エルモス家へようこそ
目覚めると、俺は部屋の中でベッドに横たわっていた。
腹の痛みに呻きながら体を起こすと、鎧を着ていないことに気が付いた。どうやら手当てをするために、誰かが脱がせたようだ、部屋の隅に綺麗に並べられている。
「それにしても俺の体、人間みたいだ…。」
腹部に包帯を巻かれた俺の体は、首から上以外は普通の人間と大差ないように思えた。むしろ転生前より体つきがしっかりしている。
自分の見事に割れた腹筋を指でつついていると、部屋にノック音が響き、リリーが入ってきた。
「あ!カロンさん起きて大丈夫ですか?ごめんなさい、うちの父、あなたを誘拐犯と勘違いしたみたいで…。」
「いいよいいよ、あの状況で、怪我をした娘の近くに不審者がいたら俺だって同じ事をしただろうから。それにほら、体も何ともないし、イテテ…。」
「フフッ、優しいんですね。これから朝食なんですけど、カロンさんもどうですか?」
「是非お願いします!」
腹ペコだった俺はリリーの言葉に即答し、連れられるまま食卓へ向かう。
空っぽの胃袋を刺激する朝食の香りに誘われ、視線を向けた先には、昨夜俺に斬りかかってきたリリーの父親が座っていた。
「いやー、昨日はすまなかったね。私も頭に血が上ってて、危うく娘の恩人を殺すところだったよ!いやはや申し訳ない。」
リリーの父親は俺と視線を合わせると、昨日の気迫が嘘のような態度で謝罪の言葉を述べて、頭を下げてくれた。変に身構えてしまった分、なんだか肩透かしを食らった気分だ。
「え?ああ!いいんですよ!お気持ちは分かってるつもりですから。顔を上げてください。」
「そう?それじゃあ、お言葉に甘えて。リリー、お前の言った通りいい人だなカロンさんは。」
「そんな事よりお父さん!まずは自己紹介でしょ!ほんと適当なんだから。」
あきれた様子のリリーに促され、リリーの父は自己紹介をしてくれた。
彼はアルマ・エルモス、この農場の経営者で、元冒険者。リリーが生まれたのを機に冒険者家業から足を洗い、妻と娘の三人でここに引っ越してきたそうだ。奥さんは数年前に病気で亡くなり、今は二人で農場を経営している。
一通りの自己紹介を終え、食事を始めようとする二人。俺は大事なことを忘れていたことに気付く。
やべぇ、どうやって食うんだ?この頭で。
スプーン片手にまごつく俺に、すでに食事を始めていた二人が眉をひそめた。
「どうした?遠慮はいらないぞ?」
「もしかしてニンジンのスープ嫌いでした?」
「い、いえ!…い、いただきます!」
二人の言葉に後押しされ、意を決した俺は、かつて口があった場所にスプーンを突っ込んだ。
「…美味しい!とっても美味しいです!」
どういう原理か分からないが、頭の炎に突っ込まれたスープは瞬時に消え、同時に野菜の旨味が口いっぱいに広がった。この体には味覚もあるようだ。
そこから先は無我夢中で食事に没頭し、声を掛けられるまで食事の手が止まらなかった。
どうも皆さん、赤原いもりです。
突然ですが皆さん、ハーレムって何人以上が該当すると思います?
定義上では”一人に対し複数人の好意を持った異性を侍らせてること”となっています。
複数人ということは男一に対し女二人でもハーレムなのでは?と夢のない事を考えたりしている赤原です。
以上余談でした。




