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過労系聖女ちゃん、男に転生す~次こそ自由な生き方を~  作者: 雪野マサロン
第五章 死者は野望を果たす 
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過労系5 3

 蔵人(くらうど)が捕らえられ一ヶ月が経過した。


「どうなってんの!? 弁護士も呼べへんのはありえへんやろ!?」


 この一か月、ルカたちは傍観していたわけではない。


 わざわざ興信所を使い無実の証拠を揃えてどんな状況だろうと蔵人を救い出せるように準備をしていた。


 しかし、しかしである。そもそも蔵人の罪そのものが偽造だった。傷害罪となる被害者なんてものは何処にもいない。


 それだけに何も出来ない。どんな手を使おうと門前払いをくらってしまう。相手が国であるのも拍車を掛けた。


「運が良いのは公になってない事カ。もっとも公にすればただの自作自演とバレるがナ」


 蔵人が捕まったと報道されるような事態にはなっていない。しかしそれがより蔵人を助けるのを憚っていた。


 何せ警察はそんな奴はいないと言えばそれまで。相手が国であるだけに無茶な押し通しが出来ず、法に準じた行為でなければ蔵人を助けられない。


「蔵っち無事やとええんやが」


 何も出来ない苛立ちから焦燥感に襲われる孝介だが何も出来ないのはここにいる全員がそう。


 李は独自の裏ルートでアプローチは掛けているが結果は芳しくなく、エリスもブリステット教へ伺いは立てるものの、蔵人がクラウディアとバラす訳にもいかず強く進言出来ない以上は上も簡単には動かない。


 国という大きな枠組みを相手にするには全員があまりにもちっぽけで矮小。卑屈になるわけではないがそれが現実で純然たる事実だ。


「無事に決まっとるやろ愚弟。蔵人はんを甘く見るんやないで」

「希望的楽観だナ」

「言われんでも分かっとる。せやけどそう考えとらんと魔法使ってでも襲撃に行きたくて仕方ないわぁ」

「姉ちん絶対するんやないで?」

「言葉の綾や」

「やる気満々な目で言われましてもー」


 何もかもを敵にする覚悟。それさえあればすぐにでも動ける。


 しかし今の生活基盤に加え、今後の人生そのものが滅茶苦茶になるのも関わらず動けるのかと問われれば膨大な勇気がいる。


 猪突猛進な性格でもしていれば今すぐにでも警察に駆け込んでファイアボールの一つでも叩き込めるのだろうが、あいにくとそんな性格はしている者はいない。


 だからこそ弁護士を使うなど正当なやり口で対応しているが成果が芳しくなく、想定外の圧力に悩まされている。


「そもそもがやっとる事が違法や。それを分かった上で蔵っちを拘留しとるんやから相手も本気やで」

「だろうナ。正攻法では蔵人を助けられなイ。次の手を考える必要があル」

「どんな手がありますかー?」

「ム……」


 割と初手で手を講じていただけに他に手を考えるもそれこそ強襲しか残っていない。


「参ったもんやなぁ。金でも解決出来んとなるとウチらでどうにか出来る気がせえへん」

「違法な取り調べだと訴えるますかー?」

「もしくはネットに晒すかやな」


 拘留は最大でも二十日。起訴後なら二か月間身柄を拘束されてしまうが、蔵人が基起訴された情報はない。


 ならこのオーバーした期間の拘束は明らかな違法。それを周知させて警察の不備を叩く手段がないとは言えない。しかしである。


「それは蔵人の存在が認知されル。最終手段として考えるのが良いだろうナ」


 蔵人は目立つのを良しとしない。


 だからこそクラウディアの姿でダンジョンを攻略して自身の力を隠して来た。それだけにネットに蔵人の違法な取り調べを晒すのはそこに何故の二文字が浮上する。


 その何故に食いつかれて世間に蔵人の力が認知されれば平穏な生活は確実に消え去るだろう。


 それは蔵人がもっとも忌避すること。それだけに全員がネットの活用を最終手段と考えている。


「どないすればええんやろうなぁ」


 打開策が浮かばず、気まぐれにルカはテレビを着ける。


 着けた理由は特にない。精々がBGM程度のつもりで着けたテレビ。そこにはとんでもないニュースが流れていた。





『速報です。蘇生の女神クラウディアがついに姿を現しました!!』






 ――――――は?

法律はザルで書いてます。ザルです。とてもザルなんです。

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