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逃亡した悪役令嬢は隣国で踊る戦乙女と呼ばれています。  作者: 聖願心理
第1章 アイオーンの跡継ぎ問題/第1節 出会っちゃったよ!
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18 自己紹介?

エイリーの本領発揮です。

 変なことを考える私。途惑う彼ら。

 その後、空気を探るように、一言二言交わすと、グリゼルが、自己紹介を始めた。


「わたくし、()()()と申します。駆け出しの冒険者でして、分からないことが多いのです」


 と、そう名乗った。当然のように、偽名だった。ステータスの細工していたときと同じやつだ。


 まあ、普通そうだろう。王族がこんなところにいたとバレたら大問題だし。そうじゃなくても、お忍び感半端ないし。


「グリーの兄の()()()()だ」

「ファース達の友人の()()だ」


 と、グリゼル–––––––––長いからグリーと呼ぶことにしよう、に続いて、彼らも偽名を名乗った。

 しれっと嘘をつけちゃうあたり、恐ろしい……!


 私も一瞬偽名を名乗るかなぁ。偽名合戦、面白そうじゃん?

 なんて考えたが、すぐにバレるだろうから、やめることにした。今、色々と派手にやっちゃったし。


 そもそも“エイリー”という名前自体が、偽名?ぽい何かなので、偽名に偽名を重ねるなんて、面白くもなんともない。

 ややこしいし、一周回って本名を名乗った方が早いでしょ。


 だから、私は彼らに少し嫌な思いをさせるために、()()()()()()名前を名乗ることにした。

 ちょっとは反省しろ!


「私は、エイリー。踊る戦乙女(ヴァルキリー)って、言った方が分かりやすい?」


 私が名乗った途端、聡明な彼らの目に焦りが見えた。気まずさ、と言い換えてもいいかもしれない。

 ちょっとした嫌がらせは成功したようだ。うひひひ。


『踊る戦乙女(ヴァルキリー)』の噂は、きっと城にまで伝わっているはずだ。レベル300超えた色々やっている英雄として。

 だって、徐々に他国にも広まってるらしいし。国を統べる者たちが知らないわけない。


 そんな私に、細工–––––––偽名なんて、通用しないことは、彼らに分からないはずがない。


 ぎゃふんと言わせられたかな? ふふふ。

 そういう、いたずらが成功した子供のような気持ちで、私は彼らを見ていた。

 ちょっと楽しい。


「本物なの、か?」


 しどろもどろにセーファース王子––––––––ファースは聞いてくる。

 焦ってる、焦ってる。


「当たり前でしょ。誰が好き好んで、踊る戦乙女(ヴァルキリー)の偽物を名乗るわけ? そんな奴がいたら是非とも教えてもらいたいんだけど?」


 私の偽物が存在するなら、ぶっ倒してやろう。偽物をやるなんていい度胸してるじゃないか!

 そんな、ぴりぴりした雰囲気を感じとったのだろう。


「兄が無礼をはたらいてしまい、申し訳ありませんっ!」


 その雰囲気に耐えられなくなったのか、グリーは物凄い勢いで頭を下げた。この子本当に王族か、と私が引くくらいの勢いだった。

 ちょっと面白くなっちゃったのは、きっと私の気のせいだろう。だって、今、シリアスな感じだし。笑って空気ぶち壊したら、変な目で見られちゃうし。

 面白いと感じたのは気のせい、気のせいなんだっ、と自分に言い聞かせる。


「何に対して謝ってるの? 私を疑ったこと? それとも……偽名を名乗ったこと?」


 わぁ、これだけ見てるとなんか私、悪役令嬢みたい。今の格好で、令嬢かどうかは知らないけど! でも本物だし! 正真正銘の悪役令嬢だし!


 明らかに、あちらに非があるのだから、問い詰められても仕方ないよね。まだまだ優しい方でしょ、こんなの。

 私の問いに答えようとしたグリーを、兄のファースが止め、代わりに口を開いた。


「両方だ。すまなかった」


 深々と丁寧に、ファースは頭を下げた。

 おいおいおい、こいつら本当に王族か?! 謝るのうますぎるでしょ! 簡単に頭下げるなよっ! 私の反応の仕方が困るんだけど?!


「別にいいけどね。どっちも、仕方ないのはわかってるし」


 わかってるだけだけどね。納得はしていない。そんなもんだろう。


「ありがとう。

 では改めて。俺の本当の名前は、まあ、知っているかもしれないが、セーファース・マスグレイブと言う」


 と、彼は本当の名前を名乗った。そして続けて、グリーとレノを手でさして、彼らの紹介を始めた。


「こっちが俺の妹のグリゼル・マスグレイブ、こっちが騎士団の団長のレノックス・ボルジャーだ」


 それに伴い、グリゼルとレノックスはよろしくと、今度は軽く頭を下げた。こっちのお辞儀も上手!


「……ああ! マスグレイブってどこかで聞いたことある家名だと思ったら、アイオーンの王族の家名だったのか! そっかぁ、王族なんだ」


 彼らのことをからかい足りなかったので、わざとらしく言ってみる。

 気づいているのにタメ語を直さない、と言う2つの嫌味がセット、完璧だ。

 今日は嫌味に冴えているなぁ。そんな日なくていいだろ!、と言うツッコミは置いておくとしよう。

 王族にこんな態度を取れるなんて、滅多にないんだから。


 …………あれ、でもこれ、不敬罪みたいなのになっちゃうんじゃない?


 あからさまに嫌な顔をされ、「不敬罪だなんだかんだー!」って言われたらおしまいだ。彼らはこんなんでも王族とその護衛(しかも騎士団長という権力者)なのだ。

 やべえとばった私は、すかさず幻想魔法を使えるように心の準備をしていた。

 やっぱり、ほんのちょっとはやりすぎた気はしているのだ。本当にちょっとだけどね!



 だけど、現実はどうだろう。

 彼ら3人は一斉に笑い出した。


 –––––––––––爆笑を始めたのだ。


 流石の私もこれにはぽかんと、呆気にとられるしかなかった。

 最後に一本取られてしまうのであった。

 これが、エイリーの特徴だ。解せぬ。

エイリーはこういう間抜けな奴です。

今後加速していきます。

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