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スピニング・ワールド  作者: 空乃ウタ
始まりの出会い —人間界編—
14/36

第十三話 ニコ

「アハハ! これ楽しい~!!」

 

 ヒマリはブランコに乗りながら楽しそうに笑っている

 買い物にでかけたはずなのだが、何故か俺たちは公園で遊んでいた。

 理由としては特に何かあった訳ではなく、スーパーまでの通り道にある公園を通りかかった時に、ヒマリが遊びたいと言い出したのが原因だった。


「お前いくつだよ……」

「ピチピチの十八歳!」


 ブランコの傍にある柵に腰をかけながら全力で遊具と戯れるヒマリを眺める。


「遊んでなんかないで、早く買い物いこーぜ。

紗希にバレたらめんどくせーし」

「まあまあ、いいじゃん。私これ乗る初めて! なんて名前なのこれ」

「ブランコって言うんだよ。魔界にはねーのか?」

「そうだね。私はカルディア王国の首都〝ヴィーネ〟ってとこの出身なんだけど。こうやって遊ぶとこは無かったなぁ」

「魔界の地名を言われても分かんねーよ」

「アハハ。それもそうだね」


 ヒマリは懐かしむような目を空へと向ける。

 魔界のことはよく知らないけれど、俺たちの住む世界とは文化は大分違うのだろう。

 ブランコの周りに設置された柵に腰掛け、無邪気な笑顔を振りまくヒマリ。

 俺の生い立ちも普通の人からしたら十分異常だと思うけどヒマリはそれ以上に——いや、人間界と魔界を比べるのは少々お門違いな気もするな。


「おい、そろそろ行こ——」


 このままでは日が暮れるまで遊び倒す勢いのヒマリに声を掛けようとした時、聞き覚えのある少年らしき声が耳に入る。


「やあ、紡。こんな所でデートかい?」

「え? お前——〝ニコ〟じゃねーか! 久しぶりだな!」


 ニコ。俺がそう呼んだ中学生くらいの風貌の少年は、柔らかい笑顔をこちらへ向ける。


「半年ぶりくらいかな。君に会うのは。余り昼間に外出するのは好きじゃないけれど、たまにはしてみるものだね。おかげで久々に紡に会うことができたよ」

「つーか昼間に会うのは初めてだな。いつもより不健康に見えるわ」


 ニコの肌の色は青白く、普段から陽の光を浴びてないことを簡単に予想させる。体も同い年の男の子と比べてかなり細い。


「紡。その子は?」


 ブランコからひょいっと降りたヒマリは突然現れたニコに興味を示す。ほんの少し警戒しているような雰囲気だった。


「あー。こいつはな、お星様大好き不良少年だ」

「そんな頭の悪そうな紹介しないでくれよ。人聞きが悪いじゃないか」


 ニコは苦笑しながらヒマリの前へと歩み寄り、右手を差し出す。


「僕はニコ。宜しくね、〝彼女〟さん」

「うん! 私はヒマリ——って彼女じゃないし!」


 握手を交わしつつ、ヒマリは頬を紅潮させながら全力で否定する。なんかもう見慣れたな。こいつが照れるのを見るのは。


「アハハ。確かに紡にはこんな可愛い子はもったいないね」

「おい。どういう意味だそれ」

「そのままの意味だよ。これ以上邪魔するのも悪いし、僕はもう行くね。またね、紡」


 ニコはそういうと俺たちに背を向け、その場をあとにした。


「何だか不思議な雰囲気の子だね。学校の知り合いなの?」

「いや。俺もあんまりニコのことは知らねーんだよ。初めて会ったのは確か——」


 口元に手を当てながら記憶を探る。

 ニコに初めて会ったのは確か二年前の冬だった。


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