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第83話 ミリアの肉料理

 俺たちがこのダイニングに案内されてから1時間。

 俺たちの前にはあのギュジットの体型が頷けるほどの肉料理の数々が並んでいた。


「さあ! ジン君にチサちゃん! 遠慮なく食べて頂戴! 勿論残しても大丈夫よ? 余ったら主人が全部食べるからね。」


 ミリアが、達成感に満ち溢れた顔をしている。俺はその顔を見て、失礼だが、何故ギュジットのような男とミリアの様な美人が夫婦としてやっていけるのか。それに気付いてしまった。


 そんな俺をチサと、ギュジットの息子である男の子が見ている。


「ジン! ジン! 早く食べるのじゃ! 妾お腹が空いてもう待ちきれぬのじゃ! 先に食べるからの!!」


「お......おう。」


 俺はチサの催促に言葉に詰まりながらも言葉を返す。


「ねぇ、ママ。僕も食べて良い?」


 そんなチサと俺をじっと部屋の外から隠れ見ていた男の子は遂に俺たちの前に出てくると、母親であるミリアの足元に隠れながらも聞く。


「ダメよ。我慢しなさい。この2人はパパの大事なお客さんなんだから。」


「はい。」


 男の子は残念そうにうな垂れるも、とても聞き分けの良い子だった。それ以上我が儘を言うのをやめる。

 そんな様子を見て、ミリアの作る肉料理に舌鼓を打っていたチサが言う。


「良い良い。食事というのはみんなでした方が楽しいのじゃ。ギュジットも呼んでまずはみんなで食事を楽しむのじゃ! これだけの絶品の数々を妾とジンだけで食べるのも悪くはないがの。」


 そんなチサの言葉に男の子は満面の笑みを浮かべて、再びミリアに尋ねる。


「いいの? ねぇママ! 僕も一緒に食べてもいいかな?」


 ミリアは困った様な嬉しそうなそんな表情を浮かべて俺を見る。


「チサちゃんはそう言ってるみたいだけど、ジン君はそれでいい?」


「ああ、食事のことは構わない。だが、ジン君と呼ぶのは辞めてくれないか? 俺はもうそんな風に呼ばれる年じゃないんだ。」


「あら? 貴方15くらいじゃないの?」


「22だ! 若く見られるのは悪いことじゃないが、幼く見られるのは心外だ......。」


「あら、ごめんなさいね。ではなんて呼べばいいのかしら?」


「ジンでいい。」


「分かったわ。なら、主人を呼んでくるから少し待っていてくれるかしら?」


 そういうと、ミリアは、ギュジットの部屋へと歩いてゆく。そしてダイニングには、俺とチサとそして男の子が残される。


 俺も男の子とチサが食事を始めたのを見て、食事を始める。

 俺の目の前にあった一見、肉の表面を香ばしく焼いて作ったであろう一品を切り分けようとナイフを入れる。

 その瞬間、なんと、肉の中から濃厚なスープが溢れ出した。


「うおっ!」


 俺は驚く。


「肉の中からスープが出てきたのじゃ!」


 チサも驚いている。


「凄いでしょ? その料理。ママの得意料理なんだ。僕の友達にも聞いてみたんだけど、この料理を作れるのはママだけなんだって。」


 男の子が得意げに言う。


 俺はその料理に手をつける。

 まずはスープをひとくち―。


 俺はその瞬間、心の奥が温かい気持ちになる。この感覚はチサと初めて出会った時の―。いや、もうずっと昔になるが、家族と一緒に食事をしていた時を俺に想起させた。


「どうした? ジン? 何を泣いておるのじゃ。そんなに衝撃的な味だったのかの?」


「もしかしてママの料理美味しくなかった?」


 俺は2人の子ども達(見た目は)からの言葉にハッとして涙を拭う。


「......美味い。」


 俺の言葉を聞いて、チサと男の子は安堵して嬉しそうにする。


 俺はそれだけ言うと、ほかの料理にも手をつけてゆく。味付けは、俺の故郷とは全く違う。以前ご馳走になったブラウンエルフのキラークィの家でのものとも違う。それでもこの料理の数々は俺の冷え切った心に染み渡るのだった。


 しばらく無言で料理を堪能していると、ギュジットとミリアがやってくる。


「あらあら。お口にあった様で何よりだわ。」


「ハァハァ。まさか私までご一緒させて頂けるとは。ジン様とチサ様が食事を終えるまでお預けだと思っていましたので嬉しい限りです。ハァハァ。」


 こうしてこの後俺たちは、ひとまず、アル達の不正のことは忘れて、ギュジット一家と楽しい食事と談笑を楽しんだ。


 恐るべきことにギュジット以外の俺含む4人が食事を終えた後、全ての余った料理の数々は、綺麗にギュジットの中へと消えていったのだった。その食べっぷりたるや圧巻だった。


 食事が終わった後、チサが尋ねる。


「して、ギュジットよ。お主の息子の名は何というのじゃ?」


「ハァハァ。おやおや、まだ自己紹介していなかったのですか? ハァハァ。」


「あ、忘れてた! 僕の名前はリルって言います。」


 食事を共にした俺たちとリルの間には既に最初の様な壁は存在していなかった。


「リルか。良い名前じゃの。」


 そんなチサの言葉にリルだけでなく、ギュジットとミリアまでもが嬉しそうな表情を浮かべる。


 それを見たチサが言葉を続ける。


「さて妾はリルと遊びたいのじゃが、どこか良い場所はあるかの?」


「それなら、僕の部屋で遊ぼうよ! 買ってもらったばかりのおもちゃがあるんだ!」


「それは楽しそうじゃの。では、ジン、妾はリルと遊んでくるからの。後は()()()()ぞ。」


 そう言うとチサは、リルに手を引かれてダイニングから去ってゆく。


 そしてダイニングには、俺と、ギュジット夫妻のみが残されるのだった。

しょた丼も美味しい料理を作ってくれる奥さんが欲しい......。

と思いながらも、奥さんが出来たら自分の為だけに使える時間が減ってしまうからなあと思う(ボッチの強がり)、

そんな第83話でした。


ではでは1人寂しく続きの執筆も頑張りますので、引き続き呼んでやって頂けると嬉しいです!


ではでは、第84話でまた会いましょうね〜


20/12/13


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