表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
逃亡した悪役令嬢は隣国で踊る戦乙女と呼ばれています。  作者: 聖願心理
第1章 アイオーンの跡継ぎ問題/第1節 出会っちゃったよ!
17/232

16 なんでこんなところにいるの?!

ここからが本編。

今までのはクソ長いプロローグです。

 王家の宝石の情報が全くないので、冒険者省に来ている依頼をこなさないと、当分お金は稼げなそうだった。そんなにお金には困ってないんだけど、貯蓄は大事だしね。


 ゼノビィアにも探りを入れて貰っているが、決め手となる噂はない。

 デジレの他にも、信頼できる情報屋を見つけておくんだった。デジレがいれば大丈夫だろう、という感想は甘い考えはいけなかった。

 あれでもあいつ、かなり有能だし、安心しきっていたんだよねぇ。


 こりゃもう私専用の情報屋をつくるかなぁ。お金はかかるけど、メリットもあるのでまあ、頑張るかぁ……。


 この世界で、冒険者という職業は、金は稼ぎやすいし。なんせ私、そこそこというか、この世界で一番強いし。


 問題は、人。人材だ。

 優秀な人はきっと色んなところから声をかけられているはずだ。だから、伸び代のある初心者に目をつけた方がいいのかもしれない。



 そんなことを考えながらも、私は冒険者省の受付嬢から押し付けられた、余り物の依頼を受けていた。


 出てくる魔物のレベルが高すぎて、誰も受けようとしなかった依頼。

 そういう依頼がここ三ヶ月、増えたらしい。理由は分かりきっている。


 –––––––私が現れたからだ。


 レベル300を超えた私がいるので、どいつもこいつも(一般人にとっては)無理難題な依頼するようになったのだ。というか、出しにくい依頼だけど、解決してくれないと困るっていう、難易度が高い依頼?

 金払いもいいのだから、余計に腹立たしい。私は文句を言いつつ、依頼を受けてしまう。


 そういうのは基本的にというか、余るのは目に見えていて、結局私に押し付けられるのだ。

 因みに、まだまだそういうのが残っているらしい。うげぇ。


 踊る戦乙女(ヴァルキリー)を便利屋か何かだと思っているじゃないか、彼らは。

 英雄視なんて、嘘だと思えてくる。一応、私、英雄なんですよ〜! 強いんですよ〜!


「はあああ」


 溜息をつきながら、私は森を進んでいく。

 今回の依頼は、この森の魔物を大人しくさせること。つまり、全滅させろってことだ(脳筋思考)

 最近どうにも、色々なところの魔物の動きが活発なんだなぁ……。


 嫌な予感がする。というのも、小説では、この頃には私を乗っ取った悪魔が魔王を復活させている時期だからだ。



 –––––私じゃない誰かが、悪魔に乗っ取られているのかもしれない?



 いやいやいやいやいやいや、まさか! まさかね!!!

 普通に生きていたら、悪魔と出会う機会なんてそうそうないし。

 契約なんて、そんな人生捨てるようなことする馬鹿がいるなんて思えないし。

 大丈夫、大丈夫。大丈夫だよ、きっと! うんうん。



 そんなことを考えながら歩いていたので、周りに注意を払うのを忘れていた。


 かきん、と戦闘の音が聞こえたのは、戦闘が繰り広げられている場所の、近くに来てからだった。

 というか、この森に誰かいるのと思ってなかったので、こんなことが起こっているとは思わなかった。


 だってだって、魔物が強すぎて、ベテラン冒険者でも、最近は迂闊に近づかないようにしているんだよ? 冒険者省でも注意喚起されてるはずなんだけどなぁ。


 慌てて私は、戦闘しているところに向かい、近くの木の陰に身を隠す。


 銀の鎧をつけた、二刀流の剣士。

 星のように綺麗な銀髪の剣士。

 光り輝く美しい金髪を持つ、支援魔法使い。


 この3人が十数匹の魔物と戦っていた。かなりおされていて、今にでもやられてしまいそうだ。


 ぱっと見、どの魔物もかなり強い魔物である。3人で戦うなんて、死にに行っているようなもんだ。

 お前らは死にたいのか?! なんで早い段階で逃げなかったの? あの魔物たちは、逃げたら追ってこないぞ?!


「ステータス」


 私は、慌てて彼らのステータスを確認する。


「……っ!」


 ステータスには、細工がしてあった。こんな一大事の時に、めんどくさいことするなよっ! いや、ステータスの細工を今したわけじゃないんだけど!

 でもさ! ステータスなんて、細工するものじゃないの! 私を見習いなさい! ステータスに細工なんてしてないんだから!


「正しいものっ!」


 一刻を争う状態なので、私はうたうことも、踊ることもなく魔法を発動させる。


 すると、正しいステータスが表示された。

 そこに表示されたものは、予想をしていないもので、私はしばらく目をパチパチさせているしかなかった。



 おい。

 おい、()()

 こんなところで、何してんだ。


 金髪の支援魔法使いは、セーファース・マスグレイブ。この国の第3王子。

 銀髪の女剣士は、グリゼル・マスグレイブ。この国の第2王女。

 銀の鎧をつけた剣士は、レノックス・ボルジャー。この国の騎士団の団長で、グリゼルの婚約者だ。


 何やってんだよ、揃いも揃って!


 ここで怪我でもさせたら、私に責任が押し付けられるかもしれないじゃん! 怪我で済めばいいけど、今にも死にそうじゃん!!

 危なっかしい、見てられない!

 私をそんなに窮地に立たせたいのか?! お前らの恨み買ったことあったっけ?!


 居ても立っても居られず、私は魔物なんか比べ物にならないくらい、勢いよく飛び出した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ