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逃亡した悪役令嬢は隣国で踊る戦乙女と呼ばれています。  作者: 聖願心理
第2章 魔王討伐をするようです。/第1節 踊る戦乙女の里帰り
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18 一応悪役令嬢ものなので、舞踏会編はないとねっ!

「……ところで、パーティーってなんのこと?」


 流れに流されて、不穏なワードを聞き流してた気がする。“パーティー”とかいう、私の天敵とも言えるワードを。


「だから言っただろう? パーティーは明後日開催される、と」

「そういうことが聞きたいんじゃない!」

「じゃあ、何が聞きたいんだ?」


 ブライアンが、眉間にしわをよせて、私を見てくる。その迫力と言ったら。

 私、そんなに睨まれるようなこと、言いましたっけ?

 ことごとく、目の敵にしてくるのやめてほしい。


「なんで私も参加する流れになってるの?!」

「当事者がいなくては、パーティーにならないだろう?」

「……当事者? 私が?」

「今更そこを気にするのか……?」

「……どういうこと?」


 困惑するブライアンと私。ただ、困惑している内容は全く違う。

 私は助けを求めるようにして、ファースを見る。


「このパーティーは、魔王討伐の決起パーティーみたいなものなんだ」

「つまり、『皆で力を合わせて魔王倒すぞー! そのために食って騒いで力をつけるぞー! 頑張るぞー、えいえいおー!』みたいな感じなの?」

「……まあ、間違ってはいないな」

「間違ってはいないけど、貴族の集まるパーティーをそんな風に表現する人、わたくし初めて見たわ」


 私の表現はどうやら少しおかしかったらしい。グリーにズバッと言われてしまった。

 でもさ、こっちの方が断然わかりやすくない?


「だから、私も呼ばれるの?」


 一応、魔王に直接、宣戦布告しちゃったしね。

 いくら、色々やらかした元令嬢(今は隣国の英雄)とはいえ、パーティーに呼ばれるのも仕方がないのか。


「そりゃ、主役だからな」


 レノが当たり前のことを当たり前のように言うように、言った。若干、笑ってた気もするけど。


「……主役?」


 私が?


「おいおい、流石にそれくらいはわかってろよ。あんぽんたん」

「あんぽんたん?!」


 ため息を吐きながら、ブライアンが悪口を言ってきた。


 何、何なの?!

 あんぽんたんって何?! そんなの初めて言われたんだけど?!


「確かに、あんぽんたんだな……」

「そこ納得しないでくれます?!」

「否定できないのが悲しいわ」

「否定してください?!」

「あはははははは」

「笑うのが一番心にくるんですけど?!」


 ファースたちは、どうやらブライアンの味方らしい。

 くそう、いつの間にこんなに仲良くなったんだよ……!


「どう考えたって、お前が主役だろうが」

「ミリッツェアじゃないの?」


 この国で、魔王討伐の主力となるのは、ミリッツェアの他にいないだろう。

 私はあくまで、アイオーン(他国)の戦力だ。


「ミリッツェアもだ。お前とミリッツェアが主役だ」

「……納得がいかないけど、理解はした」


 つまり、アイオーンとマカリオスの共同戦線のお披露目式というか、結成式というか、そんな感じなんだろう。


 いや、そんな旨の話を、少し前(1話前)にしてたような気もするけどね。

 都合の悪いことは忘れる。それが、私なのだ!


「じゃあ、納得もしてくれ」

「それは無理な話だね」

「参考までに聞くが、何故だ?」

「私は、パーティーなんて出たくないから!」

「……それだけ?」

「それだけ。何か悪い?」

「……もうツッコミを入れるのも疲れてきたな」


 頭を押さえて唸るブライアン。

 なんか知らないけど、ブライアンを困らせたぞ?

 お手上げ状態にしたぞ?


 もしかしなくても、私、勝ったんじゃん?


「ブライアンが疲れるなら、私、パーティー出ない方がよくない?」

「それは却下だ」

「どうして? 私はパーティーに出なくてすむ。ブライアンは余計な心配がひとつ減る。win-win(ウィンウィン)じゃん」

「できれば俺も、そうしたいがな。それはできないに決まってるだろう?」

「ええー」


 頭固いな、この人。別に私が出席するメリットなんて、そんなにないじゃん。


「諦めろ、エイリー。恨むなら、魔王に宣戦布告した自分を恨むんだ」

「……そこは後悔してない」

「じゃあ、そんなに強くなってしまった自分を恨むことね」

「……これは不可抗力だもん」

「じゃあ、素直に受け入れるんだな」

「……それができればいいんだけどねっ!」


 ファース、グリー、レノに、いっぺんに攻められて勝てるほど、私は強くない。

 こいつら、私の扱い方がとっても上手い。というか、どんどん私のこと理解しているみたいで、ちょっと、いやかなり怖い。


「それにさ、エイリー。ミリッツェア嬢の抱える問題を解決しないといけないんだろう?」

「そうだけど、なんでファースたちが知ってるわけ?」


 ファースたちが知ってても、何も驚くことはないんだけどさ。

 こいつらならなんでも知ってそうだなぁという印象が、私の中に定着しつつある。


「先日、ミリッツェア嬢に直接聞いたんだよ」

「そっかー」


 国家秘密とも言えるものを、他国の王族たちにべらべら喋っちゃうとは。

 まあ、協力していかないといけないから、包み隠さず話しておいた方が良かったのかもしれない。


 よくわからん。


「だから、ミリッツェア嬢に会うためにも、パーティーには参加した方がいいんじゃないか?」

「うむむむむ」

「ここ一週間、何もしてないんだろう?」

「どうしてバレてる?!」


 一週間、何もしないでごろごろしてたことが、どうしてファースにまでバレてるんだ……。


「ネルソン公爵が嬉しそうに言い回ってるんだよ」

「……あー、父さんならやりかねないなぁ」


 父さんの話しか出ていないが、おそらく母さんも兄さんも、各方面で言いふらしているのだろう。安易に想像がつく……。


 これじゃあ、ごろごろばっかりしてたらダメじゃん!

 私、パーティー出た時に、『あれが家でごろごろしている踊る戦乙女(ヴァルキリー)(笑)か』ってなっちゃうじゃん!


 これは、早急にミリッツェア問題を解決しなければ……。


「ねえ、ファース」

「駄目だ」

「私、まだ何も言ってないんですけど?!」

「どうせ、『やっぱパーティー出ないと駄目?』みたいなこと聞こうとしたんだろう?」


 ぎくり。


「……違うもん」

「じゃあ、なんだ?」

「うぐ……」

「俺がエスコートしてあげるから。頑張ろう、エイリー」

「うぐぐぐぐぐ」


 もうファースなんて、嫌いだぁぁぁぁぁぁ。



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