二日目へ
試合終了。
最後は二年生と一年生の混合チームで終了ブザーを聞き、百十対三十七で江清の勝利となった。試合終了まで残った舜也は、試合に出ていた五人で相手チームのベンチまで行き「ありがとうございました」と挨拶する。すぐに次の試合を始める女子がコートに入ってきたので、舜也はイスの下に置いてあった自分のタオルやペットボトルを手に取り、コートを出ようとした。
そのとき、急に背中に視線を感じたので振り返ってギャラリーを見上げた。舜也の視界に駒池の玉崎選手が飛び込んでくる。その様子からずっと試合を見ていたらしい。横にいる駒池選手と真顔で何やら話しこんでいる。
舜也はしばらく上を見つめていたが、振り払うようにコートを出た。
二試合目も舜也たちは完勝し、午後五時の三試合目の直前に、江清女子の試合があったので舜也は気になってギャラリーから覗いてみた。
女子が戦っているのは三戦目で、かなり白熱した試合展開だ。
江清女子が五点差をリードしたまま迎えた第三ピリオドで、三大美人の一人、宮原愛華が交代でコート上に立った。ヘアピンで髪を留めたその姿は、一度視界に入れば十秒は見続けてしまう可愛さがある。バスケットの実力も先輩たちに引けを取らないどころか、総合的に見てむしろ先輩たちよりも動きがいい。このまま逃げ切れるかと思った矢先、決定的な場面で宮原愛華がパスミスしてしまい、相手側にボールが渡ってしまった。相手チームはその回を冷静に攻め、スリーポイントを決める。得点は二点差に縮まり、次の攻撃でも江清女子はスリーを許してしまったのでスコアは一点差で逆転された。宮原は声を出して奮闘したものの、流れは完全に相手側に移り、結局その後も勢いを巻き返すことなく、五十九対五十二で江清女子の予選リーグ敗退が決まった。
試合終了後、宮原愛華がタオルで顔を隠し、肩を震わせながら友達に寄り添って退場していく。悔しさで泣いているんだろう。
女子の分も頑張ろうと決めた舜也は、続くこの日の最終試合で縦横無尽に駆け回り、ダブルスコアをつける大勝に貢献した。これで江清男子は明日の決勝トーナメントへ続く。
残るは準々決勝、準決勝、そして決勝戦だ。