プロローグ②
地上種族たちが協力して第二次魔族侵攻を退けた後、「対魔連邦」を結成し、一つとなった。
それから数千年に渡り、諸国同士の小競り合いはあれども、魔族による大規模侵攻や連邦内の内乱といった目立った争いは発生しておらず、平和がもたらされている。
だが、魔族が地上に残していった魔物の多くは未だ掃討されておらず、今も繁殖しているので、それら全てを殺すことは不可能だとされている。
しかし、それを放置するわけにはいかない連邦は、軍隊だけでなくギルドを設立し、戦争時の傭兵とすると共に魔物の討伐を中心とした依頼を集め、対処するようになった。
ギルドには、王都の中央ギルドと、地方にあって中央ギルドの支部に当たる辺境ギルドがある。
現在では基本的に、中央ギルドよりも辺境ギルドでは農業などの雑務や、盗賊や魔物からの護衛といったよう依頼が多く、魔物討伐自体の依頼は中央ギルドの方が多い。
なぜなら王都では、王都護衛軍の高度な訓練を経て中央ギルドに加入している人が多いからだ。
それに加えて、近年では魔物の強大化が目立つようになったことも関係している。
辺境での魔物討伐であっても、以前は辺境ギルドで対処できることが多かった。
しかし、その魔物の強大化によってギルドメンバーが討伐中に命を落とすケースが増え出したのである。
そこで依頼者は、魔物討伐のために中央ギルドへ精鋭の派遣を依頼して、その中央ギルドのメンバーがやって来るまでは辺境ギルドに護衛を頼むようになった。
これがセオリーとして定着したのである。
また、中央ギルドは数ある辺境ギルドの中から、魔物討伐の依頼斡旋のため優秀な人物を一部スカウトするようになった。
辺境に優秀な人物がいても、魔物討伐の依頼がほとんどないために、いつも依頼者の護衛の依頼に回ることとなり、討伐の戦力として使うことができない場合があるからだ。
これは、そう言った経緯でスカウトされた一人の剣士にまつわる物語である。
次回から本編掲載予定です!お楽しみに!