さっちゃんの聞きたかったこと
2人で寝ていた夜だった
「あのね、ママ」「たったんパパにどうちても聞きたいことがあるんだ。電話ちてもいい?」
そう言われて嫌だったが電話した
「パパ?」
「なんでいぬがきらいなの?」
「嫌いじゃないよ。さっちゃんは何年生になったの?」
その会話を聞いて「今すぐ切れ!」と電話を取り上げた
夜2人で口論していた時、「俺は犬が嫌いなんや!」と怒鳴っていた。寝ていたと思っていたが、聞いていたのか!
物を投げて暴れ、さっちゃんが引き付けを起こした夜のことだ
何が何年生?だ!まだ保育園の年中だ
腹がたって、また起きてきて酒を飲むのだった
この頃には酒さえあればいい
これがないと生きていけない。それくらいになっていた
アル中になろうがどうだっていい
酒で死んでしまってもかまわない
私なんか生きていても仕方ない
見つかって取り上げられたくなくて、ベッドの下に酒を隠す
気持ちが悪くなり全部吐いて、また酒を飲むのだ
ある晩のこと
実家に泊まった。その日も大量に焼酎を飲んで寝た
夜中にトイレに起きて、ふらついてどこかに捕まり転倒したようだ
お母さんが「エーンエーンいたいよ」と、子供が泣きじゃくっている声がして見にきたら私が倒れて泣いていたらしい
見たら爪がえぐれて反対にひっくり返り、取れかかって血を流していたと言う
ゾォーッとしたと後で聞いた
とりあえずお姉ちゃんに電話をかけて、爪が取れかかってると話して、爪を戻し包帯で巻いて寝かせたらしい
朝起きたら凄く手が痛かった
「あんた!酷いことになってるから今日は仕事休みなさい」お母さんに言われた
今日はシェフが来て撮影がある日だ
「仕事に行く!」血が止まらないのでビニールで指を巻き出勤した
野田さんが気付いて「何だよ!この手」と驚いていた
転んだと話すと、「どうやって転んだら爪が取れんだよ!」と言う。
ビニールには血が溜まっている
病院へ行ってくださいと言われ、病院へ向かった
先生に指を見せると「強烈やなー」と言っていた
とりあえず爪を被せてホッチキスのような物で固定する
「多分そのうちこの爪取れるから。次の爪がちゃんと生えてくれると思うけどね」そう言われて帰った
次の日も仕事に行った
水飴を計量するように言われて手袋をして、片手でやっていた
「おい、吉村考えてやらせろよ!」野田さんが来た
「こんな手で水飴なんか計れる訳ねえだろ!」と庇ってくれた
何ヵ月かして爪はポロッととれたのだった
たったんね。なんでかわからないけど、ママのことがだーいすきなんだ
何気に言われた一言にちゃんとしたママにならなければと思うのに、また繰り返し酒を飲むのだった




