表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/162

第78話 1200億ラーゲルの取引

 ここまで2日、流石領主というべきか。アルは周囲の会話や仕事において、不正を匂わせるような行動は全くなかった。


 だが今日、遂にアルは今までの二日間では無かった動きを見せる。

 なんと、領主としての服装ではなく、一般人と同じ服装に着替え始めたのだ。

 俺は分身に指示を出す。アルを追うように。


 しばらくして、アルは普段の領主としてのオーラもまるで隠しきり、完全に一般人と見紛(みまご)う格好になると、エルスや他の領主の館の使用人に何も告げずひっそりと家を出る。


(これは、ずっと見張れなきゃ気付かないな...。アルはこうまでも自分のオーラを操れるのか。)


 俺はそんなアルの生まれ持ったカリスマ的才能について思うところはあったものの、ようやく不正の証拠を抑えられると思い直し、アルの後ろをピッタリとくっついて付けてゆく。


 気持ち悪いかもしれないが、俺はアルの前方以外の3方位に1人ずつと、アルの両サイドにある建物の上に分身を配置している。

 途中で入れ替わられたり、もし逃げられた時に備えて―。


 それは領主の館から、徒歩10分ほどの場所にある周囲の家々と殆ど変わり映えのしない一件の家だった。そこに、一般人を装ったアルが入ってゆく。


 俺が分身を放って今日で、3日目。

 この3日間で俺はアルと、アルが接触した重要人物と思われる者達に分身をつけ、行われた会話や行動を事細かに把握していた。


 自分でも不思議なのだが、10を超える分身から入ってくる情報が全てクリアに処理できるのだ。


 10人の他人と俺が同時に会話するのは絶対に無理なのに、分身ではできる事を不思議に思いながらも、俺はアルに付けた分身に意識を傾ける。


 なんと、アルが入った民家の奥に進むと地下へと続く隠し階段があったのだ。それを下ってゆくアルをつけてゆくと、大きな薄明かりで照らされた広間に出た。


「ハァハァ、アル様、どうやら狙いは嵌ったようですね。ハァハァ。」


「ええ、チサは人気が出てしまいそれほど増やせませんでしたが、ジンは予想以上に人気が出なくて助かりましたよ。」


「ハァハァ、では事前のお約束通り、口止め料と協力報酬ということで1割私に頂けると言うことで宜しいですか? ハァハァ。」


「勿論です。今後ともよろしくお願いします。」


 ここでアルは、針で刺せば破裂するのではないかと言うほど太った男と接触し、闘技大会予選の賭けを思わせる会話を始めるが、ほんの数分で会話を切り上げる。


 そして、アルは踵を返すと、もと来た道を戻ってゆく。


 俺は遂にアルが不正を行っていると思しき瞬間を捉えたのだ。

 ただ、この瞬間を見たというだけでは意味がなかった。俺はなんとしてでもここから、物証を手に入れなければ無かった。


 そして、そこからアルは特に何かするわけではなく2日が経った。一昨日の話だ。俺は遂に決定的な証拠を手に入れる事に成功する―。


 その日、公務を終えたアルはあの日と同じようにまた一般人と同じ服装に扮していた。


 そんなアルの跡をつけると、先日の建物とは真逆の方へと進む。

 30分程歩き、都市の中でも住宅地ではなく、辺りに何もない閑散としたそれこそ、整地だけ行っただけの未開発地へやってきていた。


 辺りには、物陰からアルを確認するとアルの向かう先へ行ったり、周囲の確認をする者達が現れ始めたので、俺はその全員に分身をつける。


 そして、そんな未開発地をしばらく進んでゆくと、先日アルと密会した、はちきれんばかりの豊満な肉体を持つ男と、2人の従者が待っていた。


「ハァハァ。アル様、約束の時間を過ぎていますよ。ただでさえ寒いこのような場所で待たせるとは正気ですか? ハァハァ。」


「そう言わないでください。ギュジット。これでも領主は激務なんです。こうやって抜け出してくるのでさえ相当に苦労していますから。」


 どうやらあの喋るだけで息切れする太りに太った男は、ギュジットというらしい。


「ハァハァ。アル様が相手でなければ確実に帰っていたところです。ハァハァ。」


「申し訳ありません。」


 アルが謝ると、ギュジットは自分の2人の従者に指示を出すとどこからか分からないが、この閑散とした空間に大きめの机が現れる。


 そしてその机の上に、山の様にラーゲル札の束が積み上げられる。そして、その隣に小さな山になる様にラーゲル札の束が積まれる。


(ん? もしかして技能:インベントリ持ちか? 俺以外では初めて見たが、やっぱりそれなりにいるものなのか?)


 そんなことを思いながらも俺はアルとギュジットの会話へと耳を傾ける。


「ハァハァ。アル様、今回の賭けの賞金でございます。締めて1247億4382万2485ラーゲルです。私の部下に周囲の人払いはさせておりますが、人目に付くといけませんから速やかに確認お願いします。ハァハァ。」


「分かりました。」


 アルは元々予想していたのか、特に驚く様子も無く、ラーゲル札の束を確認してゆく。


 そうして半刻程で確認を終えたアルは言う。


「間違いないですね。」


「ハァハァ。それはよかったです。ではアル様にはこの袋を。私達はこちらの山を今回の件の口止め料と手数料として頂きます。」


 すると驚いた事にアルは受け取った大きさ的には手提げバック程の大きさの袋へとラーゲル札の束を投げ込み始めたのだ。


(なっ! あんなものがあるのか......!)


 俺は技能:インベントリがあるので必要は無いが、袋の見た目の何十倍もあるであろう札束が全て入り切ってしまった袋を見て空いた口が塞がらなくなる。


 そんな俺の事に気付くはずもない2人は話を取引が終わった後の控えの作成へと移してゆく。


「ハァハァ。ではアル様、この木版の上に手を置いてください。ハァハァ。」


「分かりました。」


 アルが手を置いたのを確認したのを確認したギュジットは、技能発動の文言を唱える。


「我らは、この木版に契約の履行を示す者なり。ここにアルへ闘技大会予選ベガ、チサ、ジンの単勝予想的中における賞金1247億4382万2485ラーゲルの受渡しを完了したことの印を刻む。」


 こうしてギュジットは木版をアルへと渡す。


「ハァハァ。ではこちら今回の取引が無事に終了した証となります。ハァハァ。」


「ええ。ありがとうございます。では私は領主の館へと戻ります。」


「ハァハァ。今回は良い取引をありがとうございます。アル様今後ともご贔屓に。」


 そんな一連のやりとりがあった後、アルは領主の館へと帰ってゆく。

 この後俺は遂に証拠を押さえるための行動を起こす事となる。

 ギュジットの持つこの取引の控えを狙って―。



第78話でした!

やっと不慮の事故で消えた分取り返した〜!

もうこんなことは無いようにしたいところですね...。


え〜こんなどうしようもないしょた丼ですが、もう一つ連載を始めました。

URL貼っておきますので、お時間ある時にでも覗いて頂けると嬉しいなあと思います。

更新頻度は毎日を目指しますが、恐らく厳しいので、ゆっくり進める事になると思いますがよろしくですm(__)m


『ニート・オブ・ザ・ニート〜何をしても必ずニートとなる呪いの転生環に迷い込んだ俺は100万回のニートの経験を基に100万1回目のこの世界を本気で生き抜いてゆく〜』


https://ncode.syosetu.com/n7371gq/



では、第79話で!


20/12/11

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ