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見捨てられた世界を気配遮断で生き延びた俺は神に助けられこの世界を解放する旅に出る  作者: しょた丼
〜第二章 チサとの出会いとジンの旅立ちの決意編〜
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第37話 チサ奪還戦②

 台座へと向かってゆく俺にバッツは声を上げる。


「貴方がいくら気配が消せようとも、この『自動衝撃壁オートインパクト』があればいかに気配が消せようとも、ここへ入り込むことは不可能です!」


 俺はニヤリと笑う。


「それはどうかな?どんなモノでも限界はあるよね?それにもう俺はこの罠の攻撃は食らわない。」


 俺は続ける。


「もし、俺が、さっき作っていた()()()()の分身ではなくて、()()()()の分身を作れるとしたら。」


 バッツの顔色が目に見えて変わり始める。


「もし、俺が、()()()()の分身を大量に作り出すことが出来たとしたら。」


 バッツはその言葉を聞いて青ざめてゆく。

 必死でこの場を収める為に頭を巡らすも、迫りくるジンは遥かに早く、それを許さない。


 俺はその反応を見て確信した。コレならばイケると。チサと共に過ごした3年の中で身につけた俺の新たな気配遮断の応用技。


「実像分身!!!」


 そう言うや否や俺は大量の俺を周囲に生み出す。

 俺の気配遮断は自分だけでなく、周囲にも影響を及ぼすレベルになっていたのだ。


 仕組みはこうである。発動するのは虚像分身のそれなのだが、そこにジンは虚像分身を虚像分身たらしめる、虚像分身の気配を遮断する。即ち、虚像を否定し、実像へと昇華させたのである。

 ただ、この技消耗が激しく、1体作るごとに魔力を3消費する。


 俺は一気に残り魔力を使って、70体作成する。


「なな....なんですか!それは....一体貴方は何者なのですか??」


 バッツは驚きから情けない声しか出ない。

 少し前にチサを気絶させる為に全魔力を使い果たした彼にとってもはや打つ手は残されていなかった。


「さあ、俺と 自動衝撃壁オートインパクトとやら。何方が先に音を上げるか勝負といこうじゃないか!!」


 俺は実像分身達を次々に 自動衝撃壁オートインパクトへと送り込むのだった。



 チサは夢を見ていた。


「ここは...どこじゃ?」

 見覚えの無い場所にチサは疑問符を浮かべる。


 所狭しと立ち並ぶ超巨大な長方形型の建物、


 ひらべったい板に映し出されるまるで今この場で何かをしているかの様に映し出される映像、


 高速で動く乗り物。


 この街を行く人々は場違いなチサのことなど気にも留めず、片手に持った板を必死で操作しながら行き交う。ただ、不思議と景色は灰褐色で、人々の声は聞こえなかった。


「ああ、妾は夢を見ているんじゃな。だけど、初めて見るかと言われると何処か見覚えがあるようなそんな気がしてならぬのじゃ。」


 チサはそんな世界に違和感を感じながらも歩いてゆく。そうして人ごみを抜けると景色が変わる。

 先ほどとは打って変わり、田舎の様に長閑で閑散とした風景だった。ただ、やはりこの景色もまた灰褐色であった。


「ここは......っっ!!?」


 思い出そうとすると頭に痛みが走る。そうしてチサは目の前の長閑な風景が崩れてゆくのを感じる。


「どうやら目が覚めるようじゃの。早くこんな拘束抜け出して妾はジンの元へと帰るのじゃ!」


 そう思うとチサは今見た不思議な夢のことはさっぱりと忘れ、現実世界への復帰を果たすのだった。


 ズドドドドドーーン!!


 俺は台座の周囲にあるベール、否、自動衝撃壁オートインパクトに向かって実像分身をぶつけまくっていた。


 ガラガラガラガラ!


 ドッシャーン!


 ガゴーン!


 ズゥゥン!


 俺の分身達が四方八方から、衝突しては、衝撃波が発生し、吹き飛ばされてゆく。

 だが俺の分身であるが故に作り出してから数分、消えるまでは不死身であり自動回復もする。勿論俺の劣化版であるが故に身体能力も低く各々に自我はない。だが、自動で発動するトラップにはそれで十分だった。


 よほどのことでも大丈夫な設計のトラップだったのであろうが俺の分身達の猛攻により、遂にその活動を停止した。俺はそれを確認すると一気にチサの近くにいる男へと詰め寄る。


「こここ...降参です。僕はもう魔力は無いですからねぇ。この通りですよぉ。」


 チサの近くにいた男は両手を上げてその場にへたり込む。


 そうして俺がチサを拘束している縄をトリスから奪った剣で断つ。と同時に、この剣が完全に木で出来ていると言うことも確信する。さっきは一瞬でインベントリにしまったからあまり意識はしていなかったのだが、金属よりも圧倒的に軽い。


 なのに、チサを拘束する縄を簡単に切ることの出来る切れ味。この大陸特有の技術がここにはあるのかもしれないね。


 そう確信した俺は後で尋ねようと思うものの、とりあえずチサを抱きしめる。俺に怯えている男や、腱を切られて痛みで悶絶している奴らが周囲に若干一名ずつ転がっているが俺は気にしない。


 するとうっすらとチサの瞳が開き始める。


「チサ!!!」


 俺は1週間ぶりのチサの目覚めと、一夜の間ではあったが離れていた久々のチサの感触に安堵して、少し涙が溢れる。

 それを誤魔化す様に更にチサを強く抱きしめる。


「ジン....?妾捕まっていたはずなのじゃがこれもまた夢かの?じゃがジン。妾苦しいぞ。そんなに強く抱きしめてはの。」


 そうは言われても、離すわけにはいかない。何故なら目に浮かべた涙がチサにバレてしまうから。


「まったくジンは仕方ない奴じゃ。そんなにも妾がいなくて寂しかったのじゃな。すまなかったのう。」


 チサもまた俺の胸に頭をすり寄せてくる。俺はその愛らしさに、漸くチサを取り返せたんだなと心から安堵する。


 その後は、結局チサに泣いているところが見つかり、少し馬鹿にされたものの、チサもまた目に涙を浮かべている気がした。


 きっとこんなにも大人びている様に見えて不安もあったのだろうと俺は思った。俺の方が涙とか流しすぎてて子供みたいとかそういうのは無しだぞ?


 そうしてお互いのこれまでを話す。ジンはチサが同一化の技能を使ってからの後の話を。チサは攫われてから目覚めた後の話を。


 周りに若干2名の部外者が転がっていたものの2人の間に流れる甘いような何処か微笑ましいような雰囲気を破ってまで動けるような余裕は無かった。バッツに至っては、ジンから漏れ出る殺気に思わずちびりそうになっていた。


 そして、そうやって話しているときに今まで静寂を保っていた台座が急に輝き始める。

 ジンはその瞬間チサを抱えてその場から大きく飛び退く。

 バッツも距離を取った。トリスは台座から離れた位置に転がっていた。


 そこには、1人の長細く尖った耳を持ち、ジンより頭一つ高い長身の全身褐色で手には弩を携えた筋骨隆々の男が立っていた。


 

第37話でした。

えー遂に例のあの種族が登場するわけですね。

まだ秘密ですが!秘密ですからね。

チサが無事救われて良かった。

次回で遂に10万字達成です!では第38話もよろしくお願いしますね!


20/11/23


これから先が気になる!面白い!と思えた方は是非是非評価とブックマークをよろしくお願いします!

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