第10話 街を照らそう!
「「「街を光魔法でいっぱいにする?」」」
ヤナワシとまた会う約束を取り付け、シオンと共にナージュ国に戻ったシャーラは、シオンに変身魔法を解いてもらうと、その足でアカネがいる所長室に赴いた。
「はいニャ! 先程、シオン先輩と一緒に人間の国に行きましたが、やはりヤナワシさんが教えてくださった魔法以外を使っている人間はいませんでした。ですが、かつて人間の国を救った異世界人は光魔法が使ってお祝いしたとされているようですから……」
「建国祭の日に街に光魔法を使えば、ヤナワシさんが言っていた『イルミネーション』が実現するんじゃないかってことか?」
「そう言うことですニャ!」
怖い顔をして黙っているアカネをよそに、ドンと胸を張るシャーラを見て、渋い顔をしたシオンとリリアンがアイコンタクトを交わすと、恐る恐る手を上げたリリアンが手を上げた。
「でも確か、人間の国では5属性の魔法を使うことは禁忌とされているのでしょ? だったら、誰がやるの?」
「もちろん、私ですニャ!」
「「「えっ!?」」」
驚いて言葉を失うアカネとリリアンに、シャーラの隣にいたシオンが慌てた顔でシャーラに問い質す。
「シャーラ、君、自分が何を言っているのか分かっているのか?」
「もちろん、分かっていますニャ!」
「だったら、人間の国で5属性以外の魔法を……それもケットシーが使うのがどれだけ危険が分かっているだろう?」
心配そうに見つめるシオンとリリアンに、シャーラは期待の眼差しでシオンを見た。
「分かっていますニャ。でも、シオン先輩の変身魔法を使えば問題は無いですニャ!」
「私の変身魔法?」
首を傾げるシオンに、会話を聞いていたリリアンが閃いた顔で口を開いた。
「もしかして、シャーラちゃんがその『異世界人』に成り代わって光魔法を使うってこと!?」
「そうですニャ! 正確には、顔を隠した状態で『異世界人』のふりをして、街に光魔法をかけるのニャ! そうすれば、人々は『伝説の異世界人がイルミネーションを使った!』と大騒ぎして喜ぶこと間違いなしニャ!」
「た、確かにそれならインパクトがあって喜びそうな気もするが、万が一バレでもしたら……」
「大丈夫ですニャ! 光魔法を放った瞬間に、転移魔法でナージュ国に戻りますニャ! そうすれば光の加減で人間達に正体がバレることがありませんし、人間の国ではナージュ国は御伽噺程度の国ですから」
「何とも大雑把な方法だな。だが、それがシャーラらしいな」
「そうね。底抜けに明るいシャーラちゃんだから考えられたことだし、ナージュ国でも魔力量が多いシャーラちゃんなら、街1つを光魔法にかけることが出来そうね」
「えへへ~」
照れくさそうに笑うシャーラに、シオンとリリアンが呆れたように笑った時、今まで黙っていたアカネが『ドン!』と大きな音を立てて立ちあがった。
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