表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
逃亡した悪役令嬢は隣国で踊る戦乙女と呼ばれています。  作者: 聖願心理
第1章 アイオーンの跡継ぎ問題とその他諸々/第2節 マスグレイブ家族大集合!
73/232

71 ファースと巡るパーティー

本日3回目の更新です。

「あの〜、ファースさん?」


 私の声かけが聞こえてないのか、ファースはおかまいなしに、ずしずし進む。逃げてる、の間違いか。

 何でもいいから私は、掴んでる手を離して欲しかった。ファースもそれなりに力あるから痛いんだもん。


「ファースってば!」


 私が少し大きい声を出すと、ファースの体がびくりっと震えた。


「どうしたんだ、エイリー?」

「手、痛いから離して。それに、はしたないでしょ」

「……ごめん」

「何よ?」


 ファースが半分笑いを堪えるような表情で、謝って、私の腕から手を離してくれた。


「エイリーに“はしたない”って言われるのがおかしくて」

「はあ? 私を何だと思ってるの?」


 ファースは知らないと思うけどね、私は元公爵令嬢なんだよ? はしたないか、はしたなくないかなんて、私だってわかるし。常識の範囲内だし。


「エイリーはエイリーだろ?」

「いい意味に聞こえないんだけど」

「気のせいだよ」


 気のせいじゃない、絶対。でも、こういう会話をファースとすると、負けるのは目に見えているので、私は諦めて身を引く。


「さ、さっさと挨拶を済ませちゃお」

「早く料理を食べて、帰りたいだけだろ。だけど、残念ながらエイリーは主役なので、最後まで帰れないよ」

「は?」

「あれ、聞いてなかった?」


 聞いてないっ! くそ、ロワイエさんも、王妃様も、ファースも確信犯だな。まんまと策略にはまりまくってるんだけど!

 あのふたりの連係プレーなんて、回避するの無理ゲーなんですけど!


「……ダンスを踊れってこと?」

「できれば」


 にこり、とファースは微笑むがうん、これは踊れってことだな。


「踊りたくないんだけど」

「へぇ、踊れるんだ?」

「……一応は。でも絶対やりたくない。知らない人となんて踊りたくない」


 元公爵令嬢だったので、ダンスはできる。幼少期からビシバシ鍛えられた。ルシールには、公爵令嬢という意地とプライドがあったので、かなり頑張っていた。だからきっと、ダンスは人並み以上にできるだろう。

 そういうところは、けなげだなぁって思うよ、本当。

 できるできないは問題じゃない。やりたいかやりたくないかの問題だ。


「分かった。なら、俺と兄上たちと踊ればいいんじゃないか? それで回数的には十分だろ」

「え、それでいいの?!」


 それなら、まあやってもいいかなという気になってくる。踊らないで、美味しいものだけ食べて、帰ることが最善だけどね!


「許容範囲だろ」

「ありがと、ファースっ!」


 私は笑顔でお礼を言い、ファースの腕を取る。カップルがやるやつだ。

 こういうパーティみたいなのは、男性なら腕を女性がとるのが、一般的である。私はそれをしただけだ。念のため。下心なんてないよ?


「さ、堅苦しい挨拶を早く終わらせよ。美味しい物が早く食べたいから!」

「……わかったよ」


 ファースは何故だか分からないが、顔を赤く染める。暑いのか?


「どうしたの、ファース。顔赤いけど」

「え、そうなのか?」


 自覚なし? まあ、自分の顔が赤くなってるのなんて、分からないか。


「大丈夫?」

「ああ、問題ない」

「ならいいけど。さ、早く行って、さっさと終わらしちゃおう!」


 そうして、私たちは地獄の挨拶周りを開始したのだ。



 * * *



 やっと、パーティーが終わり、私は解放された。


 どうしてこう、偉い人というのはうさんくさいんだろうか。私のことを品定めするような目で見てきたり、どう利用しようかと考えていたり。そういうの、私嫌い。


 ファースたち、マスグレイブ兄弟が異常なんだろうなぁ……。あんな風に、率直に要望を言ってきたり、策略的に利用することを全く考えていなかったり。


 私は、そういう方が好きだ。言いたいことがあるなら、はっきり言え。


 エイリー(わたし)が今まで関わってきた偉い人は、はっきり自分の要望を言ってきたから、私はいつの間にかそれが当たり前だと思っていたんだ。


 だが、違うということが今日改めて自覚できたので良かった。ルシール時代に、そういう輩といっぱい出会ったじゃないか。というか、ルシール自身、そういうタイプだった。

 そういう人とはなるべく関わらないで生きていこう、そう決心したパーティーだった。



 今日は、色々あったな。

 クレトに会って、王様と謁見して、王妃様とシェミーを守るために協力体制を築いて、ファースとタパニとノエルちゃんとかくれんぼして、パーティーに出て。

 本当に、濃い1日だった。

 こうして、非日常な私の1日が終わった。

 さて、明日から平穏な日常に帰りましょ!



 ――――そういかないのが、私であることを私はすっかり忘れていた。



 という、フラグを立てておく!

 何も起らないと思うけどね! 本当に何も起らないでよね!



これで、一章二節終わりです。

シェミーの閑話を挟んで、三節へ入っていきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ