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見捨てられた世界を気配遮断で生き延びた俺は神に助けられこの世界を解放する旅に出る  作者: しょた丼
〜第二章 チサとの出会いとジンの旅立ちの決意編〜
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第28話 光差す場所へ

第28話です!Twitterリツイートでお寄せ頂いた数多くの小説を読むのを楽しみに、自分の小説も読んでくれる人が増えたら良いなと思いつつ、本話もよろしくお願いしますm(__)m

 俺とチサが眠ってからどれほどの時間が経っただろうか?相変わらずここは暗闇のままなので、時間感覚は無いが、結構時間が経っているようなそうでもないような。まあいつもどおりの感じだ。

 一応ではあるが、こんな真っ暗闇で生活し続けた俺の目は自分の周辺数mくらいなら普通に見えるし、気配だけなら、この胃空間全体を把握できるくらいにはなっている。


 俺はチサより一足早く目覚め、チサが起きるのを待っていた。こうやって幼い見た目のチサを見ていると、妹のセリのことを思い出す。

 俺は何処か寂しいような悲しいような目をチサに向けつつも、呟く。


「俺はもう、誰も失うわけにはいかないんだ。」


 そんな声が聞こえていたのかどうか、眠そうな目を擦りながら、チサが目覚める。


「ふぁあ〜。おはようなのじゃ〜。なんだか久々によく眠れた気がするの。この2年ほどずっとこうしてジンに甘えるのが楽しみだったからかの。」


 寝起きからの恥ずかしい一言に俺はツルツルの頭のてっぺんまで暑くなった気がした。


「ん?ジンなんでそんなに赤くなっておるのじゃ?」


 自覚があるんだか無いんだか...

 そんなチサの様子に俺は知らぬ方が良いこともあると謎の言い訳を頭の中でし、


「なんでもない。」


 そう誤魔化すのだった。


「そういえば、チサは今この世界のどこに居るか分かっているのか?」


 俺は先程寝る前に聞こうと思って聞けないでいたことを聞いてみる。


「そうじゃのう。今は、最寄りの大陸から500kmほど離れた位置にある海溝の中におるの。深さは7000mと言ったところか。海というのは深ければ深いほど、何故かモンスターが強くなる傾向にあっての。妾とお主のレベルを上げる為にかなり深いところまで来ていたというわけじゃ。」


「へ〜。海って深いほど相手が強くなる....7000?え、今ここ深度7000mもあるの?」


「ん?それがどうかしたのかの?」


「俺は一生ここから出られないのか?」


 俺は思い詰めたような不安な顔をしていたのかもしれない。

 チサが吹き出しながら話す。


「ふふっ。安心するのじゃ。妾も人間の姿になれたからには、大陸というものにも興味があるからの。だから少しずつ水圧になれながら、海面へと向かっておる。流石の妾も急激な水圧の変化には耐えられぬでのう。」


「ふーん。そういうものなのか。」


 ジンは知らぬことだが、深度7000m地点であれば、地上の700倍程の圧力がかかっていることになる。今ジンが外に出れば一瞬で潰れてしまう程度には凄い圧力がかかっているのだ。


「それで、海面までたどり着くにはどのくらいかかりそうなんだ?」


 俺は水圧のことは全てチサに任せることにして具体的な時間を聞いてみる。


「そうじゃの〜。大体5ヶ月程かの。更にそこから最寄りの大陸まで半月と言ったところかの。妾は地上という場所のことを殆ど知らぬから楽しみなのじゃ。地上にはタイヨウなる光るものがあるのであろう?おお、そうじゃ!折角妾もジンと話せることじゃ。時間もあるし地上のことについて教えてくれぬか?」


「ああ、いいよ。」


 俺は快く快諾した。


 こうして俺とチサは地上の話をしたり、チサが食べた生物やモンスターを一緒になって倒したり、2度と生えないかと思われた俺の毛が生えて安堵したり...


 .....そうしておよそ5ヶ月の時が流れた。


 ずっと孤独だった。故郷で俺の親友、家族、知人その全てを失った。食べる物が無くなり、単身俺の最後のルーツとも言える故郷から命懸けでサルマイアへ向かったあの日。

 その日からずっとずっと孤独だった。

 俺は行く先々で追手に命を狙われ、最後には海にまで突き落とされた。


 暗闇の中で俺を呼ぶ声がする。


「おーい!ジ〜ン〜!!外に出てきても良いぞ!

 きっとビックリするのじゃ!」


 チサが大はしゃぎしながら俺を呼びにやってくる。そうして目が潰れそうな程に眩しい無邪気な笑みを浮かべると俺を手を繋いで食道から口へと引っ張ってゆく。

 チサとジンが舌の上と思われる場所へと着いた時、不意に目の奥へ鋭い針が突き刺さる様な感覚に襲われる。首長竜がゆっくりと口を開けたのだ。


「ぐああああ....」


 そう、それは光だった。俺は徐々に回復する視界に茜色に染まる空と夕暮れ時の雲一つない太陽を捉える。

 俺はその光景に言葉が出なかった。目元が今までに無いくらい熱い。約3年ぶりに見る太陽に目が焼かれたのだろうか。俺の回復した筈の視界がにじむ。俺は遂に目が焼けて血でも滲んだかと思った。そんな俺に隣にいた筈のチサが重さを感じさせぬ身のこなしで俺の右肩に座ると、俺の頭を撫でていた。それに気付いたとき俺の視界は幾重にも重ねた透明な膜によって閉ざされる。


 俺は気付く。あたり一面真っ赤に染まった海の向こうへと沈むゆらゆらとぼやける太陽を見て。


 ああ、俺は泣いているんだな....

 ああ、俺はもう1人じゃないんだな....


 俺はしばらくの間とめどなく流れる涙をそのままに。右肩に座って俺に何も言わずただ優しく撫でてくれるチサの暖かさに身を任せ、夕暮れの太陽が地平線へと消え入るのをずっと見ていた。


 不意にチサが俺に向かって話し始める。


「どうであった?実はの、妾が海面に着いた3日前からずっと曇りでの。妾もタイヨウが見られるのを楽しみにしておったが故にとても残念だったのじゃ。だからの、ジンには、海面に着いたといえなかったのじゃ。」


 そこで一瞬申し訳なさそうな表情を浮かべたような気がしたが、とても嬉しそうな表情に変わる。


「それでの!今日遂に晴れたのを見た時、妾は感動したのじゃ!こんなにもキラキラしたものを、こんなにも雄大な光がこの世界には存在したんじゃなと。あの時ジンを食っていなければ、この光景を見ることもできなかったと思うと改めてジンには感謝しかないのじゃ。」


 チサは俺に向かって話を続ける。


「本当はそこでジンを呼んでも良かったのじゃが、ジンはずっと妾の胃の中であったが故に急に昼間のタイヨウを見せるときっと辛いじゃろうと思うて、夕方になるのを待ってから呼びに行ったのじゃ。まさかこんなにも綺麗な景色になるとは思わなんだがのぅ。」


 そう言い終えたチサもまた目に涙を浮かべていた。

 俺はいつの間にか止まっていた涙がまた溢れ出していた。あれ?俺ってこんな涙脆かったっけ?

 そう思わずにはいられない程に自分でも止められないこの涙を止めるのを諦めたジンは、口を開く。


「......ありがとうな。チサ。俺は一生今日この日を忘れない。ありがとう.....うっぅ...。」


「我慢などせんで良いのじゃぞ。今まで辛かっただろう。ここには妾しかおらぬ故、遠慮せずに泣くが良い。」


 その言葉を聞いた時俺は声を荒げて泣く、否号哭していた。まるで自分の感情を制御できない子供の様に。


 その声はジンの孤独との本当の別れと共に、月明かりの海へと吸い込まれてゆくのだった。

いや〜、まさか自分が話を書いてる時に涙でスマホが濡れて大変だったとか言えないよね。(あ、この小説スマホで書いてます。)

今までジンには辛い思いを強制してきた作者として思わず心が揺さぶられてしまいました....

読んで頂いた方、ありがとうございますm(__)m

第29話も引き続きよろしくお願いします。


20/11/19


これから先が気になる!面白い!と思えた方は是非是非評価よろしくお願いします!

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