31 最終仕上げは退屈
更新さぼってすみません……。
私の魔力に惹かれてやってくる魔物たちを魔法で倒しながら、私はマップを見る。
よし、ファースたちは無事に森を出たようだ。これで、いつもの方法が使えるね。
えい、とクラウソラスを一振りして、私の周りにいた魔物を取り敢えず片付ける。
「……くそぉ、やけに多いなぁ」
ファースたちといるときもそこそこ倒して、別れた後も結構倒したのに、マップの魔物表示は消えない。倒しても倒しても湧いてくる。
こんな数の魔物、本当どこに隠れていたのさ。
疲労感、というより同じ作業ばかりを繰り返す退屈感が、私を襲っている。
飽きた。魔物をぶっ倒すのが好きな私でも、流石にこれだけ倒してたら、飽きてくる。
元々飽きっぽいのもあるんだけど、それにしたって魔物は多すぎる。
王家の宝があったからって、今まで魔物がいなかった場所に、こんなに魔物が湧くもんなの? それもいきなり? 上級種もかなりいるぞ?
「まさか、ね。ほんと、まさかね!!」
この異様な現象を引き起こす手段を知らないわけではない。しかし、そんなことは信じたくないっ! 信じられない、わけではないのだ。ありえない話でもないのだ。
ただ、信じたくないのだっ!!
––––––魔王が復活してるかもなんて信じたくないでしょ、誰だって!
大丈夫、フラグはとっくの昔に折れてる。
私がというか、ルシール・ネルソンが悪魔と契約していないので、魔王が復活するはずなんて、ないんだ。
ないんだよ!! 誰かないって言って!!
偶然だ、偶然。そうだよ、偶然だよ。偶然に決まってるじゃん。そんなにいろんなことに関連付けるなって。
よっぽどのことがない限り、魔王が復活するわけない。落ち着け、落ち着け、私。
それより、今はここの魔物を駆除することが優先だ。
飽きてきたし、さっさと終わらせないと。
ぶんぶんと首を振って、邪悪な考えを吹き飛ばす。そして、私はクラウソラスを握り直した。
「よろしく、クラウソラス」
その言葉を呪文として、私はクラウソラスに魔力を流し込む。
そうすることによって、クラウソラスは魔力を光として、外に放出することができるのだ。
「……早いねぇ」
クラウソラスが放つ魔力につられて、魔物たちは次々と姿を現わす。
「さてさて、全部集まったわね」
しばらくすると私の魔力に釣られて、この森の魔物たち全てがここに集まってきた。
マップを確認しながら、にやりと私は笑う。
そう、これが私のいつもの方法なのだ! 『めんどくさいから一気に片付けちゃおうぜ!』と思って、思いついたのがこの方法。
クラウソラスに魔力を流し込み、魔力をわざと垂れ流しにし、魔物たちが集まったところで、めっちゃ威力の強い聖魔法で、魔物をぶっ倒す。
これ、かなり効率いいんだよねぇ。周辺の魔物は一気に片付けることができる。歩きながら、魔物を駆除するなんてことはほとんどなくなるわけだ。
大量な魔力を使って疲れるのが難点だけど、私の魔力は底なしだし。周りを巻き込む可能性がある威力の強い魔法を使うけど、基本的にぼっちだし。
時間がかからないのが、嬉しいよねぇ。
流石に、ファースたちと一緒の時にやると、邪魔だし、寄ってくる魔物から彼らを守りきれるかどうかもわからない。
不安定要素が沢山あったので、さっきはあれでも地道な方法をとったのだ。優しいなぁ、私。
さてさて。魔物も結構集まったので、最後の仕上げと行こう! これで全部終わるはず!
私は、クラウソラスに魔力を流し込むことをやめ、呪文を歌う。
「聖なる光が煌めいた。全ては等しく浄化され、この他は再び平和を取り戻す。穢れたものは灰になり、聖なるものは輝きを増す!」
さっきとは比較にならないくらい、魔力を吹き込んで、魔法を発動させた。
一瞬にして、全ての魔物たちが消えてゆく。マップにも、一匹の反応もなくなった。
いつも思うけど、呆気ないなぁ……。
最近、魔物を倒すこともすっかり作業化してしまって、つまらないんだよなぁ。スリルがないっていうか、なんというか。
だからと言って、わざと手を抜くなんてこともしたくはない。時間の無駄だ。
時間を浪費すると、私のだらだらする時間がなくなってしまう。
……まあ、でも今日はちょっと楽しかったかな。ファースとグリーとレノと冒険したのは。
いつもは感じられないスリルを感じたり、連携プレーを見たり。
たまにはこういうのも良いのかもしれない。
「さてと。あいつら、もう来てるのかなぁ。いや、来てないよね。そんな時間経ってないし。報告とか着替えとかもあるだろうし」
私は、これからのことを考えながら、街に向かう。
「ファースたちは、本当に来るのかなぁ。あの様子だったら、何がなんでも、来そうだよなぁ」
……独り言が多いのは毎度のことである。
ぼっちが長いと、独り言が多くなるんだよ!




