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第67話 領主との対面

 エルスに連れられた俺は、多くの衣服がしまわれている、領主の館の衣装室に連れてこられていた。


「ジン様の身長から、アル様の15歳頃に着用されていた礼服であれば着られる筈。となるとこちらが良いですね。」


 何やら、衣装を見ながらぶつぶつと呟いた後、1着のベガが来ていたものと同様の純白のいかにも高貴な人が着ます!といえる服を運んでくる。俺は抵抗するも言いくるめられ、結局なすがままに手際良く服を着せられてしまった。


 こうして、ベガとお揃いの、仰々しい格好をさせられた俺は、執事のエルスに連れられて、応接間へと戻る。この服、この大陸の式典で着る正装らしく俺からすれば嫌がらせ以外のなんでもなかった。


「ふふっ......!ジンにベガお主ら似合いすぎじゃ。これは愉快だの。」


 ベガは仕方ないとしてもまさかチサに嵌められて俺までこんな堅苦しい格好をしなければならないのはとても心外だった。


「ジン、よく似合っているゾッ。」


「そういうお前もな。ベガ。」


 俺たちはお互いに皮肉を言いながらもソファに腰掛けて待つこと5分ほど。


 トン、トン、トン。


「失礼する!」


 応接間のドアがノックされ、一人の壮観さを身に纏ったかのような青年が応接間へと入ってきた。その青年が放つオーラというのであろうか。それは普通という言葉で表現するには憚られるものがあった。


 ただ、根っからの武人で無かったのは救いだったのだろう。俺はその気配に一瞬気後れしたものの、すぐに立ち直ることが出来た。


「ほう。この私の威圧を受けてここまで(ひる)まぬ者は初めて見ましたね。隣の女の子もですか。いやはや。これは自信をなくしますね。ベガには十分効いているというのに。」


 俺はそう言われてベガに視線を移すと、その馬面からは大量の汗が目に見えてわかる程だった。


「お戯れはその辺で。彼らはお客人ですぞ!」


 そうエルスが咎めると、目の前の青年は、威圧を消す。その瞬間、青年が纏っていた壮観さは鳴りを潜める。


 この場で唯一もろにその気配の影響を受けていたベガの呼吸が荒れる。


「ゼェ、ゼェ、アル様、酷いですヨッ。それを使うなら事前に伝えておいてくださいヨッ。」


 ベガはそう抗議する。


「すまないね。私の館へと来る者は大抵が緊張していたり、かしこまったりしてしまうのに、今日ここに来たお客さんはそんな気配はおろか、楽しげな笑い声まで聞こえたものでね。どれほどの大物か試したくなったのさ。」


 長い言い訳をサラッと言い切ったアルは、俺たちに向き直ると言葉を発する。


「ようこそ我が都市、アル・フォー・ラーゲルへ! 私の名はアル・ロックバレー。大陸三大都市の一つを治める領主だ。よろしく。」


「ジンです。よろしくお願いします。」


「チサなのじゃ。よろしく頼むのじゃ。」


「そうかしこまらずともいいですよ。君達はこの大陸の外から来たのでしょう? なら、私との上下関係など無い筈です。普段通りでお願いします。」


「大陸の外だっテッ?」


 ベガが驚いたような表情を浮かべる。


「あれ? ベガは気付いていなかったのですか? 貴方から受けた簡易報告からも間違いないでしょうに。海からあの岸壁を破壊して現れ、この大陸の事情を何も知らず、服装も違い、かつ、この大陸で今までに見たことのない高さのレベルの持ち主。ここまで揃えばまずこの大陸の出身では無いでしょう。」


「クッ......! 言われてみれバッ......。だが、ジンもチサも別の大陸から来たなどとは一言も言っておらなんだではないカッ!」


「チサ、あそこまで俺たちのことを知れば普通気付くよな。」


「妾もそう思うのじゃ。それに何処から来たかとも聞かれなかったしの。」


「ナッ......。」


 俺とチサの言葉にベガは閉口せざるを得なかった。どう考えても気付かなかった自分が悪いのだから。


「さて、それでは、貴方達についてはベガからある程度報告を受けています。この大陸にしばらく滞在したいこと、そのための身分証を発行して欲しいことを。」


 俺とチサは頷く。

 それを見たアルは話を続ける。


「これらに関しては私の権限で許可しましょう。更に住む場所に関しても困るでしょうからお二人には一軒の空き家を用意することにしましょう。その代わり! 他の大陸のことについて少しでもいいので教えていただけませんか?」


 俺とチサは顔を見合わせた後、頷く。


「全て話すわけにはいかないがそれでもいいか?」


 目の前にいるアルが、もし俺の情報を元に欲に駆られ、世界法に抵触してしまっては、俺にとっても望むところではない。到達者という制限がかからない今、これまで存在した情報の統制はこの世界には無いのだから。


「ええ。構いません。存在すらあやふやだった別大陸の情報が得られるのです。それで十分すぎるほどです。」


 その一言に安堵すると、ここで今日のアルとの話は終わる。ここに着いた時には既に夜だったこともあって、既に時間は深夜だった。

 勿論ではあるが、礼服は丁重にお返しした。明日もどうせ着せられるのではあろうが、あんな仰々しい服は持っていることすら憚られた。


 明日の昼にまた領主の館で話の続きをする約束をすると、俺たちはベガと別れ、エルスの案内のもと、領主の館から近い位置にある、一軒の周囲の家よりは一回り大きい岩石でできた一軒家に案内される。


「お二人はお揃いの指輪をつけられるほど親密な様子。もし違うのであれば家を分けることも可能ではありますが、どうしますか?」


 その言葉に俺は顔を真っ赤にし、チサはとても嬉しそうにする。


「妾、ここがいいのじゃ! ジンもいいであろう? の! の?」


 チサの催促に俺は折れるしかなかった。というか、もともと一緒の家にして貰うつもりではあった。いくらチサが強いといえども、やはり俺から離すのは不安なのだ。


「ここで......いいです。」


 ただ、改めて指輪について言及された俺はとても恥ずかしい気持ちになる。チサとはそんな関係では無いと言いたいが、なら離れて過ごすかと言われるとそれは否なわけで。結局萎縮したような返事をするしかなかった。


 こうして案内された家の中にある平らな面ができるよう加工した岩石の上に針葉樹の葉を乾燥させた葉を詰め込んだマットが置かれたベッドにチサと一緒に横になると俺は眠りにつくのだった。


ふー...。3話投稿は中々ハードですね。でも書くのは楽しいのでオールオッケーです!


さて、ジンとチサは無事にこの大陸で住む場所を確保できたわけですね。これからの展開を書きたくて書きたくてしょた丼はウズウズしているわけですが、中々話が進まなーい!!

それでも、焦らず丁寧に書いていこうと思います。


では、第68話もよろしくお願いします!明日は1万字チャレンジやりますので、おそらく4話...無理でも3話更新したいと思ってます。


ではでは読者の皆様、今日一日お疲れ様でした!


20/12/4

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