量が多いものは、魔力の質が高いもしくは魔力の濃度が高いと書かれていましたがどうなんでしょう?」
「そのことか、それは本当じゃ。今の聖騎士、名前をラスターと言うんじゃがな、こやつは魔力を発動した場合、その魔法の威力がただの魔法使いとは違って強くなるんじゃ。ということはなにかユウキさんにも同じような反応が?」
「はい、先ほど。魔力量が調節されていたのにもかかわらず威力が上がっていたと思われます。少し気になったので……」
「ふむ、少し調べてみようかの。儂ではそんなに魔法による違いはない、なにか条件があるのかもしれん」
マスターはそのまま、『ではな、急に呼び込んですまなかったの』といって部屋の外に出て行ってしまった。
リムさんはそのままソファーに座りお茶を飲んでいる。レミアも用事は済んだのか、お茶のカップをもちながらボーっとしている。
「ユウキさん、依頼を受けてはどうですか?討伐系ではなく、依頼品の納入ですがね、冒険者としてまず1つ仕事をしてみては?それからゆっくりと力を付けるといいと思われます。もちろん不安な面もありますが、レミアさんがいますし大丈夫でしょう」
待て待て、レミアの方が狙われやすそうなんだが。あ、でもレミアの方が魔法も使えるし戦闘経験もあるんだっけか。なら安心なのか?でも依頼はやっといたほうがいいだろう、慣れというたほうが後々便利だろう
「じゃあ、なにか私向きなの1つやらせてもらってもいいですか?」
「もちろんです、では行きましょうか」
「はい、レミア行くよ」
立ち上がる時にボーっとするレミアの肩をつつく、リムさんはもう部屋の外へと行ってしまった。初めての依頼か、楽というか何事もないといいな
うーん、なんかタイトル詐欺っぽい気が…
また説明っぽくなってしまった…すいません、なんか進まなくて。
イメージは湧くんですがものにするのが難しいです。今はレミア視点を入れるか検討中、はやいほうがいいのかな?もしよかったら意見をw
評価が100にいきました!すっごくうれしいです!なにしろ初めてですし、pvも増えて行ってなんかドギマギしてますw
これからもどうぞこの作品をよろしくお願いします