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第76話 アルの不正

「さて、お金の件も終わりましたし、次は闘技大会本戦の話です。」


 アルが次の話を始める。そう、俺やチサからすれば本命とも言える話だ。勿論この話の終わり頃にはチサとの打ち合わせ通りに話を切り出す予定ではある。


「まず開催日は事前にお伝えしていた通り、3週間後の今日、時間は午後8時〜となっています。」


「午後8時?」


 俺は疑問符を浮かべて尋ねる。午後から開催する意味が分からなかったのだ。


「ええ、午後8時です。理由は、開催地であるマキラは眠らぬ都市と呼ばれるほどに、夜光のコントラストが美しい都市なのです。なので、予選は他の都市に合わせて昼に開催するのですが、本戦は夜に行われるのです。」


「ん?となると、マキラという都市には光系の技能の持ち主が多くいるということかの?都市中を照らすのは一体何人の者が―。」


 チサがその言葉を言い切る前にアルは口を開いてその言葉を否定する。


「いいえ。マキラの街に光を供給しているのはただ1人だけです。」


「1人じゃと?? そんなことが可能なのかの?」


 チサが驚きと疑問が混じった声を出す。それは俺も同様だった。


「ええ。信じられないことではありますが、マキラ・フォー・ラーゲルの領主であるマキラ・マーマレードは、高度な光の技能と信じられないほどに高い魔力量を持っています。その力を以って彼女の都市は夜であっても光で溢れているのです。」


 俺達はそれでも半信半疑だった。そもそも一晩中、都市全体を、1人で照らし続けるなど正気の沙汰ではない。

 俺もチサもというか、今まで俺が関わった全ての人がそうであるが、眠っている間は技能が使えないのだ。

 俺はそこを掘り下げて聞きたい気持ちはあったが長くなりそうなので諦める。


「色々聞きたいことはあるけど、その辺に関しては、置いておく。本戦の続きを教えてくれ。」


「申し訳ありません。話が逸れてしまいましたね。次は試合形式ですが、トーナメントです。出場選手はマキラが7人、デウスが4人、アルが3人の計14名で、ウチから参加のない分の2枠不戦勝があります。」


「トーナメントの相手はもう決まっているのか?」


「ええ。おおよそは決まっています。一回戦は必ず別の都市の選手と当たるように組まれますのでほぼ間違いなくデウスの選手と当たることになるでしょう。」


「なるほどな。つまり、いきなり同じ都市の相手とは当たらないということか。」


 といった具合に日時と場所と試合形式を聞いた俺はアルに一つの事前に予定していた話を切り出す。


「なあ、アル。一つ聞きたいことがあるんだ。」



「何でしょう? 私で答えられることであれば。」



「今回の闘技大会予選で何か隠していることはないか?」



 アルは一瞬表情を硬直させるも即座に切り返す。



「はて? 何の話でしょうか? 確かに私には領主である以上は話せないこともありますが、闘技大会に関しては何もありません。」


 俺はその言葉と表情でアルは平静を装いながらもシラを切るつもりだということが分かった。分かってしまった。俺は単刀直入に切り出すことにする。


「白々しいな。俺たちが勝ち残ることはわかっていただろうに。大会開始前で俺たちをねじ込んだのも、アルが賭けで一人勝ち出来る算段があったからだろう? これを領民に言えばどうなるだろうな。」


 俺は大会中から思っていたことをアルに言う。俺たちに無断でアルが賭けで大勝する為に使われたことがずっと気にかかっていたからだ。


「アル、お主領主の癖にそんなこすいことを考えていたのかの?」


 アルは俺たちの言葉に笑顔が少しひきつる。


「急にどうしたのです? それは言いがかりというものです。何か証拠があるのですか? それに闘技大会に出ることは―。」


「ある。この1週間俺はアルをずっと監視していたからな。」


 そうして俺は一枚の木版をインベントリから取り出し、アルへと見せる。


「この木版には見覚えがあるだろう?」


「なっ......! 何故! 何故ジンがそれを......! あり得ない! あり得ない!」


 それを見たアルの笑顔は一瞬にして崩れ落ちる。そして一目瞭然なほどに狼狽し始める。


「そんなに不思議か? 俺がこのただの木版を持っていることが。」


「そそそれを......、それを! どうやって手に入れたのです?? ジンは報告ではこの1週間食事以外で外出することは無く、殆どを家でそこにいるチサと共に過ごしたと聞いていますよ!」


「さあ、どうやってだろうな? だが、現に俺は今このただの木版を持っているという事は確かだ。」


「わかりました。わかりましたよ。それ、偽物でしょう。ふっ。驚いて損しましたよ。貴方は私に謂れのない罪を着せて失脚させるつもりなのだったのでしょうが残念でしたね。」


「残念ながらこれは偽物じゃないんだよな。」


 俺は、その木版に向かってある言葉を告げる。


「我は、この木版の正当なる所有者からこれを譲り受けし者なり。この木版に記されし契約を読み上げるのだ。」


 その俺の言葉にアルの顔色がみるみるうちに真っ白になってゆく。


 ”コノ木版ハ、アル・ロックバレー、ギュジットノ両者二ヨッテ締結サレタ闘技大会予選ベガ、チサ、ジンノ単勝予想的中にオケル賞金1247億4382万2485ラーゲルの受渡シ完了ノ控エデアル“


 ちなみにだが、ラーゲルはこの大陸の共通通貨で、ベガによると一般の人達が15歳の成人から40歳まで働いてようやく1億ラーゲル稼げるかどうかだそうだ。


 そう考えると、今回の不正でアルが得た金額は一生遊んで暮らしてもお釣りが来るレベルの額であることは間違いなかった。


「だそうだ。アル、何か言うことでもあるか?」


 俺はアルに対して笑みを浮かべる。この光景を見る者からすれば俺は領主を強請(ゆす)っている極悪人にしか見えないだろう。そんな風に思いながらも俺は尋ねるのだった。


ちなみにですが......。大分序盤で書いた内容の補足ですが、この世界の人は、大体50歳前後が寿命です。到達者になればその限りではなかったのですが、大抵の人は到達者になれなかったので。


なので、働ける年齢は15〜40歳が一般常識とされています。


今はレベルの制限が神によって解除されていますので、もう少しくらいは長生き出来るかもしれませんね。


では、そんな話をしたところで第76話は終わりです!


第77話お楽しみに〜


20/12/8

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