第31話 上陸前の不眠耐久戦
第31話ぁ、第31話只今発車致しますm(__)m
「言葉で説明する前にまず見せた方が良いかのう。」
チサはそんなことを言う。
俺はそっちの方が良いのなら。とチサに頷くと、首長竜の背中へと移動する。
(そういえば、俺はこの首長竜の顔を見た事がないな。そもそもがデカ過ぎて見えないんだけど。)
ずっと海だったから首長竜の正面に立つわけにはいかなかったし、顔を見る為だけにまた宙を舞う...否、自由落下するのは流石に嫌だった。
とかどうでもいいことを俺は考えていると背中に到着する。
先ほどまでは見晴らしのいい首長竜の頭の上に乗っていたのだが、俺たちが降りるのに合わせてチサは首を前傾する様に倒してくれる。そうして歩いて下るのだ。
以前頭をそのまま背中に近づける事ができないかと聞いて見たが、無理だと言われた。
首は前に倒すことはできるが、後ろに曲げることはできないんだそうだ。
そして首長竜の背中でチサは言う。
「これから妾は技能:同一化を使うのじゃ。良く見ておるが良いぞ。」
そういうとチサはゆっくりと首長竜の背中で片膝を付き、そして可愛らしい小さな二つの手を首長竜の背中に当てる。
そして、チサは言う。
「同一化。」
すると、その巨大な首長竜は、キラキラとした光の粒子上になり辺りを舞い始める。赤、青、黄、緑、白....。それに合わせてチサも宙へ浮いてゆく。
「っ.....!!!???」
俺は驚きとその幻想的な風景に言葉が出ないでいた。そうして首長竜であった光の粒子達は宙を舞い、チサを中心に渦を巻き始める。いつだったか。何か本で読んだ広大な銀河のように。
そして、その光はチサへと向かって急速に収束する。
俺は粒子の最後の一つがチサへと吸い込まれるその時まで目を離せずにいた。まるでその渦へと引き込まれてゆくかのように。
そんな光景に我を失いかけていた俺は、チサがゆっくりと俺に近づきながら落下していることに気づく。俺は優しく受け止める。何か変わったことはないかと見てみるが、いつものチサで、今の儀式で疲れたのか、スヤスヤと健やかな寝息を立てていた。俺はその愛らしさに見とれていたのだが不意に気づく。
首長竜が居なくなった今、ここは空中であると。
気づいた時、俺は落下を始める。チサは眠っており、起きる気配がない。俺はチサを護るように優しく抱きかかえると、海面の衝撃に耐える準備をする。
ドッボーン!!!
俺は少し痛かったが直ぐにチサを確認する。これだけの衝撃だったが傷はないことに安心する。
すると驚くべきことに気づく。
なんと、チサは全く水に濡れないのだ。チサの周りだけ薄い幕があるかのように水中であっても全ての水滴を弾いていた。
俺は驚くも、覚えたての泳ぎでなんとかチサを抱えたまま海面に戻り、チサが寝息を立てていることを確認すると、ひとまず大陸へ向かって泳ぐことを決意する。大陸まではまだ数十キロほどはあるのだが、それはジンの知るところではない。
そうして俺は、とりあえずこのままチサを抱えて泳ぐわけにはいかないので、技能 インベントリを表示する。
チサは今眠っているから、同意は得られないので収納できない。そもそもどのくらいの生物を収納できるか、容量がどのくらいかは全く分からないのでひとまずおいとく。
以前チサと会う前のこと、俺がレベル100となり、インベントリの技能を習得した際、インベントリを試すために胃に入り込んでいた漂流物の中で状態の良いロープがありそれを仕舞っておいたのを思い出したのだ。
インベントリなんて便利な技能を持ちながらも、俺はチサとの生活で全く必要なかったので今の今まで2年ほどその技能の存在を忘れていたのだ。
俺はそのロープを取り出すと俺の背中にチサを固定する。固定できたところで、大陸へと泳ぎ始めることにする。
「よし!行くか。」
そして俺はかなり久々となる気配遮断を発動する。今となっては自分から範囲を指定して気配遮断を発動できるまでになっていた。とはいえ、自分以外の広い範囲にかければかけるほど魔力の消耗は激しくなるのだが、チサは自分の背中に固定しているのでどうと言うことはなかった。
そして寝ずに大陸を目指して俺は泳ぎ続けた。寝ずに行動するのは久々ではあったが、ゲチスから逃げ続けたあの1ヶ月の不眠不休の体験を考えれば、この程度どうと言うことはない。
3日が経った。チサは起きないが、俺の背中で寝息を立てている。あれだけの巨体をこの小さな体に納めたのだから、起きるのにもまだしばらくかかるんだろうと俺は俺を勝手に納得させる。そうじゃなきゃチサが起きないのではないかって不安が襲ってきて気が気じゃなかった。
1週間後、俺はなんとか陸地へと上陸することに成功する。離岸流に流されたり、突然発生した渦潮に呑まれ、チサをくくりつけていたロープが切れてそこからチサを抱えたまま泳いでいたため陸が目と鼻の先だったにも関わらず俺は2日ほど海の上をなす術なく漂っていたのだ。
そうして俺は砂浜に上陸した後、
チサを砂浜に寝かせる。寝かせた後、砂塗れになるのでは???と焦ったが、チサには汚れ一つ付いていなかった。
「羨ましいよ。チサ...。というか、ここまで目覚めないんだったら、あの時説明を聞いておけば良かったよ。」
俺はそう後悔しながらも海から少し離れた砂浜でチサの隣に寝っ転がった。
(まさか、1週間チサが目覚めず、しかも泳ぎを覚えたばかりの俺が運ぶ羽目になるとはね......。チサが起きたら文句のひとつでも言ってやろう。)
そう頭の中で決めると、日差しが凄かったので近くにあったワカメを顔に乗せる。
1週間飲まず(海水はかなり飲んだが。)食わずで泳ぎっぱなしだった俺は強烈な眠気に急速に意識を刈り取られてゆくのだった。
というわけで31話でした〜
何を思ったか、今日20日に3話投稿するとか言っちゃって、頑張って3話書く羽目になってしまいました...全部合わせて、今日だけで7000字〜8000字くらい書いたのか。
やろうと思えばやれるものですねw
では仮眠しか取れてないので寝ます!
おやすみなさい!
第32話もお楽しみに〜
20/11/20
これから先が気になる!面白い!と思えた方は是非是非評価よろしくお願いします!




