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逃亡した悪役令嬢は隣国で踊る戦乙女と呼ばれています。  作者: 聖願心理
第1章 アイオーンの跡継ぎ問題/第1節 出会っちゃったよ!
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24 迷子のグリーさん

一回改稿したデータが飛んだので、死ぬかと思いました……。

なんとか更新しました。

 遺跡に着くまで、私たちは一度も魔物と遭遇することはなかった。どうやら近くにいた魔物は大方狩り尽くしたらしい。


 ここまで来るのに私は何もしてないけどね! ほとんどの魔物を、レノと豹変したグリーが倒してしまった。こいつら本当に強い。


 何もしなさすぎて、経験値奪っているのは、むしろ私の方だ。

 少し罪悪感を抱くものの、やっぱり楽な方がいい。戦わないって素晴らしい!

 私から、経験値をぶんどっていった奴らの気持ちがわかる気がする。他人の金で食べる飯は、美味しいもんね……。

 気持ちはわかったけど、許す気にはなれない。これとそれとじゃ話は別だ。今までと変わらずに、一生根に持ってやる。


 そういうわけだから、この調子でいくとと、今日は私の出番はなさそう。うんうん、いいことだ。私にもっと楽をさせてくれ。


「ここだよな? 秘宝があるのは」

「マップを信じるなら多分そう」


 最終確認をしてくるファースに私は飄々と答えた。


 飄々としているのは私だけで、ファースは今にも心臓の音が聞こえてきそうな顔をしている。そんなに緊張しなくても大丈夫だって。

 ファースだって、そこらの冒険者より強いし、何より私がついてるじゃないか!


 ちなみに、グリーはなんかとても楽しそうにしていて、レノは真剣な、いかにも『騎士団長様』って顔をしている。


 ……なんだかなぁ。まとまりがないぞ、このパーティ。

 私が言えたことじゃないけど。


「早く中に入ろう! お宝お宝♪」


 本当に楽しそうで、鼻歌まで歌い始めてしまったグリー。

 ……本当に剣を離したら人格は元に戻るのか? 上品な感じのグリーに?

 この乱雑な感じのグリーに見慣れすぎてしまって、さっきまでの上品なグリーが偽物の気がしてきた。


 いかんいかん。

 これでは上品な方のグリーが可哀想だ。


「1人で先行かないでっ。危ないから!」

「お宝お宝♪」


 グリーは私の注意を聞かないで、どんどん先に行ってしまう。

 というか、あれは絶対聞こえてない。


「待てってば!」


 私の制止も聞かず、グリーは走り出す。元々、身体能力が高いので、かなりスピードが出ている。しかも、彼女は楽々と走っているあたり、まだ本気じゃないんだろう。

 私もなかなか追いつけない。


 ハイテンションすぎて、周りが目に入っていないグリー。

 それを私は追いかける。その後を、ファースとレノも慌ててついてきた。


 * * *


 行動が、というか動きが速い。

 グリーはあっという間に視界から消えてしまった。


 マップでグリーの居場所を確認しながら、進んで行くが、なんせ遺跡である。道がややこしいったらありゃしない。

 どうしてこんなに複雑につくってるんだよ?! もっと簡単でいいじゃん! 今の私の身にもなってよ?!

 いや、理屈はわかるんだけどさ?! ああもう!


「グリー?!  ああもう、どこにいるのさ?!」


 私はやけになりながら、叫ぶ。


「こっちの人格のグリーは、楽しくなると周りが見えなくなるんだよ」


 ファースも呆れ半分で言ってくる。


「それ、命取りなんだけど」


 はあああと深いため息をつく私を見て、ファースもレノも苦笑いをする。


「お、そろそろグリーに近づいて来たんじゃないか?」


 レノがきょろきょろと辺りを見回す。確かにマップでは、グリーはこの辺りにいることになっている。

 本当にどこにいるのさ?!

 イライラしてきて、私は落ちている小石を蹴る。かん、という音がただ響くだけ。虚しい。


 はあ、と本日何度目か分からないため息を吐いてマップを見直す。今日だけで、どれだけ幸せが逃げてるんだって感じだ。

 そしてまた、はあああとため息を吐く。ため息吐かないと、やってけない。


「あー、また進んでる」


 進むスピードが異様に早い。


「どれだけのスピードで走ってるんだ?」

「結構なスピードなんじゃ……あ」

「どうした?」


 私が急に驚いたので、ファースが不思議そうな顔をする。


「魔物に追いかけられてる……」


 さっき見たときは魔物が近くにいなかったので、ついさっきから、追いかけられているのだろう。

 何かの罠にでもかかったのだろうか? だから気をつけろって言ったんだ。


「どうする? 今からでも追いつけるか?」


 レノが少し冷静さを欠いた声で尋ねてくる。婚約者がピンチなんだから当たり前だろう。

 相当な数の魔物がグリーの近くにいるので、今から行って間に合うかどうかはわからない。

 私たちが追いつく前に、やられてしまうかもしれない。


 ……ああ、もう! 本当に、手がかかるんだから!


「私が先に行くから。あんた達はゆっくり来て! ゆっくりでいいから! そのかわり、絶対に危険な目に遭わないでよね!」


 ファース達に反論の余地を与えずに、私は踊りながら呪文を詠う。


「飛べ飛べ、鳥のごとく。舞え舞え、風のごとく。美しく、可憐に、羽ばたけ!」


 ぶわっと、私の体が宙に浮く。


「じゃあ!」


 手短に別れの挨拶を済ませて、私は空中を猛スピードで飛び、グリーのところへ向かった。

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