光れ!我がネーミングセンス!
「き、消えるってどういうことですか?」
「言葉通りです。あなたの記録、あなたを知っている人の記憶、この世に残っている夜水野渡という人間の全てを消し去る、という意味です。もちろんその後は輪廻転生規約に則って新たな生を受けるわけですが、ぶっちゃけ闇鍋ガチャみたいな物で、人間に生まれるのはかなり難しいかと思います。」
さらに死神は、芝居がかった口調でこう続けた。
「ただ、今回の件は私のミスが発端です。このことがバレれば死神解雇はかくじ―、ゴホン!せめてもの償いに、あなた様の魂を、人格を保ったまま新たなる世界に導いて差し上げましょう。どうです?魅力的な話ではないですか?」
途中気になる言葉が聞こえた気がしたが、確かにこのまま消されるよりはマシだ。いいじゃないか二度目の人生、今の人生にこれといった未練もないし。
「わかった、その提案を飲むよ。」
「よくぞ決断してくださいました!それでは、さっそく案内人に登場していただきましょう!!」
そう言うと死神は、クルリとその場で一回転し、指を二回鳴らした。
すると正面の真っ黒な壁からノック音が聞こえ、ドアの開く音と共に恐ろしい姿をした人物が、見た目とは真逆の軽快な口調で入ってきた。
「せーんぱーい、待ちましたよ~。やっと出番ですか?」
暗い紫色の肌、骨に薄皮が張り付いたような体、腕が四本あり、その後ろには大きな翼、厳つい二本の角の下には黄色く光る眼、そしてなぜか胡坐をかいたまま宙に浮いている。…怖い。
「夜水野さん、こちら私の死神養成学校時代の後輩で、死を司る神をやっているシュニーファル君です。あなたの転生先の死神的ポジションにいる神様になります。」
「どもー、シュニーファルでーす。長いからファルって呼んでいいよー。こっから先は先輩に代わって僕が説明をさせてもらいまーす。」
見た目の強烈さにそぐわない軽いノリでテキパキと説明を始める死を司る神。
「それじゃあまずは、その日本人チックな名前をどうにかしようか?せっかく転生するんだから、もっとカッコイイ名前に改名しちゃおうぜ?」
そう言われても、すぐには思いつかないな。ゲームで名前決める時もほとんど適当だったし…。
しばらく悩んでいた俺を見かねたのか、死神が案を出してきてくれた。
「お困りのようでしたら私、いい名前を思いつきましたので、聞いてみます?」
「この手の事は苦手で、是非お願いします。」
心なしか目の前にいるシュニーファルがワクワクしているような気がした。
後から知った事だが、シュニーファルの名前を付けたのはこの死神だったらしい。
「では、発表します。夜水野さんのニューネームは……」
隣でシュニーファルが、四本の腕でドラムロールを始める。それと同時に死神の上からスポットライトが照らされ、何処から出したのか、フリップボードにいそいそと何かを書き込み出す。
「はいデデン!”カロン”なんていかがでしょうか?ヨミノワタル=黄泉の渡し守、つまりカローン。」
「…さ、さっすが先輩、今回もキレてますねぇ~。」
いや死を司る神、今絶対微妙だと思ったろ?だってめっちゃ安直だもん、中学生レベルだもん。
そう思いつつも自信満々な死神に、花を持たせる形で渋々、新しい名前を了承した。
「うん、まあ。いいんじゃないかな…多分。」
ここまで読んでくださった方は薄々、感づいていると思いますが、死神は筆者自身を大きく反映したキャラクターになります。なのでネーミングセンスが中学生なのは筆者も同様です。(笑)
それでも自分で作ったキャラクターの名前に意味を持たせたいじゃないですか?
私ゲームをよくやるのですが、いるんですよ「こ、こいつ、いいセンスしてやがるっ!」って感じの名前を付けてる方、羨ましい限りです。以上余談でした。




