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初めての異世界料理を堪能した俺と肉を久し振りに沢山食べたレミアは食堂を後にし、部屋へ戻っていた。俺は椅子に、レミアはベッドへと腰を下ろしたところでそろって大きな息を吐く。
「ふー、おいしかったね。満足したー?」
「はい!ユウキ様ありがとうございます!」
レミアが顔をすれすれまで近づけてくる。近いぞ、おでこがあたっちゃうぞ。まあ満足してくれたならいいか、それよりもまだ聞きたいことはたくさんある。万が一、この世界に生きていくとしてこの世界のことは知っていなくはならないだろう。
「レミアー、あのさこの国っていうか、この世界について教えてほしいんだけどいいかな?」
「えっ!?ユウキ様この国がなんというか知らないのですか?」
「うん、えーと。私はねすっごく遠い所からきたんだ、いつかその場所について話すからさ、教えてくれないかな?」
両手を合わせ、顔を少し傾けお願いする。まだ俺が異世界から来たことや俺が男のことを知るには早いだろう。レミアには申し訳ないが、このままであるほうがいい。なにしろまだ一日も立ってない、もしここでレミアとの距離が遠くなってしまったら俺は心のよりどころがなくなってしまう、それだけは嫌だ
「あの、ユウキ様。私は奴隷でございます、主人の要望にはぜひともお答えいたします、ですからお顔を……」
「ん、ほんと?ありがとっ!!」
レミアの言葉を聞き、顔をあげレミアの手を両手で包み、顔を近づける。少しオーバーな気がするがいいんだ、感謝の表現は相手に伝わってこそなんぼだ。
「あっあの、ユウキ様、お顔がお顔が近いです」
「あーごめんごめん、うれしくて……」
「いえ、ちょっと驚いただけです。そんな気になさらないでください」
レミアがちょっと俯いてる、ちょっと顔が赤い気がするが、照れてるとかじゃないだろう。俺なんかよりはるかにレミアの方が綺麗だし、フサフサだし、ホワホワだし。おっと、後ろの2つはちょっと関係ないな、俺の好きなところなだけだ。ともかく教えてもらわなくては
「レミア教えてもらっていいかな、できればさっきの知識共有だっけ?それを使ってくれるとありがたいんだけど、経験してみたいっていうのもあるしね」
「あの、ユウキ様。私は構いませんが、この世界についてとなると大分痛みが大きいですよ?」
「大丈夫大丈夫、あとそれとこの世界の文字についてもお願い、いい?」
「文字もですか?わかりました、かなりの頭痛、もしくは気絶の場合がありますがよろしいですか?」
「うっ、うーん、わかった、がんばるからお願いやって!」
「わかりました、では座ったままでよろしいですか?気絶の場合もあるので、横になった方がよろしいのでは?」
「うーん、このままでお願い」
そういうとレミアが立ち上がり、俺の目の前に来る。正直不安だがこれから魔法の習得や様々な知識を得るためにもこれは経験しなければならない。これで気絶したらどうしよう、ちょっと格好悪いな……。考えている間にもレミアは着々と準備をしているようだった、『これは必要、いやこっちは、うーん』といった感じでブツブツと呟いている。頭で情報を整理しているのかもしれない。ん、どうやら準備ができたらしい、いきますと言って手を頭に乗せてくる
「では……《知識共有》」
レミアが知識共有といった途端、様々な情報が入り込んでくる。様々な村の風景や国の様子、大陸の形。それから文書のようなもの、すべてが流れ込んでくる。痛い、頭が焼けるような殴られているような。内からも外からも圧力や打撃が飛んでくるようにも思える。まだ情報は止まらない、国名や平原や湿地などの名称、文字の書き方などが……え?これは森が焼けている、悲鳴叫び声、草木が焼ける音、爆発音。まさかこれは――
そこで俺の意識は途切れた……
♢♢♢
なにかが触れているような感触、それが今の俺には伝わっている。弾力があるのか、いやしかしそんな硬いものではないような。ともかく目を開け――――なんだこれは……。まず寝ている場所はベッドだ、レミアが動かしてくれたんだろう、しかし問題はない。だが、なぜ隣でレミアが寝ている。なぜ腕に巻きついている。なぜ胸を押し付けるように寝てるんだ。昨日の知識共有の後何があったんだろうか、記憶が飛んだからわからない。でもこの状況から逃げ無ければ、元男の俺としては刺激がっ!
「んっ、んふぅぅ」
くっ、抜け出せない。抜け出そうとしたらさらに抱き寄せられた、しかも幸せそうな顔をしながらだ。服の間から少しのぞいている尻尾は時々パタパタと上下に動いている。いい夢でも見ているんだろうか。仕方ない抜け出すのは諦め昨日の情報を整理しよう、頭痛はまだ完全に引いたわけではないが記憶を失う前の状態からしたら大分いい。
まずこの大陸、名前を『テラスト大陸』というらしい。この大陸不思議なことに形がダイヤモンドそっくりな形をしている、角は尖っているわけではないが。それぞれの頂点にあたる部分に王国が存在していて今現在いる国が西の『ウェスラ王国』それから北の『ノスゼアラ王国』南の『サウセスト王国』東の『イスド王国』となる。
なんでこの大陸に4つもの王国がとか思うかもしれないが、この大陸、途轍もなくでかいそうだ。王国から王国まで馬を用いて一か月ほどかかるそうで、途中で様々な地形、平野や盆地、山脈や湿地など多く存在しているらしい。そのせいでか他国の侵入、侵略というのはほとんどないらしい。じゃあなぜ城壁があるのかということになるが、それは魔物に対しての防御策らしい。各王国はそれぞれ軍を保持していて、ギルドもそれぞれあるらしい、ギルドは王国周辺の魔物を退治するが如何せん広すぎるため、時々巨大な魔物が王国を襲撃することがあるらしい。その時はギルドからの応援も借り軍が魔物を退治するとのことだ。
各王国は距離が離れてるため独自の技術が発展しているとのことであり、魔法が発達していたり、鉱山資源の確保が多く武器生産が活発な王国とあるらしい。ちなみにこの国はちかくに鉱山があるらしく、武器生産が活発なため軍の強さには自信がある。ちなみに軍のリーダーは聖騎士さまと呼ばれてるらしい、恥ずかしくないのだろうか……
この大陸は王国だけではなく、もちろん町や村も多々存在している。もちろんギルドも各地にあるため町や村が魔物に襲われなくなるということはそれほどないそうだ。巨大な魔物がでた場合、必ず大丈夫かといえばそうではないらしいが……
食料面においてはこの大陸は一面海に囲まれているため漁業も盛んに行われたり、森を切り開いて作った大規模農場などがあり農作物などもたくさんあるため、困ることはないそうだ。海に囲まれてるなら違う大陸を探せば?と思うが、行った人はいるが誰一人帰ったという記録がないらしく、詳細は不明だということだ。
とまあこのぐらいだろう、レミアが本で読んだという情報が多いらしく、これはほんの一部分に限らないらしい。文字も書けるし読めるようにもなったから機会があったら本を読んでみよう。ただ最後に流れ込んできたあの光景、あれはどう考えても世界については関係がない。もしかしてレミアに関することかもしれないが聞くのはよそう。レミアは奴隷の身分であったわけだし、過去について触れるのは嫌がるだろうしな。
それにしても、そろそろ苦しい。暑かったりとかはしないんだが締め付けられるのがな……よし、ほっぺたをつねろう、そうすれば起きるだろう
「よし、うりうり~」
両手で頬をつまみ、グルグルと回転させるように動かす。ちょっと変なお顔になってしまっているが、今は気にしない、楽しいからな。それにしても起きないな、あ、いいのがあるじゃないか。そう思いアレを触ろうと腕を伸ばす。女の子のためちょっと気が引けるが仕方ない、では――
「ひゃんっ!」
うわっ、レミアが飛び起きた。俺が触ったのは尻尾だ、家で飼っていた犬が尻尾を触るとすぐ起きるので試してみたがまさか狐のレミアにも効くとは、覚えておこう。でもひゃんって言ったぞ、大丈夫かな?
「あの、レミア?おはよう?」
「あ、ユウキ様、起きていらっしゃいましたか。あの後ユウキ様が倒れてしまったのでベッドに移動し様子を見ていたら眠くなってしまって……」
「あ、うん、ごめんね。それとぜんぜん苦しくなかったからさ、昨日はありがとね?」
そういい、頭を撫でる。少々軽々しいと思われるかもしれないが、仮にでも一緒に寝たのだこれくらいは良しとしてくれるだろう
「いえ、そんな……お役に立てたならと……」
なんか言葉を発しながら、どんどんと顔が赤くなり顔を俯け声が小さくなっていくレミア。なぜだ、ただ撫でて――ハッ!まさかレミア百合なのか!?だめだ俺は男だ、そんな感情を持たれたらカミングアウトできなくなってしまう、自重せねば。そこで撫でるのをやめ、立ち上がり伸びをしながら外をみる、どうやら今日もいい天気らしい。魔法の特訓とかしなきゃな、あとレミアの靴を買わなきゃな。
それから、服を着替えなかったということもあり、服を着替えた。もちろんレミアには背を向けているし、レミアが着替えているときも俺は後ろを向いていたからな?しかしこちらにはシャワーとかはないよな、風呂とかあったらいいが……
着替えが終わったあと、水場で顔や手を洗い、食堂に行き朝食を食べた俺たちは宿にもう3泊ほどすると言い、部屋を確保して外へと向かった。
余談だが、レミアの朝食は昨日のご飯と同じく山盛りのお肉であった、俺は朝はパン派なためパンを頼み野菜スープを飲みながら食べていた。少しこれからのレミアの健康が気になる出来事であった
いやー、説明が大変なこと大変なこと。
まだまだこの世界についてはほんのちょっとしか触れていません。なのでまた説明が加わるかも…
次こそは魔法を!でもすこし描写に不安が。。。
でもがんばります、もしこうしたらいいよという意見がありましたらどうか言ってください。勉強になりますので。
日に日にpvが増えていってうれしいです、これからもよろしくお願いします!