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逃亡した悪役令嬢は隣国で踊る戦乙女と呼ばれています。  作者: 聖願心理
第1章 アイオーンの跡継ぎ問題/第1節 出会っちゃったよ!
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36 お食事会inアデルフェー

連続投稿。


「なあ、エイリー」

「何?」

「かれえってなんだ?」

「何って言われると難しいなぁ。あとで分けてあげるよ」


 ああ、でも特段に辛いカレーを食べさせたら、カレーがトラウマになるかな?

 ……まあいっか! こういうも経験だよねっ! うひひ。


 そのあとも、適当な雑談をしていると、料理が運ばれてきた。


「お待たせしました。焼肉定食とマルゲリータと青椒肉絲とシェミーの気まぐれ激辛カレーです。デザートは食後にお持ちしますね」


 シェミーは、慣れた手つきで、私たちの目の前に料理を並べていく。並べ終えるとシェミーは、


「ごゆっくりどうぞ」


 とにこりと笑って、厨房に戻っていった。


 なんか、シェミーの仕草だけ見てると、ここ食堂っぽくないんだよね。どちらかというと、ファミレスに近い。

 シェミー、上品すぎるんだよなぁ……。アデルフェーにシェミーは勿体ない気がする。


「早かったな」

「そりゃ、ここは早い、安い、美味い!の庶民の味方だし」


 ファースの驚きに、私はえへんっと胸を張る。


「そんなことより、早く食べようぜ」


 油ののった柔らかそうなお肉と、ほかほかしている白米の前に、レノは待ちきれないようである。


「そうね。いただきましょう」


 グリーがそう言って、両手を握り合わせて食事前のお祈りをする。


 この世界では、食事前に手を合わせて、『いただきます』とは言わない。両手を握り合わせて、目を瞑り心の中で神様に感謝をするのだ。『主よ、生かしてくれてありがとうございます』的な。めんどくさいね。


 グリーに続いて、レノやファースもお祈りを始める。


 そんな中、私は異様な臭いを放つ、禍々しいそうなカレーとにらめっこする。


 ……これ、前回より酷くないか? カレーの味、しなそう。


 唯一の救いなのは、美味しそうな白米が見えているところである。

 シェミーは限度というものを知らないのだろうか……? いや、知ってるんだろうけど、気まぐれだから、『あ、かけ過ぎちゃった。てへぺろ☆』という感じなのだろう。猛烈な悪意を感じる。悪意しか感じない。


 私がカレーとにらめっこしているうちに、グリーたちはお祈りを終わらせており、


「エイリーはお祈りしたのかしら?」

「まだ」

「早くして頂戴」

「……はぁい」


 私はおとなしくお祈りをし始めた。

 お願いです神様どうか死にませんように美味しさを求めるつもりはありません生きて帰れればいいのです完食できればいいのです。


 よし。これで大丈夫だろう!

 私がお祈りが終わるのを見届けると、皆が一切に料理の食べ方を聞いてきた。


「これはどう使うんだ?」


 レノが箸を持って、尋ねてくる。


「ああ、箸? 初心者には難しいからナイフとファークで食べるといいよ」


 邪道だけどね! 本当に邪道だけどねっ! 個人的に米は箸で食べて欲しい。

 米といったら、箸でしょ!


「マルゲリータはどうやって食べるんだ?」

「ああ、手で食べるんだよ。ちょっと待って今切ってあげるから」


 ピザカッターで、私はファースのピザを適当に切る。

 いい匂いだなぁ。私のカレーらしきものと比べると、悲しくなってくる。


 グリーは私たちの会話の中で、なんとなく食べ方がわかったらしく、美味しそうに食べていた。適応が早い。


「……美味しいわ。うちの食卓にも出ないかしら?」


 どうやらグリーはピーマンは食べられるらしい。意外だ。

 個人的に、ピーマンは苦手であってほしかった。


「王族の食卓に、青椒肉絲? まじで?」


 考えるだけでも笑いがこみ上げてくる。

 いや、待てよ? プロが盛り付けたらそれっぽくなるんじゃない? プロをなめちゃだめだよね?


「ええ。美味しいんだもの」

「でも異国の料理だよ、これ」


 アイオーンは西洋に近い世界観を持ってるので、青椒肉絲がアイオーン料理のわけがないはずだ。

 料理というか、他の国がどんな文化を持っているのかよくわからないので、なんとも言えない。

 だけど、シェミーが異国の料理だと言っていた気がする。……気がする。


「そうなの。今度作り方を教わろうかしら?」

「グリーは料理するの?」

「趣味程度なら」


 わお。女子力高い! 私なんかとは大違い!

 というか、王族様も料理するんだね。


「エイリーは食べないのか?」


 私とグリーが会話している間に、ファースもレノも満足そうに料理を食べていたので、私がカレーを食べないのが不思議なのだろう。


「あ、そうだね」


 私は恐る恐るスプーンを握り、カレーと呼んでいいのかどうか怪しい物をすくう。

 ごくり、唾を飲む。


 大丈夫、不味かったら幻想魔法でなんとかすればいいんだ。

 シェミーには悪いけど、仕方ないよね。いや、これっぽっちも悪いなんては思っていない。悪いのは、カレーをこんな風にしたシェミーだ。


 ぱく。私はカレーを口に含み、ゴクリと飲み込む。


「〜〜〜っ!」


 なんだこの物体は! 辛い辛い辛い辛い。人の食べていい辛さを超えている!

 私は慌ててコップの水を飲み干す。はぁ、助かった……。


 シェミー、どんだけスパイスをふりかけたんだよ。信じられない。ただのスパイスの無駄遣いだよ。


「エイリー…?」


 皆が心配そうにこちらを見てくる。


「なんとか、大丈夫……。ファースも食べる?」


 私はスプーンでカレーすくい(ルー多め)、目の前のファースに向ける。


「エ、エイリー?」

「いらないの?」


 何故か顔を赤く染める、ファース。

 心なしか、たじたじしているファースにイライラしてきて、私はファースの口にスプーンを突っ込んだ。


 ファースは顔を頰を赤く染めて照れているみたいだっだが、だんだんと表情をしかめた。

 辛いんだろう。とてつもなく辛いんだろう。


 にたにたして、その様子をみる私。性格悪いなぁ。

 ファースも無言でコップの水を飲み干すと、


「なんだこれ」

「シェミーの気まぐれ激辛カレー」

「それはわかってる! ……限度を超えているだろう」

「シェミーの気まぐれは、どれも限度を超えてるの。一部の人たちは懲りずに頼んでるから、メニューから消えないんだよ」


 チャレンジャーとか、ドMとかね!


「なんでこれ頼んだんだ?」

「ファースのその顔が見たかったから」

「おい」

「ごめんね?」

「とにかく、もう俺は食べないからな! 完食頑張れよ」


 そう言いすてると、ファースはお口直しに美味しいマルゲリータを食べるのであった。

 お口直しがあって、羨ましいぜ。

アデルフェー編?は、ここで終わりです。

次は、ゼノビィアの所に行きます。

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