第43話 チサVSエルダーラフ
「チサ、もう体は大丈夫なのか?もし無理してるなら断ってもいいんだぞ?」
俺はこれからエルダーラフとの闘いに臨もうとするチサへと声をかける。いくら首長竜であり、チサのレベルはエルダーラフと比べて3倍以上もあるとはいえ、同一化による影響がまだ抜けきっていないであろうチサが心配だった。
「ジン。心配し過ぎじゃ。妾とて同一化というものがあそこまで大変なことになるとは思わなかったが、今はかなり回復しておる。あのエルフ如きに負けることはあるまいて。」
そう言ってニコリと笑うチサだが、俺は先日の一件でかなり心配症が悪化しているらしい。チサが戦うことが不安で不安で仕方なかった。
こんなでも見た目は少女なのだから。
「ジーンー!そんなに妾が心配かの?心配してくれるのは嬉しいが過度な心配は相手に嫌われるぞ。それにそんなに妾は危ないとは思っておらん。」
「え?」
俺はチサに嫌われてしまった時の絶望を思い浮かべてしまう。ゲチスから逃げてた時はずっとずっと1人だったのにいつからこんな駄目になっちゃったんだろう。
そう思っているとチサが仕方ない奴じゃのうという感じの顔をして俺を見る。
「本当に妾が危なくなったらジンが助けてくれるのであろう?」
その言葉にハッとした俺は即答する。
「当然だ。」
「なら妾が思う存分戦っても大丈夫じゃな。いざとなったら助けるのじゃぞ。」
そこまで言われたら俺も黙るしかなく、闘いに向かうチサを見送ることにする。
「終わったか?ならさっさと終わらせるぞ。我はこの不名誉な闘いなど一瞬で終わらせねばならんのだ!」
「まあそう焦るなて。あまりおしゃべりが過ぎると弱く見えるというものじゃぞ。」
「この小娘がぁああああああああああ!!!!言わせておけば、好き勝手言ってくれる!すぐに黙らせてやる。」
こうして一人で勝手に盛り上がって勝手に逆上し冷静さを失ったエルダーラフは思い切りチサへと筋肉を纏った右腕で殴りかかる。だが、その腕をチサは軽く飛んで躱し、エルダーラフの腕の上に乗る。
「どうした?エルダーラフよ。怒りで自慢の拳が遅くなっておるのではないか?」
「小癪なああああ!」
こうしてチサへと向かって、左腕を薙ぐ。しかしチサはそれをひょいっと飛んで躱し今度は左腕へと乗る。エルダーラフはその左腕を地面に叩きつけようとするも、今度はチサはエルダーラフの背中に飛んで着地する。そうしてチサはエルダーラフの体中を足場にしてエルダーラフと舞を踊るかのような闘いを繰り広げた。
「ほれ。エルダーラフよ。攻撃が短調になっておるの。」
「あーもう。そっちじゃないのじゃ。そんな見え見えの攻撃当たるはずがなかろう。」
「速いだけの攻撃なぞ怖くもなんともないのじゃ。」
チサは闘いにも関わらず、エルダーラフに助言していた。まるでエルダーラフなど相手になっていなかったのである。
これにはブラウンエルフの長であるキラークィも、俺達に同行していたトリスもバッツも驚きを隠せずにいた。
「くそくそくそクソがああああ!ゼェ....ゼェ....なんで一発も....当たら....いや、かすりもしねぇんだよ。」
「それはのエルダーラフ。お主が妾を少女じゃと侮って、体面ばかりを気にして普段を忘れてしまっておるからじゃ。折角のパワーも、戦闘センスも。そんなことでは台無しじゃ。そんな攻撃何万何億打たれようとものの数ではないのじゃ。」
しかしエルダーラフにはチサの声は全てが自身を否定する言葉に聞こえた。
そしてエルダーラフは不意にニヤリと笑った。チサはそれに不穏な気配を感じてエルダーラフから距離を取る。
「やめろ!エルダーラフ!!!!それは模擬戦で使っていいような技では無い!」
キラークィが叫ぶももう遅い。
エルダーラフはその技を発動する。
「ハアアアアアアアアアアアア!筋肉祭。」
そう言うとエルダーラフの体が2倍程の大きさとなり筋肉がさらに隆起する。肩は盛り上がり体が全体的に丸くなったような感じだ。
ただし、太って丸くなったわけじゃない。異常に発達した筋肉の鎧によって丸くなっているのだ。
そうして、自我を無くしたかのようなその目はチサのみを見つめ一気に距離を詰める。その速度はさっきの比では無かった。
「ガアアアアアアアアア!!!」
エルダーラフは咆哮を上げてチサへと猛烈に突進する。
「危ない!チサあああああ!」
「ジン!大丈夫じゃ。」
俺は叫んで気配遮断を発動してチサを助けようとするも、チサに止められる。
その時、俺の視線の先には全身に水の衣を纏い始めているチサがいた。
そしてチサは大きな水弾を作り出し、エルダーラフに向かって発射する。
エルダーラフは動きを止めて弾き飛ばされる。
「ガアアアアアアアアア????」
「水竜天女の法衣」
チサがその言葉を発した時チサの身体には流れる水を衣のように纏ったチサの姿があった。頭には可愛らしいティアラが乗っており、その立ち姿にはチサの愛らしさと、神々しさが融合した美しさを秘めていた。
「まだ本調子でない故に長くは持たんでの。早々に決めさせてもらうが許せよ。エルダーラフよ。」
そう言うや否やチサはエルダーラフに向かって川のような流れを生み出す。
「グアアアアアアアアア!!」
我を忘れたエルダーラフはその川に向かって殴りかかるも、水であるがゆえにただ突き抜ける。
そしてチサはその水流に乗って一瞬にして、エルダーラフの懐に入り込んだかと思うと、次の瞬間、エルダーラフの胸から背中へ水竜が突き抜けた。
「水破・竜水樹」
「ガアアアアアアアアア......ゴフッ.....。」
ガサッッ......
そして、その一撃を直で受けたエルダーラフは吹き飛ぶこともなくその場で意識を失うのだった。
作者「やばいぞジン!チサの方が主人公っぽいぞ!」
チサ「ジンは妾に負けぬよう頑張らねばの。」
ジン「いや、俺の技能が増えるかどうかは作者次第だからね。」
作者「逃走!」
ジン「おい!逃げるんじゃねぇ!!!!」
作者「それでは第44話まで作者がジンから生き延びたらお会いしましょう!」
20/11/25
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