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逃亡した悪役令嬢は隣国で踊る戦乙女と呼ばれています。  作者: 聖願心理
第1章 アイオーンの跡継ぎ問題/第1節 出会っちゃったよ!
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21 簡単な考察

「そもそも、なんでファースもグリーも必死になって、秘宝を探してるわけ?」


 巻き込まれたとはいえ、そんな宝探しにまで付き合う必要なんて、ないはずだ。……物好きではない限り。

私なら、サボっちゃうけどなぁ。だって、めんどくさいじゃん。


「父上に言われたんだ。お前らが見つけろって」


 ……………おい?

 おい? 国王様? お前は一体、何がしたいんだ?


 つまりは、宝探しは王権を巡る争いを、抑えるために行われるってことなの? 折角だから、なくなっている秘宝をついでに探しちゃおう、ってことなの?

つまりこの宝探しで、後継ぎを決める気はさらさらないの?


 ……とにかく、何が何でも国王様は、跡継ぎ争いをしている3人には宝を見つけさせないつもりのようだ。

 なんか凄いな。うん。それしか言葉が出ない。うん。流石国王様だ。


「それでわたくしたちは、ここに宝があるという情報を得て、ここに来たの」

「ねえ、どうでもいいこと聞くけどさ」


いや、割と大事なことかもしれない。


「なんだ?」

「その宝って魔力持ってる? ……持ってるよね?」

「そうだが……あ」


 しっかりとお勉強をしている彼らは、私の言いたいことに気がついたようだ。


「そういうこと。ここ最近の魔物の活発化は、十中八九()()が原因ね」


 魔物は、知能が低く、本能のままに行動する。魔物の本能は主に二つ。


 1つ目は、自分より上級種に従うこと。よって、魔物は魔物よりも悪魔の命令を優先し、悪魔よりも魔王の命令を優先する。

 2つ目は、強い魔力に群がること。だから、冒険者と魔物はよく遭遇するのである。


 この場合は、2つ目が当てはまるだろう。

 強い魔力を感じ、この森に魔物は集まってきたのだ。


「これで納得がいった。さっさと回収しちゃおう、お宝」


 今の状況から、ここに秘宝があることは間違いないはず。

 さっさと終わらせて、早く家に帰るぞー! おー!


「でも、この森を探し回るのは大変じゃないか?」


 レノがどうすんだよ、と言いたげな顔をする。


「もっと頭を使おうよ、レノ」

「生憎、俺は頭がよろしくはないんでね」


 私の皮肉に、彼も皮肉で返す。

 騎士団長さまさまが、頭が悪いはずないじゃん。彼の実家だって、名家だし。


 アイオーンには、マカリオスみたいな貴族制度は存在しない。しかし、名家と言いう優秀な、ファミリーネーム持ちの国民が存在する。まあ、実質貴族みたいなもんだ。金持ちだし、国の重要な役職についてるし。

 でも、名家出ではなくても、功績をあげると国王様からファミリーネームが貰えるので、貴族制度なんかよりもずっと平等だ。


 私にも声がかかったことがあるが、断っている。

だって、名乗るものが増えても嬉しくない。苦労が増えるだけだ。別にいらない。

それ以上に、ファミリーネームがつくと、色々と厄介なことやしがらみが増えるので、そんなの絶対に嫌だ。


 兎にも角にも、こういう皮肉のやり取りは嫌いではない。


「マップを使えばいい話でしょ。魔物の習性からして、沢山いるところに、秘宝がある可能性が高いはず。だからマップを使えばちょちょいのちょいなの」


 冒険者を3ヶ月続けてきた成果だ。王宮に閉じこもり生活をしているおぼっちゃまたちとはわけが違うのさ。

 てか、騎士団長のレノは、知っててもいいと知識だと思うんだけど。


「ああ、成る程」

「流石ね、エイリー」

「踊る戦乙女(ヴァルキリー)と呼ばれるだけあるな」


 と、3人は面白がって私を褒め称える。

 嬉しいんだけど、なんかうざいな。


「何を企んでるわけ? 遠回しに言われるとなんかうざい」


 今度は本当に、何かを企んでいるようだった。まあ、なんとなく察しはつくけども。


「あはは、やっぱり面白いな、エイリーは」


 笑いながら、ファースは言ってくる。何が面白いのかは、私にはさっぱりわからないので、気にしないことにした。


「で? 何? パーティ申請?」

「流石エイリー。話が早いわ!」


 嬉しそうにいう、グリー。


 パーティは、いつどこでも組むことができる。まあ、殆どは依頼を受ける前に組むが、出先でなんやかんやあって、組むことも少なくない。残念ながら(?)、ギルドはそうはいかないが。


「お願いできるか? エイリー」


 話をまとめて頼んでくるファース。


「別に良いよ。これは私に関係することでもあるしね。ただ、私の遂行中の依頼が終わったら、パーティが解散されるけど」

「エイリーの依頼ってなんだ?」


 気になったのか、レノが聞いてきた。


「この森の魔物を鎮圧させること。うまくいけば、パーティが解散される前に秘宝を回収できるよ」

「それって、かなりの経験値が俺たちに分けられるってことだよな」


 ファースが困ったように言う。


「まあ、そういうことになるね。私1人で経験値独占するわけにはいかないし。まあ、気にしないで、慣れてるから」


 経験値をぼったくられるなんて、パーティを組んだ時にはいつも起こりうることである。

 私だって、もっとレベルを上げたいのになぁ。贅沢な悩みなんだろうけど。


「さ、さっさと組んで、さっさと終わらせよ」


 彼らに反論の余地を与えずに、私はパーティの申請を彼らに送りつけた。


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