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逃亡した悪役令嬢は隣国で踊る戦乙女と呼ばれています。  作者: 聖願心理
第1章 アイオーンの跡継ぎ問題/第1節 出会っちゃったよ!
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17 お助けに参りました〜

今のところ、毎日更新していますが、平日は更新ペースが落ちるかもです。

「吹け吹け、風よ。舞え舞え、木の葉よ。存在を証明するために吹き荒れろ!」


 走りながら、私は呪文を唄う。風で魔物を吹き飛ばす力技だ。致命傷にはならないが、時間稼ぎにはなる系のやつ。

 魔物は四方八方に飛んでいき、身動きがとれる状態ではなくなる。

 今の衝撃で倒れた魔物も数匹いるが、そんなのは雑魚中の雑魚で、そんなに意味はない。


 だが、全ての魔物が動けるようになるまで時間がかかるダメージを負ったので、私はその隙に、彼らのところに走る。


「ちょっとさぁ?!」


 彼らの元に行くと、私はとりあえず怒鳴りつける。

 こいつらのことは助けるが、その前にちょっとくらい文句を言っておきたかったのだ。

 面倒ごと増やしやがて! こっちはいい迷惑なんだよ!!


 彼らは、何が起こっているのかわからない、と言わんばかりにぽかんとしていた。

 まあ、急に魔物が風によって飛んでいき、かと思うと知らない少女が駆け寄ってきて、怒鳴りつけたのだ。状況が飲み込めるはずがない。


 そんなのはわかっているけど、私には関係ない。

 とりあえず、文句くらい言わせろ。じゃないと、割りに合わない。


 ぽかんとしている彼らをほっといて、私はお説教を開始する。というか、八つ当たりだ。


「あんたたち、何やってんのさ?! こんな魔物にあんたち3人だけで勝てるわけないでしょ。なんでさっさと逃げないのよ?! 死にたいわけ?!」

「……それはっ!」


 金髪のセーファース王子が、何か言い訳しようとしているが、そんなことは聞きたくない。この状況で聞いても、余計にイライラするだけだ。

 それに徐々に魔物が立ち上がろうとしてるし。聞いてる暇なんてない。


「命より大切なことなのっ?! ああもう、理由は後から聞くから! こいつら先に、殺っちゃうから!」


 私の言葉を聞くと、彼らは口を閉じて、下を向いた。何も言い返せないようだ。


 もう、本当になんなの。平和ボケも大概にしてください! ここは安全な王城じゃなくて、魔物が出る森なんです!

 ああもうムカつくなぁ!


 っていかんいかん。こんなんじゃ、魔法のコントロールなんて上手くいかない。

 深呼吸して、荒立っている心を落ち着かせる。


 深呼吸を終えた私は、ふうっと息を思いっきり吐き出す。

 よし、一撃で終わらせる。

 クラウソラスを抜いて、構える。


 ()()クラウソラスは、名前の通り、それを媒体にして、魔法を使うことが可能なのだ。媒体を使うことによって、高度な魔法が使えたり、魔法を使う上での負担が軽くなる。魔法の杖なんかと同じだ。

 本来の剣の使い方とは、だいぶ違うけど、まあいいだろう。どう使おうが、所有者である私の勝手だ。


 私は、ステップを踏みながら、呪文を()()始める。


「どんなところにも光はさすはず、何もないなんてありえないのだから。雲間から光がさせば、私たちの未来はきっと明るいわ。

 光りの中のあなた達は塵となり消える!」


 私が呪文を歌い終えると、ぱあっと光が辺りを包む。魔物は光に弱いので、この魔法はとても、いや、かなり有効なのだ。

 私は、もうこの魔法を何度も何度も使いすぎて、光には慣れ、目を開けていることが可能になった。


 よしよし、上手く魔物が消えているな。これで一安心だ。

 間違っても王族を助けられなかった、ということにはならないだろう。

 よかったよかった。本当によかった。


 ––––––––それにしても、どうしてこんなところに、護衛も付けず、お偉いさんである彼らがいるのだ?


 護衛は騎士団長であるレノックスだけで充分なのか? いやいや、それは危険すぎる考えだよね。不用心にもほどがある。


 ステータスは細工してあったし、お忍びであることはなんとなく理解できる。それに、あの雰囲気は遊びで来ているようではないし、何やら本気の雰囲気だった。


 ますますわけがわからないな?

 彼らの身分なら、大抵のことは部下にやらせるものだ。こんな魔物の森に来るなんてことは、なおさら。

 でも、彼らは超少人数でやってきて、しかもかなり真剣。


 –––––––––何してんの?


 まあ、考えても仕方ない。今までもんもんと考えてきたものを吐き出すように、ふう、と一息吐く。


 するとそこに、銀髪の姫君・グリゼルが近づいてきて、


「あの……、助けていただき、ありがとうございました」


 と、お礼を言ってきた。戸惑いの表情を隠し切れていないようだったが、綺麗な笑顔だった。

 それに続いて、セーファースとレノックスもお礼を言ってくる。


「気にしないでください。これも私の仕事ですし」


 王族に謝られて、何て返すのが正しいのか分からないし、そもそも彼らは王族ということを隠しているので、どう答えていいのか分からなかった。

 だからとりあえず、無難な言葉を言う。プラス笑顔。


 でも、彼らは目をパチパチさせていた。また何かに戸惑っているようだ。

 どうしたんだろ? 何かおかしいところでもあった?


 うーん、私、別に可笑しいことしてないよね……?



 …………あ。

 そういえば、出会いがしらに、怒鳴っちゃったよね? それ? それが原因?!

 まあ、確かに急に態度が変わったら、びっくりするよなぁ……。でもそんなに驚くこと?


 魔物を吹き飛ばしたら、スッキリしちゃった。

 さっきのイライラが嘘みたい。

 なんで私、あんなにイライラしてたんだろう?

 あははははは。


 ……あははは、勢いで怒っちゃったけど、不敬罪とかで私、捕まらないかな?! そしたら、またばっくれるしかないよね!

 逃げるのは得意だから、大丈夫! 問題は、どこの国に逃げるかだ! あてが全くない!



 なんて、彼らが戸惑う中、私は馬鹿なことを考えていた。





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