第73話 闘技大会予選開幕!
オッズが公開されて騒がしかった会場が嘘のように静まる。この都市では、正午に金が鳴るのだが、それが闘技大会予選の開幕の合図だった。
ちなみにだが、マキラ、デウス両都市でも今日、同時刻から闘技大会が開催されているそうだ。
別の日に行うと、偵察に行けたり、闘技大会本戦までの時間がずれてしまい公平でなくなるからなんだそうだ。
ゴーン、ゴーン、ゴオオオオン
正午を知らせる鐘が鳴る。
「アル・フォー・ラーゲル闘技大会の開幕だあああああああああああああ!」
ウオオオオオオオオオオオオオオ!
解説のビックボイス、観客、出場選手の雄叫びが上がる。
その瞬間俺へと向かって、正確にはチサに向かって複数の男達が襲いくる。
「おおっとおおおお!謎の少女チサ、いきなりの試練の模様、なんと数十人の男達にに囲まれているぞおおおお!このまま散ってしまうのか、それとも―。」
「嬢ちゃん悪く思うなよォォォォ!」
「とんだ棚ぼただぜ!こんな近くに大玉がいるとはな!4番人気配当は俺のものだ!」
「馬鹿野郎が!その金は俺のものだああああ!」
そんな具合で、俺達の付近にいた男達が四方八方から襲いかかってくる。
「チサいけるか?」
「当たり前じゃ。こんな隙だらけの男どもなど、妾の敵では無いわ!技能を使うまでもないの。」
そういうとチサは俺の肩の上で立ち上がる。そして、飛び降りると、襲いくる巨大な鈍器を持った1人の男の正面に立つ。
「ほれ! 妾に当てられるものなら当ててみるが良い。」
チサが挑発すると、頭に血が上った男は簡単に乗ってしまう。
「ふ.......ふざけるなあああああ!舐めてんじゃねェぞ。こらあああ!」
そして男が挑発に乗ったのを確認したチサは、周囲の男達の肩の上に飛び乗る。逆上した男は周りが見えていないのか、チサめがけて容赦ない攻撃を叩き込む。
が、勿論チサに当たるはずもなく、
「ぐあああああ!」
「何しやがる!」
「テメェふざけやがって。」
そんな調子で四方八方で同じ動きを数度繰り返す頃には男達による包囲網は完全に瓦解していた。
「ほれ!ジン。何を呆けておるのじゃ。さっさと移動するぞ。」
数秒のうちに包囲を瓦解させたチサは、俺の肩に息ひとつ乱さずに戻って来た。
「分かった。こんなのいちいち相手にするの面倒だし、しばらく隠れさせて貰うか。」
「それが良いかの。」
「気配遮断!」
その瞬間俺たちは、その場にいる全ての者達から完全に姿をくらます。
「あああっと!一見大ピンチに見えた謎の少女チサだが、なんとなんと!恐るべき身のこなしで一瞬にして敵を共倒れさせ、姿を消してしまったああああ!」
それを見ていた観客達はどよめく。
そうして俺たちは、闘技大会予選後半まで身を隠すことになった。
一方その頃、ベガはというと......。
「あああっと、先程の謎の少女チサの大立ち回りは見応えがあったがこっちもすごいよ! なんと今大会5番人気の都市防衛隊長蠟剣アルス、7番人気の破槍使いザイル、そして8番人気の岩石砲台ベルフリンの一斉攻撃だああああ!」
「ベガさん。胸を貸していただきますよ!」
「ベガ!!!去年の恨みだ。覚悟おおおおお!」
「この技能を受けて立っていられる可能性は0%ですよ!」
なんとこの予選の5、7、8番人気の者達から同時に攻められていた。
しかしベガは全く焦ってなどいなかった。
「フッ。そんな攻撃で私を倒そうなど笑わせてくれるッ。」
「その余裕ブチ壊してあげますよベガさん! 抜剣・蠟!」
「いくぜぜええええええ。遠慮無しの俺の一撃。破槍!」
「岩よ。我が声に応えて舞い踊れ!岩吹雪!」
そしてその全ての攻撃をベガは避けもせずにその体で受け止める。
その瞬間、周囲にはあり得ないほどの甲高い金属音が響き渡る。
「ぐあああああああああ!」
「ガファア!」
アルスは持っていた剣を折られ、かつ自分の放った技が弾かれた衝撃で吹き飛ばされる。
ザイルは自身の槍がベガを貫くことが出来ず砕け散り、その衝撃で両腕が使い物にならなくなり、その場に倒れ込む。
その後を追うようにベルフリンの放った岩石の群れがベガに殺到するも―。
土煙が晴れた時ベガは傷一つない状態でその場に立っていた。
「終わりカッ? 今度はこっちから行くぞ。」
「ぐ......。降参だ。俺は両腕をやられて武器も無くなった。もう戦えねぇ。」
「ははは......。1番の大技を殺すつもりで打ったのに。」
ザイルとベルフリンは戦意を喪失し、アルスはすでに気を失って立ち上がることは無かった。
「ベガ! ベガアアアアアアアアアア! 強いぞ! 強すぎる! 強者達の一斉攻撃をものともしない。この男一体どんな体をしてるんだあああああああ!」
そんな開幕の戦いを見て会場のボルテージは早くも最高潮に達しようとしていた。
いきなりの大本命達の敗北に落胆する者
ベガやチサの戦いに興奮する者
そして各地で始まる数々の戦いに野次や声援を飛ばしたりと。
会場は大きなうねりとも取れる大音声に包まれていった。
そうして様々な戦いが行われてゆく。
ベガは全ての攻撃を受け止めただけで向かってくる相手を倒す。
2番人気のシルヴィは、かなり好戦的で、人が集まっている場所に突っ込んでは、その全てを投げ飛ばし、戦闘不能にしてゆく。
3番人気のソフィアは自分の大剣を鞘に入れたまま振り回し、薙ぎ倒してゆく。
こうして、会場に残る実力者は10人となっていた。
俺達も姿を表す。
「さあさあさあ!この闘技大会予選も遂に大詰めだあああああ。」
ウオオオオオオオオオオオオオオ!
「勝ち残っているのは、やはり強いか、1番人気ベガ、2番人気シルヴィ、3番人気ソフィア、4番人気チサ。」
ウオオオオオオオオオオオオオオ!
「そして、この者達には及ばぬ人気ながら、10番人気マッド、14番人気ジルサス、26番人気ソフィー、46番人気シス、53番人気ビリスティー。」
ウオオオオオオオオオオオオオオ!
「そしてまさかのダークホース!彼がここまで勝ち残ることを誰が予想しただろうか。最下位人気ジィィィィィィン!」
ブウウウウウウウウウウウウ!
「ずっと隠れてただけじゃねェか!卑怯者が!」
「そうよ!戦ってたのチサちゃんだけじゃないの!」
俺に対しては物凄いブーイングの嵐だった。俺に賭けている者はこの会場内に皆無に等しいレベルでいないし、かつ戦ってさえいないのだから当然だろう。
このまま隠れていても俺は勝てるだろう。だが、今後もこの都市で滞在する以上は、卑怯者のレッテルを貼られる訳にはいかない。
「さて、戦うか。チサ、ここからは俺1人で片付けるから、降りていてくれるか?」
「うむ!分かったのじゃ!」
「おい!こいつ1人で終わらせると言い切ったぞ。最下位でずっと隠れていたクセにな。」
「確か、お前はビリステだったか?あまり強そうに感じないが。なら俺は隠れずに戦うよ。」
俺の言葉にビリステはニヤリと笑う。
「俺の正しい名前はやられた後で知ればいい。その言葉、倒れた後で後悔するんだな。所詮隠れてここまで生き残っただけ。隠れさえしなければ俺の敵ではない!!」
「電子光線!」
俺へ向かって一条の閃光が襲うのだった。
第73話でした!
やばいw
スマホの充電が2%しかないので今回パス!
第74話でお会いしましょう!
20/12/7




