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第68話 闘技大会

 昨日眠るのが遅かった為か、俺が目覚めると外は既に昼近くになっていた。


 俺は石で出来た扉を押して開けると外に出てみる。その瞬間俺の目に強烈な光が炸裂する。


「ウッ......。眩しッ。」


 俺は数秒、光の爆弾をもろに食らったお陰で目の前が光で真っ白になっていたが、漸く周囲が確認できるほどに回復する。


 その目で周囲を確認すると昨日雪を降らせていた雲はなく、太陽の光が雪を差す照り返しが異様な程に眩しかった。


「ん......。ジンおはようなのじゃ。」


「ああ、おはよう。チサ。眩しかったか?」


「大丈夫じゃ。しかし、陽の光が差すと雪はこんなにも綺麗に輝くのじゃな。」


「ああ、そうだな。」


 俺は正直なところ、雪は寒いし、動きづらいしで、苦手なのだが、チサは1人ウキウキしていた。


(そういえば昨日この大陸に来た時も雪を見てはしゃいでいたな。結局昨日はベガのお陰で雪で遊んだりできなかったからなあ。)


「よし! チサ! 今日は領主の館に行って用事を済ませたら雪で遊ぶか?」


 俺は隣で雪を見て目を輝かせているチサにそんな提案をしていた。


「本当か? 本当か! やったのじゃ! ジンと雪遊びなのじゃ〜。楽しみなのじゃ〜。」


 こうしてはしゃいでいる様子を見ると見た目の年相応に可愛いなあと俺は思う。この笑顔を見る為なら俺は苦手な雪も大好きになれるかもしれない。そう思うのだった。


 そして俺たちは身支度を整える。と言っても、俺の場合は、上半身は気配遮断で隠すから半裸のままだし、下半身はボロ切れのようになってしまったズボンを履くだけ。最低限、寝癖は直すがそれだけで5分もあれば十分身支度が終わる。


 チサはチサで、首長竜だからなのか、寝癖の類は起きて数分もすれば勝手に消えるし、チサの服はチサの体の一部のようで汚れや傷がついてもチサの意思一つで一瞬で元どおりになってしまう。


 そんなわけで俺たちは数分程で身支度を終えると領主の館へと向かう。


 俺たちが借りた家は領主の館から近いこともあって数分で領主の館へとたどり着く。門の前には既にベガが待っていて、門兵と楽しげに会話していた。


「ジンッ! 来たカッ。待っていたゾッ。既に門兵には話をつけておいタッ。さあ中へ入ろうではないカッ。」


 ベガがそう言うので俺とチサは、ベガに従って、昨日と同様に領主の館へと入ってゆく。

 中に入るとエルスが出迎えてくれる。


「連日、お越しいただきありがとうございます。ベガ様、ジン様、チサ様。では、ジン様とベガ様は着替えに行きますよ。」


 俺とベガは抵抗するのは無駄であると昨日の時点で既にその身を以て知らされているので大人しく従う。俺の肩から下ろしたチサが、笑いを堪えているのを見た時、俺はどこかやるせのない気持ちになった。


 そんなやり取りの後、例の仰々しい服に着替えた俺とベガとそれを笑うチサは応接間に案内される。ドアを開けて中に入ると既にそこには少し疲れた様子のアルが待っていた。


「いらっしゃい。連日領主の館へと足を運んで頂きありがとうございます。」


 アルは俺たちを見るとその手を止めてこちらへと挨拶をしてきた。

 きっと昨日突然俺たちが来たおかげで、仕事が終わらずそのおかげで寝不足なのだろうと俺は予想する。


 そんな俺たちはエルスに促され、アルと対面になるようにソファへと座る。


「さて、昨日の話の続きですが......。まずは貴方達の素性を出来る限りで良いので教えて頂けますか?」


 そんな会話から、俺とチサはステータスウインドゥを表示して見せ、アルを驚かせる。

 その後、俺たちは森の大陸からこの大陸にたどり着いたことをぼかしながら話してゆく。


 ああ、勿論世界法に抵触されたりしない様に、他の大陸の場所については教えていない。

 アルはかなり聞きたがっていたが、神が存在する限り教えるわけにはいかなかった。


 そんなわけで、俺たちがここまで強い理由について納得して貰った後、アルは真面目な表情になって俺に向き直る。


「色々と聞かせて頂きありがとうございます。事情があるようで全てを教えて頂けなかったのは残念でしたが。」


「こっちにも事情があってな。他の大陸の位置や特産品の類に関しては教えることが出来ないんだ。」


「いえ、いいんです。きっと手を出したらまずいことがあるのでしょうね。でなければ、他の大陸についてもっと知られていても良い筈ですから。」


 アルはとても察しが良かったが、その考えが当たりか外れかを俺から言うことはできない。


「さて、ここからは提案なのですが。」


 アルはもうこれ以上聞き出すことはできないと悟ると話題を変える。


「ジンとチサは、この大陸の闘技大会に出場するつもりはありませんか?この大会にはそこのベガも参加します。この大会で優勝することが出来れば、称号【不屈の闘士】が得られます。出てみる価値はあると思いますよ。」


 不屈の闘士......。ああ、そういえばベガの称号で設定されていたな。なるほど。そういうことだったか。


 俺はベガの称号に納得する。だが、効果は分からないのだろうか?俺は聞いてみることにする。


「その称号の効果は?」


「それは手に入れてからのお楽しみです。どうです? 出られますか? 闘技大会予選が来週の今日なので、本当であればもう受付は締め切られているのですが、そこは私の力でなんとかしますよ。」


 称号の効果ははぐらかされてしまったが、俺には気になるワードがあった。


「予選?」


「ええ。この大会は大陸全てにおけるナンバーワン闘士を決めるのです。なので、まずは各都市で予選のバトルロワイヤルが行われます。人口比率的にマキラが7人、アルが5人、デウスが4人本戦へと出られるようになっています。」


「ジン! 妾、闘技大会とやらに出てみたいのじゃ! とっても楽しそうなのじゃ。」


 どうやらチサも乗り気の様だ。


「わかった。なら闘技大会とやらに出ることにする。」


「ありがとうございます。闘技大会とはいえどここ三大会ほどベガの一人勝ちが続いておりましてね。新たな風が吹くのは領主として嬉しい限りです。」


 そして俺たちの闘技大会への出場が決まった。アルは非常に嬉しそうな顔をしていたが、ベガは苦い顔をしていたのが印象的だった。

というわけで、1万字チャレンジの1話目投稿です。

今日はあと3話仕上げる予定なので頑張って書きます!


さて、そういえば前話のお話なのですが、「壮観」これ基本的に景色に使うことが多い言葉なのですが、敢えてアルの威圧の壮大さを表す為に使ってみました。中々頭の中にあるイメージを言葉にするって難しいですよね。

でも、自分の知ってる言葉で、表現で、精一杯表現しますので、これからもよろしくお願いします。


では第69話お楽しみに〜


20/12/5

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