表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
逃亡した悪役令嬢は隣国で踊る戦乙女と呼ばれています。  作者: 聖願心理
第1章 アイオーンの跡継ぎ問題とその他諸々/第2節 マスグレイブ家族大集合!
43/232

41 お呼びですよ、英雄さん

 ファースたちと出会って数日後。


 朝起きると、私のところに、2人の人物からの呼び出しが来ていた。


 セキュリティの甘く、科学技術が発展してないこの世界に、携帯や電話みたいな便利な機械や、郵便なんて便利なシステムがあるはずもない。

 だったらどうやって、連絡を取っているのか、というとずばり魔法である。生活魔法は万能と言っても過言じゃないのだ! 生活魔法、万歳!


 だから、私も含め、この世界の人たちめはかなり生活魔法に頼っている。依存しているといってもいい。まあ、前世、科学の力に頼っていた私が言えたことではないんだけど。

 連絡するには、連絡精霊(アンゲロス)という簡易精霊を呼び出す、精霊召喚魔法を使う。


 伝えたいことを連絡精霊(アンゲロス)に伝言し、それが伝えたい相手に届き、伝言を聞いたら勝手に消滅する仕組みだ。

 だがやはり、安全性にはかけており、自分よりレベルの低い者が召喚した連絡精霊(アンゲロス)は意図的に消滅させることができる。つまり、私はどんな人の連絡精霊(アンゲロス)も消滅させることができるのだ。


 この世界の変なところでの実力主義。

 弱いのが悪いと言わんばかりの実力主義。

 私としてはありがたいけど、ちょっと可哀想になってくるよねぇ……。


 まあ、私に連絡精霊(アンゲロス)を送ってくる人たちはそんなにレベルが低くないので、なんの心配もないけど。


 今回、私に用があるのは、ロワイエさんとデジレである。

 簡単に言うと、どっちも本日中に顔を出せ、ということであった。

 ロワイエさんの方は心当たりがあるが、デジレに呼び出されるなんて、想像もしてなかった。なんのようなんだろう。


 あいつ、あんなことがあったのに私を呼び出すなんて、ほんと図太いよなぁ。なんとも可愛げがない。もっと可愛げがあればなぁ。

 さっさと私専門の情報屋作ろ、と、決意する私であった。


 はあ、今日はそこそこ忙しくなるなぁ。

 まず、デジレのところに行ってから、ロワイエさんのところに行こう。

 そう決めた私は、家を出る準備をさっさとする。


 まず、クローゼットからそこそこまともな服を選び、パジャマを脱ぎ捨て、その服を着る。次に、生活魔法で、寝癖を直したり、顔を洗ったりする。

 これで身支度は完成! 3分もかかりません。


 台所に行き、パンを魔法で焼き、その辺にあるジャムを塗って口に放り込む。

 これ、賞味期限とか大丈夫かなぁ? 切れてても気にしないけど。腹を壊さなければいいのだ。


 足の踏み場もないのに、まともに座れる場所などあるはずもなく、台所で立ち食いをする。

 パンを焼くことに関しては、もう私はプロである。それしかできないので、朝ご飯はパンもしくは、買い置きの何か。料理と言われるものは一切しない。


 ……残念な女子だ。自分でも分かっているので、大丈夫!(何が?)

 そもそも、女子だからと言って、料理やら、掃除やらができるものではないし、それをやらなくても生きていけるので、なんの問題もない。ないと、私は信じたい。信じている。


『そもそも女子以前の前に、人として終わってる気がするんだけど』と、ゼノビィアの声が聞こえてきそうだが、それはゼノビィアの意見である。私は気にしない!


 ちなみに昼食は、外食か買ったお弁当で、夕飯は決まってアデルフェーだ。一応、説明しておく。

 お金なら、かなり稼いでるので心配はいらない。むしろ、何に使えばいいのか悩み中。前世の私では考えられない、この悩み。


 でかい家は、私には広すぎるし、掃除とかするために人を雇うのはなんか、嫌だ。自分の家に知らない誰かを入れたくないし。

 武器はクラウソラスがあれば十分だし、それにアイテムボックスにもいくつか入っている。服とかアクセサリーとか、雑貨とから微塵も興味がない。



 ……やばい、女子として終わってる気がする。



 そもそもだ。この世界は娯楽が少なすぎるのだ。漫画もゲームもアニメもないなんて、終わってる! 小説はあるけど、挿絵ついてないし。


 だからと言って、お金を稼ぐことはやめられない。これは、この世界での数少ない私の趣味と言えるのだから。

 焼いた分のパンを食べ終えたので、私は家を出た。


 そういえば、ファースたちとは、会ってないなぁ。まあ、王族と騎士団長だし、忙しいよね。ファースとグリーは学園に通っている筈だ。

 学園、か。私も本当なら通ってる年だよな。まあ、もう通うことはないだろう。自由な時間が増えて、嬉しいが、やっぱり行きたい、という気持ちがあるのは事実だ。学園もそれなりに楽しい。


 昔のことを振り返っても仕方がない。

 さっさと用事を済ませちゃおう。

 デジレはどうせ、いつものところにいるよね。


 そうして私は、踊る戦乙女(ヴァルキリー)として、今日も街に出かけた。



1章2節スタートです。

王族がいっぱい出てきます。

あとちょいと伏線的な何かも。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ