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第139話 熱水草を確保せよ!

今話はストーリー構成上少し短いですがお許しくださいm(__)m

 ゴライヤがチサの治療を終えた頃、ジンの三手に分かれて素材集めに向かっている分身たちはようやく目的地へと着き始めていた。


「まずは海からだな。確か熱水草だったか。」


 ジンはそう言うと海へと向かわせた分身へと意識を同化していくーー。


 海。それは俺とチサを散々に苦しめた場所だ。分身を介してではあるが、俺の目の前には、地獄でも可愛いのではないかと思えるだけの嵐が広がっていた。

 ただ、俺はこの大陸に来た瞬間に倒れたこともあってあまり意識はしていなかったのだが、改めてこの大陸の異質さを感じていた。


「どういうことだ? 大陸から一歩でも海に出ればアレだけの嵐と灼熱の海だってのに。まあいい。今はチサを助けることが先決だ。」


 俺は海に潜る準備をする。正確には俺の分身だが。

 まずは一体、俺の分身を海へと飛び込ませる。熱水草とやらがどれほどの深さに生息しているか、また、海の中の荒れ具合を知る為にもこれは必要なことだった。

 ただ、いくら俺の分身とはいえ、常に沸騰していると言っても過言ではない海の中へ飛び込んで、普通に活動できるわけがないのだ。いくら不死身といえど、自動回復を上回るダメージを受ければ体力は減るし、ゼロになることはなくとも、ゼロに近付けば身体機能だって衰えるのだから......。


 大体三分ってところか。

 俺は海に潜った分身を操りながら思う。

 これは分身だから、共有する感覚を選ぶことができるから、触覚や痛覚の類を切って分身を泳がせていた。それでも次第に分身の体は重くなり、少しずつ嵐に抗えなくなってゆく。


 ............あった。

 もう流されているのか泳いでいるのかわからない状態ではあったが、水深五メートル程の海底に大量の黒色のゴツゴツとした海藻らしきものが生えていた。


 だが、そこまでだった。突然俺の海へと潜らせた分身の視界がブラックアウトしたのだ。


「くそっ! 折角見つけたのはいいが、これだと熱水草を採って戻ってくるまでに分身がやられちまう!」


 俺は悩む。残りの海へと向かわせた分身は十九。ただ、普通に潜らせるのでは犬死にの可能性が高かった。

 どうする? どうすればいい?


 俺は必死で思い悩む。


 ......数分後


 色々悩んだ末に思いついた方法が一つだけあった。


「仕方ない。こうするしかないか。」


 俺は先程分身が逝ってしまった場所目掛けて一人目の分身を向かわせる。その分身が潜った瞬間に次の分身にその足を掴ませる。そして更にその次の分身に......これを十八人繰り返し、十八人目の分身の体を海外でガッツリ埋めて更に分身の周りを重い岩で固めて遠くへ流れていかないように固定する。


「これぞ、人間桟橋だ!!」


 俺は完成した瞬間に叫んでいた。

 ただ、この桟橋も、灼熱の海では三分間限定なのである。

 にもかかわらず、既に作成に一分かかってしまっている。俺はすぐさま唯一、人間桟橋に参加していなかった十九人目の分身を操り桟橋の上を走る。そして桟橋の先端から海へとダイブ!


 一瞬にしてる海底へと辿り着くと両手で抱え込めるほどの熱水草を黒影切でこそぎ取ると一気に海面へと顔を出し、人間桟橋の上を渡って海岸へと戻ることに成功する。


 だが、その時既に人間桟橋で先端〜海岸近くを担っていた十五名の分身は陸地へ戻るだけの力は残っておらず、足を掴んでいた手を離してしまったため回収することもできず、結局残った分身は四人となってしまっていた。

 更にその四人もまた火傷で満身創痍(まんしんそうい)といった様相で、とてもではないが即座に俺の元へ戻せる状況ではなかった。


「仕方ない。回復するまでの間に次の素材を集めるか......。」


 俺は俺の劣化版である実像分身の自動回復を待つことにして次の分身へと意識を向けるのだった。






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