49 悪魔退治と言う名の一方的な暴力
ちょいグロ描写あります(当社比)
グロがかなり苦手な方はお気をつけください。
転移魔法で飛ばされた村は、すでに荒廃していた。滅びたのは何年か前と言っても頷ける、そんな荒れ方だった。
「……生きてる人いるのかな?」
悪魔を甘く見ていたのかもしれない。想像以上に強いのかもしれない。
実際、悪魔にあったことがないから、仕方ないと思うんだけどね。
「さてと。何から始めればいいんだろう?」
詳しい悪魔の討伐の方法を聞く前に、飛ばされてしまったので、何をしていいのか全く分からなかった。
魔物と同じように倒していいのかなぁ?
…………。
静か。恐ろしいくらいに、静か。
人も見えないし、魔物もいない。悪魔なんて、本当にいるのか?
…………。
ああもう! さっさと出てこいよ! 退治できないだろーが!
イライラしてるなぁ、私。
仕方ないんだけどね? 寝起きで、腹も満たされてないし、なんの説明もなく、こんなところに送られてきたんだから。
…………。
静かすぎて、逆に不気味だ。
――――もしかして、この辺に隠れていて、私を襲うタイミングを狙っている……?
そういえば、この世界にはマップという、人や魔物の居場所がわかる素晴らしいアイテムがあるじゃないか! すっかり忘れてたよ。
そんなことを思って、私はマップを開く。
「めっちゃいるじゃん。人も魔物も」
人を示す印も、魔物を印もうじゃうじゃあった。悪魔は見当たらない。
どうやらここに住んでいる村人は、地下にいるようだ。マップの印があるところに人は見当たらないから、きっと地下に潜んでるんだろうっていう簡単な考察。
にしても、地下なんて便利なものあるんだなぁ。でも、この村は魔物の森に近いのであってもおかしくはないのか。
で、魔物は建物の陰に隠れていたり、村を徘徊していたりしている。かなり、数が多い。
「めんどくさいなぁ」
そう呟いて、私はクラウソラスをぬく。
「さてと。雑魚はさっさと消しちゃおー」
そうして、私は呪文を歌い始める。
「聖なる光が煌めいた。全ては等しく浄化され、この他は再び平和を取り戻す。穢れたものは灰になり、聖なるものは輝きを増す!」
広範囲に及ぶ、聖魔法。
うたって、踊ると魔法のコントロールが格段にやりやすくなった。色々試してみるもんだね。
でもなんでそんなことしようと思ったんだろうね? 思いついたときの私の思考、謎だわ。
そして、再びマップを見る。
「お、消えた消えた」
近くに魔物を示す印は見当たらない。
呆気ないなぁ。まあ、これで終わりなんてことはないんだろうけど。
「さて、悪魔さまさまを探しますかぁ」
そうして、私は歩きだそうとした時だ。
「オ前ガ、全テヤッタノカ?」
と、ザ・悪魔という悪魔が出てきた。割と小柄で、緑の体に仰々しいツノが頭に、禍々しい羽が背中に、生えている。手の爪と足の爪は完全に伸び切っている。……危ないなぁ。爪切れよ、先生に怒られるぞ。
だが、ナイスタイミングだ。こっちから探す手間が省けた。ラッキー。
「そうだけど?」
「ナント言ウ魔力ダ! コレサエ捧ゲレバ、魔王様ハ復活スル!」
成る程。魔王を復活させるために、生贄を集めていたのか。理解理解。
「てい」
取らぬ狸の皮算用をしている悪魔を、私はクラウソラスで斬りつける。
「あれれ、外しちゃった」
首をスパーといったつもりだったのだが、間一髪で避けられてしまい、腹あたりに傷ができただけだ。空を飛ぶとかずるいぞ!
「オ前、人ノ話ヲ聞ケ!」
「いや、あんた悪魔だし」
そう言って、私は呪文を唄い始める。
「ささやかな焚き火よ、深淵の篝火よ、地獄の業火よ、焼き尽くせ! 命を燃やせ!」
その瞬間、ぼぉっと悪魔の体から直接火が出る。
「ギャアアアア! 熱イ熱イ熱イ!!」
悪魔が、みっともなくうめく。この調子だと、すぐに燃えて灰になってしまいそうだ。
「なんか、呆気ないなぁ」
もっと手応えあると思ってたのに。
そんなことを思いながら、私は悪魔が燃えているところをただ眺める。
お腹空いたなぁ。
「背中ガお留守ダゾ?」
「あ、バレバレなんで、ご心配なく」
もう一体の悪魔がやっと姿を現した。
背中を襲うなんて、卑怯だと思うが、最早、卑怯のテンプレであるので、何も感じない。それに、殺気が面白いくらいにあふれていたので、斬ってくださいと言っているのと同じじゃないか。
ぐちゃ、と嫌な音をたてて、クラウソラスは悪魔の心臓を刺した。
想像以上にグロいな、これ。悪魔の血も人間と同じで赤いのね。グロの耐性、そこそこついてて良かったよ。
「ナ、ナンダト……」
奇襲をかけたつもりが逆にかけられてしまった悪魔は、驚きで顔を歪めていた。
「そんなに驚かないでよ」
私はクラウソラスを引き抜く。当然ながら、血が溢れ出してきて、私にも血がかかる。
気持ち悪い。正直吐きそうだったが、ろくにものを食べていなかったお陰だろう、戻すことはなかった。そのかわり、口の中に胃液が充満したが。
……今後、よっぽどのことがない限り、クラウソラスで戦うのはやめよう。気分が悪いだけだ。
改めて、魔法のありがたさを実感するのだった。
「さてと、これで終わりかな」
流石に3体目の悪魔は出てこないだろう。なんせ、悪魔も少数派なのだ。
「ほう? 全てひとりでやってしまうとは」
……どうしてこう、次が出てくるんだろう。
まさかの次回に続く!




